第三話「覚醒、動き出す歯車」
かくして、歯車は回り始める。
蝉が、鳴いている。
風が、泣いている。
ラジオが、喚いている。
そんな中。
俺だけが、黙っていた。
「…………」
繰り返す世界。
繰り返す日常。
繰り返す、土曜日。
分かっていた。パニックになっていたのは、ただの現実逃避だ。本当は、何度も何度も繰り返す内に、俺の思考はクリアになっていっていたんだ。
世界は、宇宙は。
終末を繰り返していたんだ。
————もっとも、
「何故、土曜日に全てが終わるんだ」
これだけは、分からなかった。
唐突であるが、俺は、——この何巡目かの世界では——前世の記憶を持っている。
正確には、一巡前の宇宙での記憶を持っている、というべきか。
少なくとも、物心のついた3歳ごろには、以前の記憶を取り戻していた。
……思ってみれば、今までの終末においても俺は、記憶を取り戻していたのだろう。
前回との差異を感じ取っていたし、あらゆることに真新しさと懐かしさを感じていた。
————だが、あの少女だけは何かが違っている。
あの少女に感じた懐かしさは、他の存在とは根本的に違っている。
……あの少女は、何者だ?
そもそも、人間なのか?
アレは、何だ?
アレは、俺に何を伝えたい?
何故、消えた?
そして、
何故、世界は滅びた?
答えは出ない。
また、世界は流転するのだろう。
————その前に。
また、終末がやって来る。
————その前に。
俺は。
「……いるんだろ? 出てこいよ」
彼女と対話を試みることにした。
ジョジョの第6部を若干意識しています。
生命が死を迎えた後、どうなるのか。
それに対する一つの可能性を書いていきたいと思います。




