第22章 私じゃないって、言ったじゃないですか
私じゃないって、言ったじゃないですか。
あのときも、何度も、何度も。
口が裂けるほど叫びました。喉が潰れて、声にならなくなるくらいに。
それなのに、あなたは聞こうとしなかった。
違うんです。
本当に違うんです。
あれは私じゃなかったんです。
……でもまあ、今さらですよね。
ここまで読んでしまったあなたに、言っても仕方のないことかもしれません。
もう結論は出ているんでしょう?
「お前だった」って。
それでも、私は話します。
誰に信じられなくても、せめて私だけは、自分のことを信じてあげなくちゃ。
あなたが最初に私を疑ったのは、たぶん“あの言葉”を聞いたからでしょう。
「彼女が最後に会っていたのは、あの子だった」
誰がそんなこと言ったのか、今となってはわからないけれど、
あの瞬間から空気が変わったのを覚えています。
みんなが私を見る目が変わった。
微笑みが、皮一枚の嘲笑に変わるのに、時間なんてかかりませんでした。
あの子がいなくなった日、私は家にいました。
ひとりで、部屋にこもっていました。
証明できるものはありません。だから、疑われたんです。
信じてもらえる理由が、どこにもなかったから。
でも、あなたは知ってるはずです。
あの子が、どんなふうに壊れていったのか。
どんな言葉を囁かれて、どんな目で見られて、
どれほど追いつめられていたか。
私じゃありません。
私は、あの子の“最後の味方”だった。
信じてなんて、言いません。
けれど、これだけは知っていてほしい。
あの子がいなくなったあとで、
わたしの部屋のクローゼットに、“あの子の制服のボタン”が置かれていたんです。
意味、わかりますか?
そこに、ボタンを置いた誰かがいたということ。
私を――陥れた“誰か”がいたということ。
ねえ、聞いてるんでしょう?
あなたでしょう、置いたの。
だって、あなたしか知らなかった。
私の部屋に、スペアキーがあることを。
私じゃないって、言ったじゃないですか。
あなたが、
私を犯人にしたんです。




