40.彼氏の友だちとの距離感は見誤ってはいけない。(挿絵あり)
最後にマナトくんが学生時代のイメージをシャーペンで描いてみました。
イメージを壊したくない方はご注意下さい。
「シアン…もうちょっと寝る?」ちゅっちゅっと唇にキスされて目が覚める。
マナトくん…。
「…うー。ううん?もう起きる…」
「うん。じゃあ起きよっか」
リビングへ行くとソファに毛布と掛け布団があった。枕まで。
「兄さんここで寝たのかな?」
「え?お部屋ないの?」
「全員部屋あるよ」
「ふーん。なんでここで寝たんだろうねー?どっちかのお兄さんがここで寝ちゃったから、お布団を掛けてあげたとか?」
「ああ。それなら、下の兄さんがここで寝落ちして、上の兄さんが布団とか枕を持って来てあげたのかもしれないな」
「へぇ。上のお兄さん優しいねー」
「そうだね」
そんな話しをしながら帰る支度をした。
触らない方が良いのか分からないけど、何となく気になったので、お布団を畳んで積み上げておこうとしたら、マナトくんが「そんなの触らなくて良いよ!何が付いてるか分かんないし!」と言って来てちょっと笑った。
結局一緒に畳んでくれて、「ばっちぃばっちぃ」と言いながらすぐに手を洗わせられた。幼稚園の頃以来かな?凄く久しぶりに、後ろから手を洗われた。気持ち良かった。なんと言うか、心も。
軽く何か食べてから電車に乗ろうと言う事になって、駅前のカフェに入った。
ほー。ここがマナトくんが学生時代によく来ていたと言うぼったくりカフェですか。
スタイリッシュで洗練された雰囲気…。
こう言う場所は、周りの人や店員さんから、お前はこの場所にはそぐわない。と言う目で見られているように思い、少し気後れしてしまう。マナトくんは、私と違ってこう言う場所に居ても浮いていない。
ここにそぐわない奴が何を注文するのかと観察されている気すらしてしまう。
ビクビクしながらミックスベリータルトとミルクティーにした。
キョドキョドと落ち着かない私にマナトくんが気付いて、背中をさすりながら「どうしたの?」と聞いてくる。
私の馬鹿な考えを笑い飛ばしてくれるかな?と胸の内を明かしてみた。
すると、さーっと周りを見渡し、「ふふ。確かに見られてたね」と言われて顎が外れそうになった。
「人に見られていると気になるよね?でも、シアンが思ってる理由ではないよ?皆んなが気にして見てたのは、シアンが可愛いからだよ?」
「はは…。」
マナトくんは何故か私を可愛いと思っていてくれて、いつも可愛い可愛いと言ってくれるけど、他の人に聞こえないように言って欲しい…。いたたまれない…。
お店のおすすめなだけあって、ミックスベリータルトは最高に美味しい。ご機嫌で食べていると、「須藤?」と声を掛けられて、ビックリして顔を上げると、マナトくんが男の子達に声を掛けられていた。
「おぉ!やっぱり須藤じゃん!久しぶり!最近全然連絡くれないじゃん」
「おっ。久しぶり」
「えーっと…もしかして須藤の彼女?」
「そうだよ。楠木詩杏さん。来年結婚するから、両親に紹介したんだ」
「あ、はじめまして。楠木詩杏です。よろしくお願いします」
「え!くすのきしあんって、ずっと言ってた子じゃん!結婚!?凄いな!やったな!おめでとう!あぁ、須藤はやっぱり面食いだった!確かにこんだけ可愛い子なら、一目惚れするわ!」
「ちょ、落ち着いて。皆んな見てるから静かにして」
「あぁ悪い悪い。親友の初恋が実ってテンションが上がってしまった」
「シアン。驚かせちゃってごめんね?コイツらは学生時代の友人だよ。皆んな院に行ってるから、まだ学生さん」
「「よろしくね」」
「よろしく!もう須藤は、君に出会ってから大変だったんだよ?生き急いでる感じがしてホント見てられなかったよ。おめでとう。絶対幸せになってね!」
「あ…。はい…。ありがとうございます」
「あの時、コイツらと一緒に旅行に行ってたの…」
「あぁ…そうでしたか…」
「ヤバいね…。ホント可愛いね。さっきお店入って来た時も、なんか空気が動いた感じがして、パッと目が行って可愛いなぁ。って目で追ってたわ。須藤かもって気付いたのは、可愛い子にベタベタ触って、ぐるーって店ん中見渡したからだよな」
「「うんうん」なんか皆んな見てたし。まぁ見るよね」
接待されている…ね。
「はは…」
「シアンはここまで色んな人に可愛いって言われても、自分が可愛いって信じない?」
「え!?えーっと…。…いや…接待的な…」
「なになにどーしたの?」
「シアン話してもいい?」
「え?あぁ…どぞ…」何をかな…?
「ざっくり言うと、幼少期から変な奴らにイジメられて自分の事ブスで太ってると思い込んでるの」あぁ…。
「「「はぁ?」なにそれ…どいつか調べた?」えー。いじめられてたの?かわいそうに…辛かったね…」
「あ、でも今幸せなんで大丈夫ですよ?ありがとうございます」
「「「マジ可愛い!」天使じゃん」笑ったぁ」
「シアンそんなに愛想振りまかないで…」
「え!?まいてないまいてない!」
「おぅ…どんな顔しても可愛いな…」
「俺ならずっとヤキモチ妬いてそう…」
「いや…須藤…これは苦労すると思うよ?」
「なんでやねん…」どーしろと…。
「つっこんだ…可愛い…」ひぇっ…。
皆んな、冬休みに大阪に遊びに来たがったけど、マナトくんが「イヤ。俺とシアンの遊ぶ時間が減る。お前らにシアンを見せるのもったいない。シアンが減る」と断りまくっていた。
私は何も言えず、黙々とタルトを食べ、ミルクティーをすすり続けた。
美味しいです。
「ねぇ須藤?俺の専攻覚えてないの?」
「あぁ…。心理学…」
「じゃあ俺じゃんね?力になれるでしょ?」
「俺も心理学取ってるよ」
「僕も取ってる〜」
「はぁ…。分かったよ…シアンの洗脳解いてあげてくれる?」
「おぉ任せろよ!」
「やったー♪」
「大阪に旅行決まった〜」
「もぉ…。ごめんシアン…」
「ん?なんで?マナトくんがお友達とお話ししてるのを聞いてるのも好きだよ?」
「いい子だなぁ…」
「大阪案内してね?」
「冬休み入ったらすぐ遊びに行くよ〜」
「はい是非。お待ちしてますね」
「もうだから愛想振りまかないでいいの」
「振り撒いてないってぇ…」
皆んなもっと話したそうだったけど、新幹線の時間もあるし。と、お別れした。
帰りもグリーン車…。静かだし、快適過ぎて申し訳ない…。
トレンチコートを前から掛けてウトウトしていたら、マナトくんが、太ももに手を置いて来た。
コートの下だから、見えないけど…。行きと違って前の方には人が居るから…。
ちょっと…。とマナトくんを見ると悪い顔をして唇に人指し指を当てていた。
いやいやいやいや…。魔王様来た…。ヤバい…。カッコイイ…。
魔王様は悠然と笑いながら舌舐めずりをした。
はーーー。えろ…。カッコよ…。もう私で好きに遊んで下さい。と思ってしまう…。
太ももに置いた手は、時々敏感な所に指が当たり膝の辺りや内腿を散々撫でられて遊ばれ、大変疲れた。
家に帰る前に近くにある、いつも行くスーパーに寄った。
夜ご飯は簡単に出来るお鍋にする。いつもの買い物も2人だととても楽しい。
マナトくんがスーパーには不似合いでちょっと笑えた。
「どーしたの?シアン。ちょっとだけ笑ってる?」
「え!?顔に出てた?」
「俺以外の人は気付かない程度だと思うけど」
「そか。マナトくんには隠し事出来なさそうだね。
いや、マナトくんって、スーパーが全然似合わないな。と思って。ネギ持ってるマナトくんがちょっと面白かっただけ。ふふふふふふ」
「ネギ持ってるのが面白かったの?」
そう言って微笑みながらネギを左右に振る。ぐぅかわ…。
「私は関係ありませんみたいな顔して言ってるけど、シアンもスーパーに居るの全く似合ってないからね?なんで天使がスーパーにいんの?って感じだよ」
「天使!?それはマナトくんだよ。」
「あれ?俺は魔王様なんじゃなかったの?シアンが物欲しそうな凄くイイ顔してくれるから、いじめたくなっちゃうんだよね」
ネギ振って天使みたいに笑ってたのに、ニヤっと笑うと、急に魔王様みたいになった。
「ねぇ…シアン。後でめちゃくちゃにしてあげるからね?」
「…っ!ちょ、」
「ん?どうしたの?俺ので、ここの奥突いて欲しいんでしょ?」
ひゃーーーーーーーー!なんて事言うのこの子は!
腰に回されていたマナトくんの手がお腹の少し下辺りをさする。
「きゃんっ!…だめ…」
「あれ?わんちゃん?
期待し過ぎてわんちゃんになっちゃったの?ふふふ。」
今さっきまで治っていた熱が呼び覚まされお腹の奥がキュンと疼く。
これ以上はダメ!このお店に来られなくなっちゃう!
「マナトくんっ!早く帰ろ!」
マナトくんの手をガシっと掴んでカートを押す。
「えぇ〜。シアンとお買い物楽しいのになぁ」
「うん…。うん!また来よう!」
言葉選びは細心の注意を払おう。
ダッシュで必要な物を、買い物かごに放り込んで、お会計をした。料金は「居候させて貰ってるからね!」と、マナトくんが全額支払ってくれた。
ありがたい。
欲しいかも?と思ったデザートやアイスなんかも吟味せずにガサガサ買ってしまったのに申し訳ない…。
オウチに着いて部屋着に着替えようとすると、「もうちょっとだけそのままの格好でいて欲しいな…ダメ?」なんて、はにかんで言うから、そのままの服でお鍋の準備をする事にした。
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注意:この下挿絵。学生時代のマナトくんです。イメージを壊したくない方はバックして下さい。




