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エピローグ




その後、リリーは三日間生きながらえた。


彼と彼女はその間片時も離れることなく手を繋ぎ、名前を呼び合っていた。


四日目の朝、彼女の亡骸はたいそう幸せそうに微笑んでいて、それを見た彼は涙を流したという。



彼はその後、後妻をとることなく屋敷の者と共に彼女の忘れ形見の一人息子を育て上げたという。












優しい光が室内に差し込む。

幼子と共に青い瞳の男性が、1枚の肖像画の前に背筋を伸ばして微笑んでいた。


「お前のお祖父様はね、おばあ様が大好きだったんだよ」


「これ、おばあ様?」


まだ舌っ足らずな声に、彼は優しく頷いた。

茶色い柔らかい髪の息子を撫でた。

肖像画の中には黒髪碧眼の無表情な彼の父親と、柔らかい茶色い髪と淡い緑色の瞳を細める彼の母親。

自分は父親に似たが、息子の髪は隔世遺伝なのか温かな茶色だ。


「そうだよ」


「可愛いね!」


「うん、そうだね」


無邪気な笑顔。

この子は自分が妖精伯爵六代目となったときもそんな風に奥方に笑ってくれるだろうか。

ふと、そう思って真剣な瞳で彼は口を開いた。



「お祖父様はね、口癖のように言っていたよ。

『もし時間を戻せるなら…彼女に何度でも愛してると伝えるのに』って」


まだ幼かった自分でもわかった。

父親がしていたのは、後悔だ。

どうしようもない、どうしようもできない痛いほどの後悔。


でも、きっと、思うに母は、



「でも…きっとおばあ様は…不幸ではなかったよ…。お祖父様を愛していたから」


無邪気な息子は意味を分かりかねるのか首を傾げた。


「……次の代こそ、後悔しないように行動してほしいとお祖父様は言っていたんだ」


「こうかい?」


「……正直に、素直に生きるんだよ」


できるか?と問えば、息子は意味をわかっているのかいないのか、ニコリと大きく頷いた。



……この子は、この子の妻になる妖精は、一体どんな物語を作っていくんだろう。


今度こそ幸せな物語だったら、いい。



そう思いながら、肖像画の中にいる不器用だった二人を見つめた。







これにて完結です。

ですが伯爵家シリーズということで第二段を執筆していく予定です。

そこで回収してない伏線を回収したいと思います。


ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました。


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