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空母 双龍 東へ  作者: 銀河乞食分隊
燃えるミッドウェー
28/62

双龍の世界 中島の苦闘

中島が活躍しません

すべてはエンジンのせい

しかし救世主エンジン出現


空冷星形16気筒

ボア×ストローク 160×160 

排気量 51.2リットル

全長1750ミリメートル

直径1360ミリメートル

乾燥重量 910kg

燃料供給 キャブレター

遠心式スーパーチャージャー 一段二速

離昇出力で、日本で初めて1800馬力を超えた。

離昇出力 1800馬力

一速公称出力 1720馬力

二速公称出力 1600馬力


 1気筒3.2リットルで三菱火星よりも気筒あたり0.2リットル大きかった。

 試作のアルミフィン植え込みシリンダーだと2000馬力を超えたという。

 あまりにも高コストであり採用されなかった。

 鍛造クランクケース等の採用で直径の縮小・軽量化などに務めた。


16気筒の秘密


 中島は、空冷複列14気筒エンジンで振動問題を解決できず開発は難航していた。

 一人の考え無しが言った。


 一列7気筒だけど、360を7で割れるのか。割り切れないのに位置決めが正確に出来るのか。カムの山がきちんと会うのか。正確に出来ないから無理が有り振動になるのでは無いか。


そう言われればその通り。だれも答えることが出来なかった。


 じゃあ8気筒でやろうよ。


 はあ?


 8気筒なんてどこもやっていないぞ。


 別にやっていけないわけじゃ無いでしょ。


 そりゃそうだが、常識的には

 

 常識なんて蹴倒しましょう

 

 えええ???


 じゃあ実験と言うことであり合わせの部品で試作してみることが許可された。

取り敢えず、光を基本に1台組んでみた。苦労したのはカムである。クランクケースは、楽に出来た。7気筒のあの面倒さに比べればどうと言うことは無い。

 試運転からしばらくは苦労したが、初めて作ったエンジンである。まともに動く方がおかしかった。

 各部の摺り合わせが済むと快調だった。嘘のように振動が少ない。吹け上がりが良い。当社比でだが。

冗談のような結果だった。


 この結果が社長に伝わったらしく「やれ」が出た。

 栄は潰れたし、他はうまくいっていない。ならそれでやってみろ。

 栄のチームと他のチームが合流してこのエンジンに社運をかけることになった。

 護エンジンは中断された。


 大きさは?


 これでいいんじゃ


 これって


 どれ?


 光と寿で160×160


 なんで


 この組み合わせなら、気筒あたり排気量で三菱火星を超えます。社内に部品があって実績もある。後は、改造するだけ


 改造する?


 改造、いえ最適化です。後は当社が使う事の出来る最新技術を投入します。なんだったら三菱からも


 いや、三菱は辞めようよ


 日本最高のエンジンを作れと社長はおっしゃいました。三菱も日本です


 あー言えばこう言う。そうだった、お前はこう言う奴だった


 複列化することになった。一列なら問題なくとも二列だと出てくる。細々とした問題を一つ一つ潰しながらゆっくりとだが確実に前進していた。

 そしてついに完成した。後は陸軍と海軍の審査に通るかどうかだ。

 正和15年合格。陸軍も海軍も。


 中島、歓喜の社内。社内呼称《魁》が制式呼称になった瞬間であった。


 魁開発中には、陸軍からキ44・キ47、海軍から十三試艦攻の開発を受注していた。従来のエンジンを付けて開発が進められていたが、キ44はともかく機体重量の重いキ47・十三試艦攻は、中島の従来のエンジンでは要求性能に到底届かなかった。


 機体開発側からはもっと馬力をと言われたが、無い物は無かった。そこに魁成功。次いで軍の審査に合格、制式化さる。の報。エンジン開発部の歓声はいつまでも止めなかった。

 

 魁エンジンの使用を軍から取り付け、キ47の開発は順調に進んだ。主な問題は馬力が足りないと言うだけだったので、エンジンが大型化した分エンジンカウリングや重心位置の調整ではそれなりに苦労したようだが、試作機は順調に仕上がり軍の審査に進んでいった。


 問題は、キ44と十三試艦攻であった。魁は今までのエンジンとは馬力も違うが寸法・重量ともかなり違うエンジンだった。


 キ44は、あっさり機体規模の拡大を選んだ。

キ44の試作は進み、試験飛行にこぎ着けた。試験飛行では、驚きの高性能であった。機体規模と発動機の出力が見事に調和し、水平全速650km/hを記録。日本最速であった。同じ発動機を積み、ホ一〇三・6丁の重武装と旋回性能を重視した大型戦闘機キ47を70km/h上回る高速であった。


 陸軍で試作機を使って性能試験や模擬空戦を行った所、キ44がキ47を終始圧倒。キ47の運命は決まった。開発中止。


 増加試作機の発注を受け、陸軍で運用試験を始めた所で開戦になった。開戦したと言うことで、陸軍からは追加発注があった。

 また、来年早々制式化と名称が決まると言うことであった。

 社内再び歓喜である。十試艦攻からこちら良いことが無かった中島であるが、魁からは良いことずくめだ。社内では早くも魁様と呼ぶ人間も出た。


 キ44の成功で歓喜に沸く中島社内。

しかし、どんよりとしていた部署があった。


 社内競作のような形になったあげくいい所なく負けたキ47のチームだった。


 キ47のチームは魁に換装してかなり手応えを感じていた。

 それがアレである。軍の要求に沿って開発した機体と、自由にやれた機体。

 軍の要求は大きな九七戦だった。

 キ43は九七戦の後継とも言える機体だった。発動機のせいであれしたが。奴らのどんより具合がわかろうというものだった。


 十三試艦攻のチームは悩んでいた。確かに望んでいた強力なエンジンが手に入った。しかも中島自社製だ。

 しかし、それは、デカい、重い、燃費が悪い、ある意味三拍子揃った艦上機には扱いづらいエンジンだった。

 キ44のように機体規模を拡大するわけにはいかなかった。

 艦載機である。機体寸法に制限があった。エレベーターに収まらなくてはならないのである。

 全長11メートル以内にあのでかい奥行きのあるエンジンを載せなければならなかった。

 今の護エンジン装備機でさえギリギリで垂直尾翼を前傾させている。胴体の再設計をするしか無かった。

 設計部では今いる人数で良いかと言われれば足りないという外なかった。緊急である。至急である。

 会社に相談して手空きの人間を借りた。


「十三試艦攻だが、魁エンジンに合わせて再設計することにした。今の護エンジンの設計では魁エンジンが積めないからだ」


「どういう形にするんですか」


「あのでかいエンジンだ。前方視界は必ず言われる。特に着艦時に前が見えないのは致命的だろう。よって操縦席を高くする」


「高くするとは要するに、胴体全体を高くすると言う事ですか。それとも風防を高くして胴体は今のような細長い形ですか」


「胴体全体を高くしようと思う」


「空気抵抗が増えると思いますが、そちらはどうされますか」


「空気抵抗が増えてもエンジンが強力になっているので、今の、ああ、護エンジン搭載機の設計値よりも良くなるはずだ」


「エンジンの全長が長いんですよね、胴体内燃料タンクはどうしますか」


「廃止する」


「ではすべて主翼内タンクでまかなうと」


「そうだ」


「海軍からは戦闘半径500海里の要求が来ていますが実現可能でしょうか」


「とりあえず主翼の設計をしてそれで無理そうなら、海軍に相談する」


「まずは設計ですね」


「取りかかろうか」


 胴体の再設計は意外なことに順調に進んだ。魁エンジンの現物が社内にあり、大きさがイメージしやすかった為かも知れない。


 胴体は良かった。問題は翼だった。大量の燃料を収容する主翼、魁の大トルクを吸収しないといけない尾翼。


 問題は大きかった。


 主翼は断面形状を改め、流行の層流翼に近い前縁から37%のところが最大厚になる翼系を採用した。

 それに伴い主翼平面形も変えられた。

 これにより主翼内容積の増大がなされ、燃料タンク容量が確保できた。


 機体が重いにもかかわらず主翼面積を増やせないので、離着陸時の揚力の確保には苦労した。

 スロッテッドフラップ、主翼前縁スラット、を採用しなんとか着艦速度が満足できるような翼面荷重を確保した。


 尾翼は、とにかく魁エンジンのトルク吸収が課せられた。


 計算上や社内風洞では良かったのに実際に飛ぶとダメなど日常茶飯事だった。


 そんなことはわかっていても最善の形状を追求していく。

 水平尾翼に前縁スラットが着いた。垂直尾翼はさらに傾いた。

 主脚の強度を増し、着艦フックをさらに荷重に強くする。


 試験機が出来上がった。様々な地上試験をパスしいよいよ初飛行である。

 足出し飛行では順調と言っても良かった。あらかじめ予想された不具合しか出なかったせいであった。

 それはエンジントルクによる機体のねじれ。

 垂直尾翼をさらにいじる必要が出てきた。


 それが解決できる見通しが立った頃、今度は特定の仰角で昇降舵が効かなくなるという致命的な物だった。幾多の風洞実験の結果、主翼後流とプロペラ後流が干渉して水平尾翼付近の気流が乱れるという物であった。

 いろいろな意見が出て、全浮動式水平尾翼を使うことになった。これにより水平尾翼の角度を変え気流の影響を避けるという物だった。


 試作五番機ではプロペラ変更に伴う影響で速度は上がったが、カウンタートルクもきつくなった。

 これは、補助翼・昇降舵・方向舵のトリムを自動調整する機構をつけて解決した。


 いよいよ十試艦攻の屈辱を晴らすべく公試である。


 抜群の性能を見せた。

 水平全速 二百五十ノット

 航続距離 戦闘半径430海里


 八十番模擬爆弾装備時の運動性が2号艦攻や3号艦攻とはまるで違っていた。

 航空魚雷装備時も同じで運動性がまるで違っていた。


 航続距離が足りなかったが、海軍は運用試験すると言って増加試作機の製作を命じた。


 社内は歓喜だった。ようやく十試艦攻の屈辱が晴らせた。


 正和十六年秋だった。





キ四十四と十三試艦攻(天山)ですが魁搭載で、高性能になりました。

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