新入り「飯田尚正」と、ライブ配信の『投げ銭(物理)』
異世界の荒野。ボロボロになった五味たちの前に、眩い光と共に一人の男が転れ落ちた。
「……え、ここどこ? 俺、さっきまで仕事してたはずなんだけど」
現れたのは、現代社会で揉まれてきた中堅サラリーマン、飯田尚正。
彼は混乱する間もなく、騎士団によって「追加の戦力」として五味たちのパーティーに放り込まれた。
「飯田さん、気をつけて! ここは死ぬほど過酷な異世界なんです……!」
五味が必死に叫ぶ。だが、飯田は現代で培った「忖度」と「社畜根性」を武器に、騎士団に媚を売り、五味たちを顎で使い始めた。
現代日本。白夜の自室。
モニターには、新キャラ「飯田」が加わったパーティーの様子が映し出されている。
「あははは! 誰だよこの飯田っておっさん! 異世界に来てまで上司ヅラして、五味くんに荷物持ちさせてるじゃん。全米が鼻で笑うどころか、労基がアップを始めるレベルのドブカス社畜だね。」
白夜はポテトチップスを放り投げ、キーボードを叩く。
掲示板のコメント欄は、新キャラ・飯田への罵詈雑言で埋め尽くされていた。
『飯田きもすぎ』『こいつ早く魔物に食われろw』『五味、不憫すぎる』
「お、視聴者からのリクエストが多いね。……よし、ライブ配信の『視聴者参加型企画』、いってみようか」
白夜はニヤリと笑い、スキル『現世接続』と『迷宮主宰』を並列起動させる。
「えい。**『投げ銭(物理)』**の時間だよ。」
白夜が画面上の「スパチャボタン」を模した魔法陣をタップした瞬間。
異世界の飯田の真上に、**現世の「鉄の塊(粗大ゴミ)」**が転送された。
「ぎゃあああ!? 何だこれ、重っ……ぐえぇっ!」
飯田の足元にドスンと落ちたのは、白夜が近所のゴミ捨て場から調達した「壊れた冷蔵庫」だった。
「あははは! 飯田さん、ナイスキャッチ! 異世界に家電製品とか、シュールすぎて腹痛い!」
五味たちは突然空から降ってきた「謎の箱」に腰を抜かしている。
白夜はさらに、キーボードを叩いて干渉を続ける。
「次は五味くんにプレゼント。これ、僕がさっき飲んだコーラの空き缶ね。中には**『周囲の魔物のヘイトを100倍にする香水』**をたっぷり詰めといたから。」
空中から五味の頭に空き缶が直撃する。
瞬間、周囲の森から数千匹の魔物の咆哮が響き渡った。
「な、なんだ!? 何が起きてるんだよ!」
絶叫する五味と、冷蔵庫の下敷きになって動けない飯田。
「あはは、いい画だね! これこそが僕の見たかった『絆』だよ。飯田さんを見捨てて逃げるか、一緒に潰されるか……。さぁ、どっちを選ぶ? 全米が君たちの選択を、鼻で笑いながら待ってるよ。」
白夜はモニターの前で、冷えたコーラを喉に流し込む。
彼の作る「現代ダンジョン」の素材として、五味と飯田の「絶望」は着実に熟成されていくのだった。




