第十一話「次元を跨いだ何か」
すごくお久しぶりです。謎ポエムめっちゃ考えました。自分の書いたことのあるポエムを思い出してそわそわしていただけると幸いかもしれないです。……私は楽しいです!!!!! ポエム!!!!! 無駄に楽しいです!!!!!
〜弁解のあらすじ〜
いや、ちがうんです! ちがうんですよ! 俺はただアレだっただけなんですよ! ちょっと気晴らしにこの喫茶店に寄っただけなんです! 割と来る方ですけどいつも気晴らしなんです! 別に看板娘のミヤコさんが好きとかそういうんじゃないんですよ! いや本当ですって! ホントホント!
……実はこの男、片想いではなく両想いなのだが気付いていない。ミヤコさんはミヤコさんで割とまんざらでもない感じなのだが全く気付いていない。なんというか鈍感なのである。
……その点宇宙さんの旦那はいいご身分だよな。末永く爆発すればいいのにくそう!
「あらすじでひがまないでもらえませんかね」
たまには優越感に浸っておこう。イェイ!
第十一話「次元を跨いだ何か」
……とはいえ。さすがに前回は超展開だったので一応前回のおさらいをしよう。
俺は宇宙さんの父上に結婚の条件を出されたのだが、それが『あらゆる宇宙に行って十二人の友達を作れ』というものであった。要は仲間を集めろ! っつーことだね。
そして俺は宇宙さんと共に旅立った。最初の宇宙は、科学の発展した次元、通称『科学次元』の地球だった。そこで俺は、そういえば嫁である宇宙さんの名前を知らないことに気づき聞いてみた。そこで語られた名前は『人造人間タイガー』という凄まじいものであった……!
「ダーリン」
「ん?」
「それ言ったの私じゃないって言ったじゃないですかー」
「あーそうだったね」
「ひどいですー。わかってるのなら何であんなあらすじなんですかー!」
怒れる宇宙さん。そう、人造人間タイガーは彼女ではなく、
「全く。東雲財閥に対抗する仲間が増えたのは良いことだが、仲間をからかうのは感心せんな」
この、東雲財閥の目の前でそんなことを宣っておられるバカのことである。
「あのさ。俺らが一体、いつアンタの仲間になったんだ?」
「たった今だ。フィーリングでな」
「それ、俺らが東雲財閥の人間だったらどうすんの?」
「その時は倒す。それだけだ」
脳筋だ。脳筋だタイガー。人造人間ってもっとこう、なんか、良い感じにインテリジェントにできないのだろうか。
「ダーリン、この人ヤバくないですか? 財閥の前で打倒財閥とか言ってますし」
宇宙さんが小声で話す。その内容には全くもって同意である。
「ホントにな。……でもさ、人造人間とか言ってたし、もしかしたら打倒財閥botとかなのかもしれないぞ」
だなんて、アホみたいなことを言ってみる。当然宇宙さんは苦い顔である。
「そんなbotだなんて。ないですってまさかそんな。あるわけないですってばダーリンたらおちゃめですね〜」
どんどんフラグを立てていく宇宙さん。……これむしろbotなんじゃ————
ピローン
「ん?」
今、脳内で何かなったような……?
『打倒財閥botと化した人造人間タイガーさんにフォローされました』
「…………」
宇宙さんをみる。
「そりゃまあ、宇宙は広いですからね。こんなこともありますよ」
とか言っている宇宙さんであるが、思いっきり"ありえねー"って顔をしている。
そうか……宇宙さんでもありえねーってなることあるんだなぁ。
「とにかく、俺たちは財閥を倒さねばならないッ!」
つーかこれほっといたらいいんじゃないかなもう。面倒だし。
とか思いつつ、宇宙さんを呼ぼうとしたその時、
ピローン
また変な音が脳内で聞こえた。
『東雲夏維人@影に徹する者さんにフォローされました』
「またか……」
しかも今回は東雲ときた。完全に財閥の人間にマークされた感がある。どうしたらいいのだろうか。
……周囲を見渡すと、黒いコートのイケメン野郎がこちらに歩いてきているのが見えた。あいつなんだろうなぁ……。
そいつが俺の前に立った。
「……君も、レジスタンスを駆逐してくれるのか?」
「……へ?」
「ついさっき君をフォローさせてもらった、東雲夏維人だ」
「ああ、影に徹する方ですね……」
「そうだ、そのとおりだ」
「……」
なんなのここ。こんなのばっかなの?
さすがにやってらんねえので、宇宙さんにヘルプサインを送ってみる。当然脳内に直接だ。あんまり好きじゃないからこういう時だけ使うぞ!
『もうやだたすけて』
ちなみに何故か平仮名でしか送れない。つらい。
『うーん、そうですねー。……ぶっ飛ばしましょうか。どうせ最強は私たちですしおすし』
……使いたくない理由はこれだ。あっちは何故か漢字も使ってくる。当然片仮名も、日本語以外もだ。
『でもおれたち、ともだちつくらないとだめじゃん。 どうすんのそのへん』
『そのへんも確かに大事なんですけど……つーかダーリン。ずっと気になってたんですけど、なんでスペースキーで変換しないんですか?』
『・・・・・・え』
なにを仰ってるんでしょうか……?
『・・・・・・それってつまり、これってそういうぱそこんてきな、あれなんですか』
『いえーす。ホラ、ちょっとやってみてくださいよ、スペースキー。あー、あとシフトキー』
『お、おう』
どうせいつものことだろうと、スペースキーのノリで変換らしき何かをした気になってみる。
『漢字。……す、すげえ。ちゃんと漢字じゃねえか!』
ついでに三点リーダーと! や? も出るようになったぞやったぜ。
『できましたね、よかったです!』
『嗚呼、此れでなんとかなりそうだぜ』
うむ。いい感じだ。ちなみに今のはいい漢字とかけてみたぞ!
『変換しすぎワロタ』
くやしいぞ!
「オイ貴様ら。いい加減何か言ったらどうだ」
……と、東雲さんがうずうずしている。かまってちゃんなのかもしれない。
『ダーリン。面倒ごとに巻き込まれる前に倒しましょうよう!』
『ああ、そうすべきかもな……』
かわいそうな気もしたが、今後のことを考えると仕方ないよネ!
……というわけで倒そうと思ったのだが。
「フハハハハハハ!!! 東雲夏維人! 今日も会ったなァ! 今こそ決着の時!」
また新たな輩が現れた。……そいつは、赤毛の混じった金髪をオールバックできめている、それとなく強そうな男だった。
「————貴様は、人造人間ライガー」
「フハハハハハハ!!! ————無事か、タイガー!?」
「兄者! 俺は無事です! それより早く東雲夏維人を!」
突然勃発する戦いらしき何か。俺たちが干渉するまでもなく、なにやら血みどろの戦いが始まろうとしていた——————
「知には智を。裏には裡を。破には覇を。凡ゆる庸なる者たちに、異なる旋律を以って戦慄の宴を催さん……! 『劔の宴熱』…………!!!」
突然、東雲夏維人さんが謎のポエムを口にした。別に技が発動したわけでもない。一体なんなのだろうか。つーかなんでブレイド二回言ったの?
……だが、どうせこのパターンはアレだ。相手のライガーとやらもなにかしら謎ポエムを紡ぐに違いない。こいよもう、やれよホラ。俺はいつでもいいぞ。何が来ようがアッハイで済ませてやる。そして宇宙さんにアッ◯イ? って聞かれてやる。だから来いよ早く。白状すると俺は、あのノリが好きなんだ————!
「バリヤー」
……シンプルであった。実に、実に。
「つ、つよい」
何故か跪く東雲さん。さっきから科学もクソもないんですけど。
「うーんどうやらこの世界。科学が発展しすぎて、科学じゃ出来ないことで戦い始めてるのかもしれませんねぇ」
突然それっぽいことを言い出す宇宙さん。つーかそれが正解だと思うよ。もうそれでいいよ。君が勝者だよ。
「じゃあ何? これってどっちが強そうな言葉を吐けるか競い合ってるってこと?」
「そうみたいですねぇ。まあ血は流れませんから平和といえば平和ですねぇ」
「ふむ」
そう考えると、割といい世界なのかもしれない。もうしばらく見てみるとしよう。
「やるな、ライガー。……だが、俺は貴様らに負けるわけにはいかんのだァーーーーーッッ!!!」
「————兄者!」
「案ずるな、タイガー。————俺を誰と心得る」
言うや否や、二人を謎オーラが包む。……アレ? 何コレ。
「光には叡智を。闇には覇道を。二つの極致、今ここに交わらん——————混濁の理、その秘奥を以って、今ここに新たなるサーガを創造せん…………! 『新世界の開闢』ーーーーーーッッ!!!!!」
突如、東雲さんが両腕を前に突き出し、そこから白と黒の極光が発射された。圧倒的な物量、これが世界の始まりの理だというのか——————!?
「そうじゃなくて、ポエムだけじゃないの?」
もはや突っ込むほかない。笑うわこんなん。
「甘いわァーーーーーッッ!!! 新世界の創造だと? 始まりの理だとォ!? それだけで俺を倒せると思うなァーーーーーッッ!!! 俺を倒すにはなァ! シンプルさが足りないんだよォーーーーーッッ!!! 喰らえ! 『頂を見下ろす者』!!!!! 俺はお前より必ず強くなるッ!」
そう言いながら極光に突貫するライガーさん。言っていたことは本当のようで、世界の始まりもなんのそのって感じに東雲さんに右ストレートを決めた。
……ちなみに今目の前で起こっている現象は全てイメージである。ポエムを紡ぐことによって各々のイメージが可視化されているのだ。
「なあ」
宇宙さんに声をかける。
「はい」
宇宙さんも俺に返してくれる。
「「ありえねー」」
自分たちのことを棚に上げてそんなことを言う俺たちであった。
つづけ