18枚目・剣の道に生きるということ【泉水】②
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
博士に会ったあの日、キッチンについて行った俺は、泉美の命があと6ヶ月も無いと教えられた。
そして同時に泉美にとって俺自身が、まさに死を招く者だと突き付けられた。
俺のせいで・・・俺が泉美をこの世界に引きずり込んだせいで・・・泉美が死ぬ・・・
信じられなかった・・・
信じたくなかった・・・
あんなに元気そうな泉美が、俺のせいで死ぬ。
嘘だと思いたかった。
全部冗談だと言って欲しかった。
だけど、博士の顔が冗談ではないと言っていた。
ショックと罪悪感で気が狂いそうだった。
だから、その後の博士の話も初めは、まともに聞けなかった。
「ところで蛍(泉美の偽名)のヤツは部活に所属してんのか?」
博士はコーヒーポッドにコーヒーフィルターをセットして、お湯をかけながら話しかけてきたんだろう。
コーヒーのいい匂いが香ってきた。
一方、俺は博士に言われて用意したコーヒーカップをテーブルに並べた後、そのままジッとそのカップを見つめていた。
だから、かなりぶっきらぼうな返事だったと思う。
「・・・今その質問に答える必要ありますか?」
「あるから聞いてんだろ?」
俺の返事に、博士は呆れながら応えた。
「いつまで引きずってんだ?情けねぇ!・・・・・とまでは言わねぇが、蛍たちのところに戻るまでにはどうにかしろよ」
「分かってるよ!!・・・分かってる・・・」
自分でも呆れるくらい、ショックを受けている自分がいた。
でも・・・そうだろう。
自分のせいで女の子が1人、半年後に死ぬって言われてすぐに受け入れられるはずない!
・・・でも、受け入れなきゃいけない。いつまでもウジウジ悩んでいる訳にはいかないんだ!!
「スーゥ・・・」
俺は大きく息を吸うと、ギュッと目をつぶった。
そして、一気に吐き出した。
「フゥー!!」
目を大きく開いてから、自分に言い聞かせるように言った。
「よし!!切り替え・・・切り替えるんだ!」
そんな俺のことを見て、博士は「フゥー」と小さくため息をついた。
「演劇部所属だ、とか大口叩いてた割にはいつまでも、しけた面のまんま落ち込んでる情けねぇヤツだと思ってたが、取り越し苦労だったかぁ~?・・・」
俺のために、わざとふざけたような態度をとってるんだろう、博士は目を細めながら馬鹿にしたような口調で言った。
「苦しむのは俺だけで十分、アイツには気づかれるわけにはいかないからな」
「フッ・・・その様子なら大丈夫だな。
んじゃ、話し戻すか・・・」
「ああ・・・話・・・なんだっけ?」
何のことだか分かんなくて、思わず変な声になっちゃった俺の言葉に、博士は少し呆れ顔になりながら応えた。
「・・・蛍・・・いや・・・泉美・・・で合ってるよな?」
「うん、合ってる」
「泉美は何の部活に所属してんのか?って話だよ」
そいえばそんなこと言ってたっけ?
そんなことを考えていると、博士は少し呆れたような声で言った。
「まっ、どうせ演劇部だろうけどな。
聞いといてなんだが、この世界の出来事と泉美の世界は共通点が多いって言ってたし、お前ら自身も共通点が多いって言ってたし聞くまでもないか」
「違うところもあるけど?」
「なんだ?演劇部じゃねぇのか?」
「いや、演劇部で合ってるよ。剣道部と演劇部の兼部、俺も同じように兼部してる」
「兼部かよ!剣道部と演劇部って珍しいことやってんな!っていうか演劇部に所属で合ってんじゃねぇか!?
思わせぶりなこと言うんじゃねぇよ!!」
「いや、スズの件が有ったからさ・・・それより、なんで泉美の部活が何なのかなんて知りたかったんだよ?」
「・・・心残りを無くすためさ」
「心残り?」
心残りをなくす・・・博士のよく分からない言葉に、俺は首を傾げる。




