16枚目・予想外な事実⑦
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
瑞希が自分の席に戻ると、女子生徒たちが名残惜しそうに、泉美の周りから離れていく途中だった。
彼女たちを避けながら、瑞希は席に座ると机の上に教科書とノートを出した。
「ねぇ、次の授業は何かな?」
席に座った瑞希に、隣の席から声が聞こえてくる、もちろん泉美である。
「数学よ」
「数学かぁ~、数学苦手なんだよねぇ~」
愚痴をこぼしながら泉美は鞄からノートと筆箱を取り出した。
そして、さも当たり前のように机を瑞希の机にくっつけた。
「・・・何しているの?」
「教科書ないから、教科書見せて♪」
ジト目で睨んでくる瑞希に、泉美は笑顔で言った。
そんな彼女に瑞希は小さくため息をつくと小声で言った。
「あっちの世界で使った教科書あるんじゃないの?」
「ほとんどないよ」
「何で!?」
「引っ越したわけじゃないもん、鞄に入ってた少しの教科書とノートとか筆箱くらいしか使える物なかったんだよ。
だからしばらくは教科書見せて♪
親友でしょ♪」
満面の笑みでお願いしてくる泉美に、瑞希は深いため息をついて机の真ん中に教科書を広げた。
時間は少しだけ戻る。
時はマリアが朝礼を終え、教壇を降り始めた時。
「水輝さん!皆倉さんと親友ってどういうこと!!」
女子生徒の驚きを含んだ声が、マリアの耳にも届いていた。
声のする方へ視線を向けると、そこには女子生徒が群がっており、質問されたであろう彼女の姿はもはや見えなかった。
そんな様子に、マリアは少し呆れながら教室を出た。
「マリア先生、おはようございます」
「はい、おはようございます」
教室を出てすぐに足早に歩きながら挨拶をしてくる女子生徒とすれ違った。
同じように歩いて行く生徒たち、移動教室へ行く同じクラスメイトなのだろう、彼らは口々にあいさつをしてマリアとすれ違って行く。
そんな生徒たちに笑顔であいさつをしながら、マリアは職員室の方へと歩みを進めた。
笑みを振りまきながら、生徒たちにあいさつをして歩くマリア。
だが・・・すれ違う生徒たちがいなくなった途端
蝋燭の火を吹き消すように、マリアの顔から笑顔がフッと消えた。
周りに誰もいないことを確認すると、マリアは立ち止まりスーツのポケットからスマホを取り出した。
そして、素早く操作すると耳に当てた。
【プルルル・・・プルルル・・・】
電話の呼び出し音が、マリアの耳に響く。
しばらくして、呼出音が【プツッ】と途切れた。
それを確認した瞬間、マリアは食い気味に話し始めた。
「M2・・・最悪で最善の予想が当たったわ・・・・・」
「あの子を見つけた」
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≪人物紹介≫
クラス担任で演劇部顧問
「神野原 マリア」その③
イズミたちのクラスの担任で、演劇部の顧問。
学園祭で演じる演劇の台本を書いて周囲を驚かせた、金髪に青い瞳のハーフの女性。
だが、彼女には周囲の知らない裏の顔があるらしい。
謎の存在M2と連絡を取り、泉美の何かを知っているような言動をしていた。
彼女が何者なのか、イズミたちにとっての敵なのか、味方なのか、今は何も分からない・・・
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≪登場用語説明≫
泉美が通うことになるクラス
分類:学校
泉美が転校生として高校に通うにあたり、色々と裏工作をしてくれた、水輝家当主の竜水だったが、徹底して根回しをしたようで泉美が通うクラス決めにまで口を出したらしく、泉水と瑞希が通う、二年B組を指定したらしい。
このことはイズミたちには伝えておらず、当日泉美はもちろん泉水や、瑞希も心底驚いてしまった。
水輝 蛍 その②
分類:偽名
泉美は高校に通うにあたり、お爺様である竜水から名乗るように言われた、水輝 蛍のプロフィールを入念に決めていた。
両親と3人暮らしをしていたが、両親の仕事の関係で海外へ行く話が持ち上がる。
だが、蛍は日本に残る意志が強く、両親は水輝家の本家に相談し、蛍は水輝家の本家でお世話になることになる。
ところが、その話を聞いた本家の娘のアゲハが、蛍を預かりたいと申し出る。
幼いころから顔なじみで、自分の子供のようにかわいがっていた蛍を是非ともお世話したいという願いからだった。
本家当主と、蛍の両親はそれを了解し、蛍はアゲハの嫁いだ春野家に同居することになった。
ちなみに、春野家の長男、泉水やお隣の瑞希とは幼いころから顔なじみで、親友と呼べる仲である。
という大部分の虚偽とほんの少しの真実が入り混じったプロフィールを作成、転校生として通う桜門高校に伝えている。
M2
分類:不明
イズミたちの担任のマリアが、秘密裏に連絡を取った相手。
その名前が施設名なのか、組織名なのか、コードネームなのか、一切不明。
このM2という存在がイズミたちにとって、敵になる存在なのか、味方になる存在なのか、現在のところ一切が不明。




