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闇の一夜
―強く吹き荒れる風、雪山を岩が転がり落ちる音。
(...ラウル、ゾエ、着いたかな。)
そんな事を考えていると、ふと視界の端に映った人影が気になった。
「…スティニス!」
「………」
相変わらず無言でいる。だが、彼は間違いなく妹の夫だ。なぜ、こんな極寒の地にいるのだろう?と疑問が頭をよぎった。此処は、ベーチェル公国。我が国より10度も低い気温である。
「お前は、どうしてこんなところにいるんだ?」
「フォーリィが、倒れた。」
「………!」
母、インルビン皇女と同じ病に罹患している、と彼は言った。戦慄を覚え、冷たい地面に崩れ落ちる。
「…王よ、心配しなくて良い。壊しに来た、我が一族の呪いを…」
「…俺も、同じだ。」
幾らか、スティニスの言葉で落ち着きを取り戻すと、本来の目的を思い出す。星巡りの伝説になぞらえなければならない。
『光と闇、泉と菫、炎と蝶、再会を誓い合う緑と白、そして愛しい黄金の林檎。あなたは選ばれた者。幸多くありますように。』
「…スティニス、一緒に行こう。」
「…わかった」
こうして、一夜は過ぎていった。




