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本と不死者とアンデッド?





「ニーナが自分から弟子にするなんて、流石はミラちゃんねぇ」

「魔女……初めて聞きましたね。全く、次から次に情報を持ってこないでくださいよ、ミラさん」

「お嬢様が持ってきているのではありません、向こうからやって来ているのです」


 現在図書館の旧書庫で読書中。

 なぜか椅子に腰かけたノアさんの膝の上に抱かれ、左右をとーま君とスヴィータに挟まれているという状況なのだが。

 あれからニーナさんの店を後にして、特にアクシデントもなく図書館へ到着。

 受け付けに居たのは別の司書さんだったが、ノアさんの所在を聞けばすぐに旧書庫まで案内してくれた。

 黒いヴェールの方は図書館にたどり着く前に外しておいたので、すんなりと通じることができた。


「それにしても、地底王国の死霊術師ね……随分と厄介な物を目覚めさせたものね、騎士トーマ? わざわざ生け贄まで捧げちゃってまあ」

「迷いこんだ友人を迎えに行ったところ、戦闘は回避できそうになかったもので。生け贄……に関しては、ミラさんに不敬を働いた者共でしたので」

「なら仕方ないわね。それよりも、対策を考えないと。放っておいたらゾンビやスケルトンみたいなアンデッドモンスターだけでなく、不死者まで増やしかねないわよ」

「不死者……アンデッドとは違うのですか?」


 三人の会話も耳に入れながら、机に積まれた本の山を次々に読み進めて行く。

 魔法技能の本を頼んだのだけれど、とーま君を連れたノアさんが持ってきたのは魔法に関するあらゆる書物の山。

 私に物を頼まれたのが嬉しかったのだろうか、その他の事柄に関する書物も大量に用意してくれた。

 で、どうせなら全部読んでしまおうと思ってこうなっている。

 これホントに見せて大丈夫なのだろうかとは思うけど。


「そうね、同じかどうかと聞かれたら分類上は違わないのだけれど。この場合のアンデッドと言うのは、属性の事を指すの。ゾンビとか、スケルトンとか、ゴーストとかね。死してなお動く者、死を越えた者、死の先に到達した者、死を無くした者……そういった存在全てを指したのが、アンデッド」

「では、不死者とは」

「不死者はアンデッドが知性を持った上位の存在の事。リッチみたいな災厄級モンスターが分類される、アンデッドとは似て非なるもの達よ。地底王国の死霊術師は確かリッチロードだった筈だから、騎士トーマが勝てたのは復活直後の不完全な状態だったからじゃないかしら。でも、次からはそうは行かないわよ、戦力を増して攻めてくるに違いないわ。奴等の本領は配下を用いた集団戦だもの」

「では、先程の不死者を増やすと言うのは? 言い方からして、ただアンデッドモンスターを使役して襲ってくるだけではなさそうですが」

「ええ、全く違うわ。条件が整っていたりする必要はあるけれど、不死者は不死者を増やすことができるの。自分の力を継承させたり様々な方法があるけれど、最もポピュラーなのはヴァンパイアかしら?」

「ヴァンパイア……吸血鬼、ですか。血命魔法とは、また違うのですか?」

「血命魔法はヴァンパイアの力を元に生み出された魔法ね。眷属を増やしたりはできない筈よ」


 なんか色々と話しているけど、メサルに記録を任せているので私はひたすら読書に集中してもいいかもしれない。

 なんといっても、目の前の本の山が減っている気がしないのだ。

 取得可能なスキルが増えたり、何かしらのスキルを取得する度にティムが教えてくれるのでその度に確認しているのだが、自動で取得されたのは今のところ魔法言語と速読の二つだ。魔法言語に関してはスキルではなく習得言語の方だったが。

 魔法技能に関しては取得可能なスキルリストに追加されたので、3ポイント使って既に取得してある。


『みゃー、みーりゃ! ぴ? みら!』

『サビク、邪魔をしてはいけませんよ。ミラ様はお勉強中ですからね』

『おべんきょ? ぴ、みーりゃ、がんばて!』


 うちの蛇ちゃんは相変わらず可愛い。

 合間合間でこうやってサビクが癒しを振り撒いてくれるので、自分でも恐ろしいくらいに集中力が持続している気がするよ。

 一冊、また一冊と読みといていき、気になる本があればイメージチェンジしたダイアリーにメモしていく。

 ノアさんにこの本をどうしたのか聞かれたからニーナさんに貰ったと伝えたら、かなり驚いた様子だったのはなぜだろうね。


「つまり、昼間にもアンデッドが出現するようになったら、決戦は近いって事ですか?」

「ええ。今はたぶん、奴も復活できて気分が高揚しているでしょうから、気の向くままに活動しているでしょう。でも、最上位の死霊術師は配下のアンデッドに浄化耐性すら与える事ができるの」

「昼間にアンデッドが出てくると言うことは、死霊術師の準備が整ったと言うことですか」

「そう言うこと。新しく生まれる不死者にも知性はあるし、不死者が不死者を支配したりすることは無いから、新たに生まれた不死者が必ず敵対するとは限らないけど、少なくともリッチクラスのアンデッドは出てくるでしょうね」

「もし、不死者が死霊術師に協力したりした場合は……?」

「単純に、脅威が倍になるわ。あの死霊術師の力を受け継いだ不死者なんて、災厄どころの騒ぎじゃないもの……場合によっては、聖都に応援を要請する必要があるかもしれないわね」


 むむむ、これは魔法装填についての文献かな?

 剣に魔法を装填して、剣を敵に刺してから魔法を放つ事で抵抗させずに魔法をぶつけられると……成る程、中からなら防御しようもないもんね。

 他にも、回復魔法はただ放つだけじゃなく、対象に触れたり、神様に祈りながら唱えたりすると若干効果が上がったりするらしい。

 他のゲームは全く知らないからなんとも言えないのだけど、こういうのを知る度に妙に細かいところがリアルだよね、この世界。

 ノアさん達住民にしたって一人一人がこの世界に生きている人間だと実感出来る。

 今まで王都を見て回っていたが、同じ事を繰り返して話す住人なんてのは一人も見かけることはなかった。

 私のゲームに関する知識が浅すぎるだけなのかもしれないけども。


「一応、手帳持ちの間で使える連絡手段を使って呼び掛けてはおきますね。同時に情報の提供も依頼しておきます。これでもぼく、結構名が知れているので」

「頼むわね、騎士トーマ。私は猊下に相談してみるわ。それと、王城にも報告しないと……ああ、嫌なことを思いだしちゃったわ」

「うん? お母様?」


 突然、私を抱いていたノアさんの腕が強くしまる。

 ぎゅうと抱き締められる形になって、身体が後ろへ倒れるままにノアさんを見上げてみる。

 アリサといいノアさんといい、私を膝の上に乗せるのは本当に何故なのか。


「次期聖女で私の娘のミラちゃんにね、会いたいって人がいるのよ。相手が相手だから断るのも難しくて……ミラちゃんが嫌ならそういう方向で動くけれど、一応聞いておこうと思って」

「私に会いたい人で、ノアさんが断り辛い……王城で思い出したって事は、んー、王家の誰かとか?」

「ええ、相手は王家。出来るなら関わって欲しくないんだけど、相手がこの国の第二王女なの」

「第二王女って……えーと、レオニスの聖女様?」


 王家って言うからいつぞやの第三王女様かと思ったら、第二王女の方か。

 この国の第二王女、レオノア・レオニス。

 王権と戦の獅子神、レオニス様の聖女だっけ。

 確かに、同じ聖女で王家が相手ならノアさんも断りにくいってのも頷けるかな。


「いいよ、お母様に迷惑がかかるのも嫌だしね。ちょうどいいから、アンデッドの事も相談しちゃおう」

「ミラちゃん……ええ、そうね。ありがとう。日程に関しては……そうね、ミラちゃんが都合がいい日を幾つか提案してちょうだい、それを向こうに伝えて、私が返事を持ってくるわ」

「それって、普通は逆なんじゃあ……?」

「向こうが呼びつけてるんだし、それにミラちゃんは祈り人でしょう? それくらいの融通はきかせてもらわないとね」

「あはは。それじゃあ、予定を確認しておくね」

「ええ、お願いね」


 ちらりとスヴィータととーま君を見てみるも、二人とも完全に付いて行きますって顔していたね……うん、頼もしい事です。


「そうと決まればスヴィータ、今からテティスの所へ行くわよ!」

「かしこまりました。馬車を呼んで参ります」

「え?」

「騎士トーマ、ミラちゃんがまだ読んでない本は全て部屋へ送っておくように指示してきて頂戴。その後は貴方も着いてきなさい!」

「お任せください、聖女様」

「えっ?」

「王城に行くとは言っても聖女としてではないものね! 専用のドレスを仕立てるわよ!」

「それでは我々は」

「手配して参ります」

「……ええと、拒否権は?」

「無いわよ?」


 


アリサ編とかいります?

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