身の上を語る娘
この一年間という日々の中で、体はすっかり良くなったように思える。此処が最高の花園であることに間違いはないようだ。
「…買い物に行ってきてくれないかしら?」
いつものように司教に頼まれて、買い物に行こうとしたときのこと。
「その前に、話を聞いてくれよ。」
「もちろんよ。」
そして、俺は身の上を話し始めることにした。
「…何となく、話したくなったから話すけどよ。俺は海賊王の娘だったんだ。海賊王メール・アンテュールの娘、ファンテーヌ・ベシルコス・エブヘンディ・エレオス。母さんはいなくても、父さんと、仲間とのどんちゃん騒ぎの生活は幸せだった。父さんから、母さんはお前を生んだ後に死んだって聞かされていたし、名前も顔も知らねえ。ただ、神聖エレオス王国の女王で妹がすごい花園を持っているらしい、ってのは聞いていたわけで、いつか其処に連れて行ってやる、と言われていた矢先に船が遭難して、俺以外み~んな壊血病にかかって死んじまった。というのも、み~んな『お前は跡継ぎだ。』とか『かわいい姫だ』だの言って残り少ないレモンを皆、強引に俺に食べさせたからだ。あ~あ、受け取りたくないって言っても誰も耳を貸そうともしない。
俺は、仲間や父さんが死んだ後、固くて冷たいハードタックを海水に付けて食べようとしたり、遺体を食べようかと思ったり、色々考えたが結局、父さんの船は海の底で眠っているし、私はお前に拾われて此処にいる。」
「貴女が、あのメール・アンテュールの娘だったとはね。」
どうやら、彼女は何か知っているらしい。
「話してくれて、ありがとう。後で良いものを見せるから、楽しみにしててちょうだいね。さあ、買い物に行ってきて!」




