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空母 双龍 東へ  作者: 銀河乞食分隊
燃えるミッドウェー
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ミッドウェー西航空戦 真・逆襲のミッドウェー

ミッドウェーの逆襲、真打ち登場です。

 迎撃はまずミッドウェーからの攻撃隊に対して行われた。これを甲目標とした。

ミッドウェー南からやってくる編隊を乙目標とした。


 甲目標は上昇を始めた。雲が低い。雲を利用して隠れるつもりか。 


 直衛機は合計で百三十機だった。二百機以上の敵編隊を阻止するなど無理だろう。三航戦から、まだ艦隊上空に来ていない機体もある。

 今迎撃に行ったのは、第一弾として四十三型三十機だった。

 第二弾は三十二型二十機だ。

 三航戦から後八十機来る。彼らは自分の頭の上をからにしても、こちらに機体を出した。

 

 迎撃一陣が突破され、二陣も突破された。執拗にまとわりつくが、敵戦闘機と同数では零戦の性能をもってしても、効果的な迎撃は難しかった。 

 その頃三航戦から援軍が来た。二十四機だった。瑞鳳級は小型空母であり、いくら四隻でも一気に発艦できる機数は少ない。

 零戦隊は機数を減らしながらも、執拗にまとわりつき敵に損害を与えていく。


 甲目標は艦隊まで後十海里と迫っていた。直衛機には艦隊周囲八千メートル以内に近づくなと言う指示を出してある。一式や長十センチなら十分有効射撃の範囲内だ。


 三航戦からの二陣三十二機は艦隊を迂回して横から敵編隊に突っ込んでいった。いくら電探に敵味方識別装置がついていても、殺気立った艦隊上空を飛び越える気はなかった。

 

 迎撃機による防空ラインを突破してきたのは、百機以上だろう。

 

 大和が爆発した。そうとしか思えなかった。ヤマトを迂回しようとする敵機に両舷の高角砲が火を噴いた。

 マーシャルの時、激しすぎる対空砲火に大和は敵機に迂回されたという。そう情報が伝わっているのだろう。ただ、迂回するには高度も距離も中途半端だった。

 次いで、武蔵も爆発的に高角砲を撃ち出した。この二隻だけで全部撃墜してくれると思えるほどの弾幕だった。


 艦隊の陣形は、駆逐艦の対空砲火が頼りにならないので巡洋艦以上と直衛艦で固めるという変則的なものだった。


 大和と武蔵を艦隊前面両翼に配し、その横には二十一駆を分け大和直衛に夕雲・巻雲、武蔵直衛に風雲・絹雲を。

 一戦隊後方に、一航戦の赤城・加賀・双龍という運動性・速力に難のある船を逆三角形に配した。赤城が右前、加賀が左前、双龍が後ろの配置だ。直衛は、秋月・夏月・三日月・凉月だ。

 一航戦後方に、速力では加賀と同じ二戦隊の長門と陸奥を配する。

それが仮称第一部隊で、仮称第二部隊は

 翔鶴級空母三隻を瑞鶴を頂点とした正三角形に、影月・冬月が瑞鶴の両脇、冬月が翔鶴・凍鶴の後方。

その後方やや離れたところに利根・筑摩を配し、後方に霧島とした。


 外周には頼りにならないとされた駆逐艦たちが警戒部隊として配置された。


 ここに三航戦まで組み込んでしまうと、統制もとれないし巨大になりすぎるので、三航戦は以前の位置とされた。

 三航戦の護衛は、九戦隊(最上・熊野・鈴谷・三隈)と八戦隊(利根・筑摩)だった。駆逐隊は十八駆が引き続きついている。

 八戦隊の利根・筑摩は、越百級重巡洋艦のプロトタイプともいえる艦で、基準排水量一万四千トンの大型巡洋艦だった。二十センチ連装砲塔を前後に背負い式に配置し、連装四基八門とした。高角砲が多いのが外見上の特徴で、八十九式12.7センチ連装高角砲改二を片舷四基八門装備した。両舷で八基十六門の重武装だった。搭載する二十センチ砲の砲身は従来の砲と変わらなかったが、装填機構の改良で毎分4発から6発の発射が可能になっていた。公式には5発だった。水雷兵装は廃止か存続かで議論があったものの存続とされた。三連装四基予備魚雷なしだった。水上機は四機搭載予定だったが水雷兵装がついたので二機に減った。カタパルトも一基になった。


 補給部隊は、MI艦隊から東へ五十海里後方にいた。

 護衛は、龍鳳航空隊・日向・七戦隊。日向と七戦隊の愛宕・妙高は、マーシャルで主砲が損傷し修理が間に合わない主砲の代わりに高角砲や機銃を積めるだけ積んだ間に合わせ的な防空艦だった。愛宕・妙高は高角砲増設の際、片舷四連装二基両舷で四連装四基十六射線という強力な水雷兵装を下ろされてしまった。


 電探は敵味方入り乱れてしまい、敵味方識別装置があっても混乱するだけで、有効な対空目標を指示できなかった。

 目視で敵機を探そうにも、今日は雲が低く見つけにくかった。敵機はうろこ雲の間を縫うように接近してくる。雷撃機が分離して低空に降りてきた。


 敵機の一部は大和と武蔵の間を抜けて空母群へと迫ろうとした。わざと間隔を広げていた。殺し間である。そこに大和と武蔵が爆発したがごとく高角砲弾を送り込んだ。おそらく二十機くらい突入したその空間で数機が落ちた。煙を噴いている機体もある。かなりの損害を与えたようだ。


 残りの機体は定説通り横と後方から突入してくる。低く侵入してくるのが雷撃機で、高空へ上がるのが急降下爆撃機だ。

 雷撃機がおかしかった。雷撃機に対する高角砲の時限信管の調定はデバステーターの数値でしている。

 だが砲弾は敵機の後ろで炸裂している。信管設定が悪いのではない。敵機が速かった。新型機がいるという情報は入っていた。雷撃機だったか。

 急ぎ各艦にこの情報を伝える。

 あの低速で運動性の悪いデバステーターでさえ、雷撃を当てられた。新型は高速で運動性も良いようだ。危険極まる機体だった。


 敵機は強力な対空砲火を撃っている巡洋艦と戦艦、直衛艦を無視して空母だけに攻撃を集中させた。何機落としたのだろう。それでも一隻あたり二十機程度が攻撃した。奴らも考えている。片舷からの雷爆同時攻撃だった。

 

 雲の隙間から急降下爆撃機が襲いかかる。赤城、加賀、双龍、ほぼ同時に爆炎が上がった。また赤城と双龍からは水柱が上がった。赤城と双龍は速力を落としていく。速力が落ち回避できないのだろう。さらに爆炎と水柱が上がる。

 

 二航戦にとって人ごとではなかった。次は我が身だ。

 ぱっと見四十機前後の敵機が向かってきている。やられてたまるか。

 相変わらず雲底が低く上空の視界は悪い。雷撃機は低空に降りているのでよく見えるが、問題は急降下爆撃機だ。よく見えない。電探だと近づいてきているという。

 来た、右後方から接近してきた。

「機関、前進一杯」

「前進いっぱい、ヨーソロ」

「五時の方向、上空、急降下近い」

「面舵用意」

「面舵よーい」

「面舵」

「おもかーじ」

 船体が振れてきた。まだ敵機は軸線上にいる。

「面舵一杯」

「面舵いっぱーい」

 船体が急に曲がり始める。左に傾く。敵機は少し斜めに見える。これなら外れるだろう。

「敵、投弾」

 敵弾は左舷の海面を騒がせただけだった。最後の一発が近かったが、至近弾にもならない。

「右舷二千、雷撃機、六機」

「舵このまま」

「舵このままー」

 高角砲も機銃も撃っているが中々当たらない。それでも一機海面に突っ込んだ。さらに一機爆散する。

「魚雷投下」

 投下後の敵機がまた墜落する。

 四本の雷跡が迫る。

 三本は良さそうだ。船が曲がりすぎている。四本目はまずいかもしれない。

「舵戻せ。取り舵」

「舵もどーせ、とりかーじ」

 少しでも艦の振れが減れば、躱せるかもしれない。

「雷跡、一本通過、二本通過、三本通過、四本・・・」

 ドーンという音と共に水柱が上がる。おかしい。当たった感じはしなかった。

「被害確認、急げ」

「艦長、被害ありません」

「ない?」

「はい。艦首波の圧力で早爆したようです」

 右舷の機銃員によると、ほとんど平行ともいえる浅い角度で艦首右舷に突っ込んできた魚雷が艦の外側で爆発したとのこと。

 3万トンの艦首波だ。それは強力だろう。運がよかった。


 翔鶴はすべて躱した。瑞鶴と凍鶴は少しツキがなかった。

 両艦とも雷撃機はすべて撃墜するか、魚雷は躱すかした。しかし、急降下爆撃機に捕まった。

 瑞鶴は、雷撃を躱すため取り舵をとったところへ、爆撃を受け中央エレベーターに被弾。

 凍鶴は、やはり雷撃を躱すため直進していたところへ爆撃を受けた。直進しているいい的だったに違いない。運が悪いことに魚雷と並走状態になってしまったのであった。魚雷の燃料がつきるか完全に追い抜かれるかしないと舵もとれなかった。

 

 甲目標が去った後に乙目標が来襲するはずだった。しかし、来ない。

 乙目標は三航戦と補給部隊に向かっているとの電探の探知結果だった。

 上空の直援機に急ぎ向かうよう指示をする。直援各機とも残弾少なしの報。

 三航戦は、自前の戦闘機が二十四機有った。こちらに向かわせる予定で発艦したが間に合わなかった機体を急ぎ呼び戻している。

 

 補給部隊の頼りは龍鳳戦闘機隊だけだ。日向と七戦隊がいるが、付け焼き刃の防空艦がどこまでやれることか。


 電探の探知結果だと、それぞれ四十機程度と言うこと。戦闘機も入っての機数であろうから、かなり迎撃できるかもしれなかった。


 

 赤城は燃えていた。魚雷二発を喰らい浸水が激しいため速力は前進微速程度に落としていた。爆弾は三発、前部エレベーター付近と左舷後部高角砲と艦尾短艇甲板に喰らった。

 火災は前部格納庫と短艇甲板から起こっていた。

 格納庫には帰還機が溜まっており、そこに一発だった。爆風の大部分は開放部から抜ける設計だったが、帰還機が吹き飛ばされることで爆風が抜けきらなかった。吹き飛ばされた帰還機の残存燃料に火がつき、ほかの機体に次々に広がっていった。

 短艇甲板の被弾は短艇甲板を破って艦内で爆発した。付近には短艇整備用部材や清掃用具があり、破壊された短艇と共に火災の発生源となった。

 魚雷は、艦首部分と機関室付近に命中。

 艦首部分は最初に命中した場所で、速度が出ていたため隔壁が次々と破られ大量の浸水を招いていた。

 左舷機関室付近の一発は、衝撃の大半をバルジが受け止めてくれたが、左舷機械室に浸水が発生。浸水を止めることができず、左舷機械室は放棄された。悪いことに左舷機械室には注排水ポンプの一基が設置されていたため、二基ある注排水ポンプのうち一基が停止。消火能力と排水能力が落ちたことで、艦首部の浸水は増し艦首は御紋章が波にさらわれるところまで沈んでいた。

 火災も艦尾の火災はほぼ鎮火したが、格納庫の火災がおさまらず、ついに艦長が総員退艦命令を出した。逃げるにも短艇はすべて使えなくなっていた。速く逃げなければいけなかった。

 

 加賀は、飛行甲板前部に二発くらい、発艦能力を失った。火災も発生したが、鎮火の見通しもたっている。


 双龍は大変だった、左舷火龍部に魚雷三発爆弾四発を受け、艦長は艦を停止させ消火と排水に専念するとした。

 

 


次話は、双龍の生き残りをかけた戦い。


双龍の世界はありません。

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