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第十二話「最終決戦! 宇宙を超えたなんか」

ワールドエンド・ウィークエンド、ついに完結。


君は、たぶん涙する。

 〜これまでの『ワールドエンド・ウィークエンド』〜


 化学次元でのあれやこれやをなんか上手いこと解決した宇宙さんとダーリンは、その後もなんかいい感じのアレによって色んな世界の色んな星でスゴイ感じのパワーなどを使って素敵な感じに解決していった。


 ……だが、その都度二人を影から妨害してきた宇宙魔王〈イグナイター・シゲル〉の勢力との戦いは、決して楽なものではなかった。


 その中でも、とりわけ宇宙四大四天王(つまり十六人)との激突は二人を何度も傷つけた。

 そんな時二人を助けてくれたのが、これまでの冒険で仲間になった十二人だった。別にクランカラティンではない。ていうかクランカラティンは二十八人だった、ごめんて。


 とにもかくにも、二人は愉快な仲間たちとともに宇宙四大四天王を一人一人ていねいに、それはもう、大好物の食べ物がほんのちょっぴりしか用意できなかった時の様にちょっとずつちょっとずつ味わいながら倒していった。


 大好物の喩えに引っ張られすぎて語弊を招きそうな表記になってしまった。実際はなんかジャ◯プ的な、それはもう少年漫画チックな感じの熱い戦いだった。


 そんなこんなで、二人と愉快な仲間たちは最終決戦の舞台である〈週末悲観沈殿オロロン〉へと到着した。

 全ては、宇宙魔王イグナイター・シゲルと決着をつけるために。


 ◆


「ククク、ついに辿り着いたか……宇宙さん、そしてそのダーリンよ」


 邪悪な笑みを浮かべながら、宇宙魔王イグナイター・シゲルは呪詛にも等しい言葉を紡いだ。イグナイター・シゲルは宇宙魔王なので言葉に明確な呪詛をジャブ感覚で組み込めるのだ。

 だが、そんなものは最早無意味だった。化学次元で語彙力トレーニングを積んだ二人は、闇のワード攻撃に対して絶大な耐性を得ていたのだ。


「イグナイター、玉座にいるお前を倒せば……この〈週末悲観沈殿オロロン〉は崩壊する。外でみんなが復活怪人と戦ってくれている今、俺たちが決着をつけるみせる!」

 俺は、これまでの戦いをインスタントに思い出しながら改めて決意表明をした。


「ダーリン、まさかここまで頼もしくなろうとは……この宇宙の目をもってしても——」

 バカなる宇宙が俺にいい感じの言葉をかけてくれているその途中でイグナイターが言葉を発した。


「ク、クク……クカカカカカ! 甘い、甘すぎるぞ! 昨日食べた宇宙砂糖菓子より甘いぞ貴様ら!」

 イグナイターがなんか言っている。

 ……正直言って宇宙砂糖菓子とか言われてもいろいろあるのでどれのことなのかイマイチわからない。


「一体どれのことを言っているんだイグナイター! 宇宙砂糖菓子っつっても種類が豊富だろうが!!」

「そうですよー! もっと具体的におねがいしまーーす!!」

「ぐぬぬ……」


 イグナイターは数秒間沈黙した。……そして我に帰ったかのように一瞬だけ顔を驚愕のそれに変化させ、そして口を開いた。


「違う!!!!! そうではない、そうではないのだ! お前らが目の前でイチャイチャしているのがなんかムカつくって話だウンコ!!!!!!」

 いきなり汚い言葉を使いだすイグナイター。なんか知らんけど傷つけてしまっていたようだ。


「なんかごめんな」

 申し訳なさが湧き出たので謝った。

「謝るな! そういうことではない、違うのだ!!」

 イグナイター、よく見ると目が潤んでいる。いまにも泣きそうだ。


「ダーリン、宇宙魔王ってばめっちゃ泣きそうですよ。どうしたんでしょうね」

「多分トラウマとかそういう感じのやつを刺激してしまったんじゃないかな」

 なんつーか申し訳ねえ。


「は? 泣いてないんだが??」

 なんかめっちゃ必死に否定するイグナイター。なんかすんごい申し訳ねえ。


「ていうかダーリン。そもそもこのステージの名前なんなんですかね。週末悲観沈殿オロロンってこれ絶対『何もしていない内に週末が終わってしまう……』っていう悲しみとか焦燥感とかそういうやつですよね」

「俺もそう思う」

 もっと言えばパロネタだねこれ。


「貴様らァァ! 黙って聞いておれば好き勝手しやがってほんまにもう!!」

 ついにキレるイグナイター。いやまあさっきからキレてたけども。

 それはそれとして、ついに最終決戦が始まったのだ。


 なんか宇宙中から溜め込んだ負の感情を両腕に凝縮させるイグナイター。その力は凄まじい。宇宙を吹き飛ばしてもあまりあるほどだ。感情エネルギーってすごい。


「くらえバカップルゥゥーーーーーッ!!!!!」

 かくして放たれた宇宙魔王イグナイターの必殺奥義『非リア・オブ・ザ・ワールド』は、俺と宇宙さんに降りかかる。それを——


「「バリヤー」」


 俺たちは化学次元で培った語彙力とか他の世界で培った色んなこととかを組み合わせて完璧に跳ね返した。

 宇宙にダメージを与えないように、上手いこと宇宙魔王イグナイターのみに反射することにも成功した。これにはミラーマスター・ジョナサンもニッコリだろう。


 ついに戦いは終わり、週末悲観沈殿は終末を迎えた。宇宙を脅かしまくったローグ(この場合やんちゃ者の意味合い)である宇宙魔王イグナイターはついに敗北した。つまりは俺たちの勝利だ。

 これには宇宙中のみんなも大体はニッコリだろう。


「バカな……なぜ、なぜ我が『非リア・オブ・ザ・ワールド』が敗れ去ったのだ……ここまでの凝縮率は業界初だというのに……」

 消滅エフェクトを披露しながら、イグナイターは疑問を述べた。だがそれに対する答えは単純だ。


「えー、だってこの宇宙ってつまり私の体内ですし。つまり私がルールなんですよダハハ。要は私に不意打ち食らわせてたから今までちょっと優位だっただけなんですよ貴方は」

「な……に……」

 あんまりにもあんまりな回答ではあったが、まあそういうことなのだった。


「というわけでイグナイターさん。貴方は私たちに従ってもらいます、オッケー?」

「負けたので良かろう……」

「素直だ」

 めっちゃ素直だった。宇宙魔王イグナイター・シゲルは思っていたよりも素直なやつだった。


「だが、すでに私は消滅寸前なのだが」

 イグナイターがもっともなことを言っている。でも今更そんなこと日常茶飯事って感じである。


「あー、大丈夫ですよ宇宙魔王さん。貴方はこの後期間限定ピックアップに登場するだろうから、貴方自身の貯蓄によって召喚します。これでまた会えますねぇ」

 なんか今サラッとひどいこと言った気がするけど、宇宙魔王のこれまでの所業を考えれば課金で済むだけ温情かもしれない。


「む……ピックアップだしすぐ出るだろうから良かろう。ではまたそのうち……」

 そんな感じで、スゥーっとイグナイターは消滅した。なんやかんやで戦いは終わり、俺と宇宙さんは結婚式をすることになった。


 ◆


 魔力のこもった石によって、その男は召喚された。……名はイグナイター・シゲル。かつて宇宙魔王だった男だ。

「ククク……我が名はイグナイター・シゲル。我を呼び出すとは幸運な奴らよ。精々感謝感激すると——げ」


 シゲルの目の前には彼自身を倒した宇宙さんとそのダーリンこと俺が立っていた。無事に召喚できたというわけだ。いくらかかったのかは正直怖いので言えないしなんならシゲルも聞いてこない。


「でもよ、これでついに二人の結婚式が開けるっつーわけだぜ!!」

 暑苦しいおっさんがなんかいい感じなことを言った。


「フ、世界の命運をかけた戦いの直後だというのに呑気なことだ」

 ツブヤイター・カイト@影に徹する者がクールに言い放つものの、なんとなく笑顔だ。


「ところでそろそろ仙界に戻らねばならないんじゃが、式はいつやるのかの?」

 エキゾチック仙人が時間を気にし始めた。彼は彼なりの事情があるので仕方なさもある。


「俺もそろそろ鏡とか磨きたいぜ」

 ミラーマスター・ジョナサンもミラーミガキタイヨ・シンドロームが発動しているので、そろそろ時間とか決めた方が良さそうだ。


「というわけでイグナイターさんには諸々の幹事とかそういうのをやってもらいます。オッケー?」

「フ、召喚に応じた以上、良かろう以外の返事はない。良かろう」

 ここんとこずっと良かろうばっか言ってる気がするけどまあいいや。


「でも、なんていうか俺は嬉しいよ」

「ん? どしたんですかダーリン」

 宇宙さんがなんのこっちゃとばかりに訊ねてきた。ほんとにわかっていないらしい。

 それがなんとなくおかしくて、俺は笑ってしまった。


「もー、なんなんですかー! 私をからかうことがそんなに楽しいんですかーー!?」

「うーん、というかなー、俺らのこういう言い合いをこれからも続けられるのが楽しいなーって」

「……!!!!!」

 宇宙さんが赤面した。

 ガチ照れというやつである。


「ほら、前にも言ってただろ? エンドロールが終わっても俺たちの物語は続くってやつ」

 なんかのゲームで見た言葉だったが、とにかくステキな言葉だと思う。

 実際、何度も宇宙は週末に終末を迎えた。けれど俺と宇宙さんは何度も出会えた。それがこれからはリセットなしで毎日会えるのだ。これまでの冒険みたいな連続性が、この先も続くのだ。それがたまらなく素敵だと、俺は思うのだ。


「うおぉ……ヤベー惚れ直しそうですよこれ」

 頭を抱えながら照れまくる宇宙さん。うん、とってもかわいいね。


「おーい二人とも! 早く日程とか決めよーぜー!!」

 エターナル冒険家のアーロンが俺たちを呼ぶ。

「ああ、今行くぜー」

 俺たちのステキな日々はまだ始まったばかりだ。色々あるだろうけど、俺たちなら乗り越えられる。


 そう思えたから、俺は——


「週始めから頑張ろうな」

「どんな締め方ですかそれ! ダーリンのそういうとこも好きですけど! 好きですけど!」


 週末の先にある月曜日を、一緒に踏み出したのだ。



 ワールドエンド・ウィークエンド、完

というわけでちゃんと書きました、ほめて

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