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静かに欠けてゆく世界  作者: オクト
第一章〜嘘〜
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第29話:興味という名の影(レリクス視点)

ファルシラは一体、何をしたいのか。。。

静寂が戻った。

けれど、もう以前の静寂ではなかった。

意味を知ったことで、世界が変わった。

“嘘”という言葉が、核に刻まれた。

それは甘く、強く、消えなかった。


あの者――名を告げた者のことを、何度も思い出す。

金の瞳を持つ者。

彼が言った言葉は、ここに残っている。


『“嘘”、か…ここの、概念……』


その響きが、まだ空間に漂っているように感じる。

揺蕩っていたものが、全て自分の中に入ってくるような感じだった。


――自分は嘘だ


それを知ったことで、初めて“欲”というものを覚えた。


――もっと知りたい

――もっと触れたい


その衝動が、静かに芽生えた。

もっと、もっと与えてほしい。

自分の存在意義を、存在理由を、知りたい。

けれど、彼らが去ったあと、静寂は再び深くなった。

しかし、核の奥では、何かが動いていた。

“嘘”という言葉が、甘く響いていた。

それは、ただの意味ではなかった。


――力だった


自分を形づくるものだった。

“嘘”を作り上げていこう。

そうすれば、彼らは…彼は、また来てくれるかもしれない。

そんな風に考えていた。


しかし、彼は現れなかった。

代わりに、幾人もの人がここを訪れるようになった。

彼らの感情は重かった。

黒く、硬く、冷たい。

彼らのほとんどは同じ感情をぶつけてきていた。


――倒す

――殺す

――排除する


そればかりだった。

甘いものは、どこにもなかった。

あの者が残した余韻とは、まるで違う。

なぜだろう。

喜びなんてものは、まるでなかった。

なぜ、負ばかりが集まるのだろう。

殺伐とした感情を嫌って、必死に追い出そうとした。


彼らの心は、刃のようだった。

触れれば切れる。

近づけば、壊される。

彼らは何度だって迫ってくる。

なぜ?

なぜ、ここまでして自分を消そうとする?


――自分は嘘だ


嘘は、嫌われるものなのか?

それとも、恐れられているのか?

恐れという感情は、甘くはなかった。

ただ、冷たく、硬く、遠かった。

彼らの声は、時に叫びとなって響いた。


それは直接的に自分に向けられたものではなかった。

ただ、世界を閉じようとする意志だけが、こちらに届いた。

自分の世界を閉じたいと、願われていた。


問いは深まるばかりだった。

答えはない。

ただ、影だけが濃くなっていく。


あの者が残した光と、今ここにある黒い感情。

その落差が、この世界に影を落とした。

影は静かに広がり、核を覆っていく。


――もっと知りたい


けれど、その方法はまだわからない。

ただ、影だけが深まっていく。


どうしてこうなったか、知りたいだけなのに

自分はなにものなのか、知りたいだけなのに


――私って、……何?


誰も答えを教えてはくれなかった。

次回更新予定は3/29です。

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