第二話「ラジオの鳴らない日」
目が覚めた。夢を見ていたようだ。
「……む。夢か。まったく、胸くそ悪い夢だこと」
最悪の目覚めだ。機嫌がめっちゃ悪い。外ではラジオ体操という名の騒音が。
「……あれ、聞こえない。ラジオ体操、今日はやってないんだ」
カレンダーを見ると今日は土曜日。どうやら土曜日は休みのようだ。 本当に?
なにやら釈然としないが、休みなものは休みなのだ。 本当に?
……そうだ。休みなのだ。そうだ、そうに決まっている————!
ホントウニ?
「そうだよ! 休みなんだよ!! それ以外に何があるってんだよ! ふざけんじゃあねえよ!!!」
「なーんだ、やっぱり偶然じゃなかったのね」
そんな、知らない/懐かしい、声が聞こえた。俺の背後に、知らない/懐かしい、ボブカットのよく似合うどこか儚げな少女が立っていた。
「なんだよ、お前。なんで俺ん家にいるんだよ! お前、誰なんだよ!!」
俺は叫んだ。力いっぱい叫んだ。それなのに、その少女は。
「がんばって思い出してみて。そしたらね、またお話できるから」
そんな、無責任なことを言い放ち、そのまま塵となって消えた。
みみをすませば、やっぱり異音が鳴り響いていた。
結局、この世界はまた終末を迎えたのだった。