45 お呼びじゃないヨ
ポチリと拍手等、ありがとうございます。
森林から続く平原に囲まれているメルディ国の王都・メロディニアは、これまで通過してきた町と比較すると、とにかく縦にも横にも広かった。
どのくらい広いか……何と比較すれば分かりやすいだろう……。
『カジス村が10程入るくらいです。端から端まで馬車で1日は掛かります』
カジス村がどの位の広さなのか知らないのに、10個入る言われても分からないっての。
元の世界でも、○○何個分とかって表現をよく見たけど、あれを見るたびに思ってたんだよね、「それで分かるかぁ!」って。
例えている○○を知っている人でも、何個分とか言われてどの位か分かる訳ないと思うんだよね。知らない人に至っては、あっそうって感じ。
取り敢えず、広いとか高いとか大きいとか分かればいいって感じなんだろうけど……身近じゃない物に例えられても困るっての。列島がすっぽり入る言われても想像付かないよ……。
まあ、厳密に理解しろって訳じゃないだろうから、いいけどね。
んー……大体の感覚だけど、カジス村が『住んでる人はみんな顔見知り』レベルの田舎で、メロディニアが『隣近所はなんとか分かるが少し離れれば知りません』レベルのちょっとした都会?
王都にある王城を都道府県や市町村の『庁舎』と考えれば、なんとなく王都と他の町や村との違いが分かると思う。
ブラウの上――本日の足である――から見るに、ゴチャゴチャした感じは流石は王都?
多くの人々が並んでいる大門から王城まで一直線に続く広い幹線道路には、きちんと石畳が敷かれている。その道路を起点に横道が縦横無尽に走っており、王城に近い場所は貴族の屋敷っぽいのが広い庭付きで立ち並んでいる為、例え横道でも石畳が敷かれているが、王城から遠くなればなるほどその横道は……雑。
この部分だけを見るに、あたし的にはこの国の貴族に関わりたくない! と思ってしまう。一般市民の生活水準を思いやれん奴等なんぞ相手にしたかないっての。
念の為、マップを確認――って、そうだ。このマップもリニューアルしてみた。
今までは、赤・青・緑の光の三原色な点があるだけだったが、この点を丸にしてみた。しかも、ただの丸じゃなく、二重丸にしてみた。まあ、丸の中は色が塗られているんだけど。
まず、外側の丸は生死が分かり、内側の丸は今まで通り敵味方なんかが分かる様になっている。
外側の丸が黒くなると対象が死亡した事を表し、内側の丸と同じ色だと生存。グレーは死んではいない状態(笑)
内側の丸の色にも少し手を加えようかと思ったんだけど、あんまり色があり過ぎても分からなくなるからそのままにして、丸の大きさに手を加えてみた。小・中・大・特大の4種。ゲーム風に言うと、ザコ敵・ボス・大ボス・ラスボスみたいな感じだ。
つまり、簡易トイレ内に居る犯罪者達は、外がグレーで中が赤の中サイズの丸。ルチタンにいる盗賊達は、外がグレーで中は赤の小サイズの丸という感じだ。
ちなみに、ネス、ルベル、ブラウ、フォスは外も中も緑な特大丸である。なんでそこまであたしに懐いてんのかはいまだ謎である。
あと、全ての丸が見えているとマップが見にくいので、普段はあたしに関係する者、する可能性のある者だけ表示されている様に変えた。勿論、全てを見ようと思えば直ぐに切り替えは可能である。
なので、今のマップに表示されているのは、仲間であるネス達、モンド隊長達、護送対象の他、大門から100メートルくらい離れた場所にある塔――多分、犯罪者等の出入り口になる詰所――にいる青小丸の6人、多分ギルド本部だと思われる、幹線道路の丁度中間辺りにある大きな建物の中に青緑――どっちだ――大と中丸の2人、王城にも青小丸が5人程いる。
で、だ。
うん。
あのクズ共が中サイズの丸だったから、もしかしてとは思ったけど……。
塔とギルド本部を繋ぐ裏道上に、赤い丸が複数。ほとんどが中サイズなのに、1つだけ、特大丸がある。
あー……あのクズ共の親分? テンプレだと、貴族かな?
「面倒くさぁ……」
思わず呟くと、あたしの声を拾ったフォスが子犬や子猫サイズになり、手綱を握る手と手の隙間にちょこんと降り立った。
「どうかしたのかえ?」
なんというか、微妙に古くさい話し方もどきをするフォスにちょっとだけ笑い、あたしは下に聞こえない様に防音結界を張り、深々~っと溜め息を落とした。
「王都にねぇ、あのクズ共のボスがいるっぽいんだよ」
「ふむ……リジーの言っていた『まっぷ』にそう表示されておるのか?」
「うん、そう」
ルベルやブラウ、フォスには、あたしが間違って召喚されてきた者である事はこの一月の間に説明してある。神至上主義の為、本気であたしを守ろうと奮闘する姿に信頼できると思ったからだ。全開で懐いてくるもふもふに絆された訳じゃないよ、うん……。
その際、神の加護については問題あり過ぎな為、秘密にしたけど、マップやマルの事は説明してある。マルの説明をした時、ブラウとフォスが微妙な顔をしていたけど……あれはなんだったんだろう?
そんな訳で、こういう時の話し合い(?)はスムーズになった。
「やれやれ、じゃな。神獣と契約しておる者に喧嘩を売るとは、身の程知らずにも程があるのぉ」
ルベルが呆れた様に零す。
「まっ、なにかあれば、さっさと縄でグルグル巻きにしちまえばいいんだよ」
ブラウがくつくつと笑う。うん。なにかあれば、ブラウが真っ先に飛び出すだろうね。
「我に任せよ。リジーの敵という事は、表裏神様を蔑ろにした者で間違いない。生き地獄を味わわせてやるわ」
……本当に、看破結果にあった『平和主義』はどこいった?
うーん……でもま、大丈夫か。
ここに来るまでの間に『あの提案』が通っているから、あの特大赤丸の罪を暴ければ後は楽だ。報復なんて不可能になる。
『神々から贈られた物の中に、あの赤丸のモノが含まれている可能性も十分にあります』
あ、そうか。『贈り物』が有効活用される可能性もあるのか!
うん、じゃあ、やっぱり大丈夫だね。
かーなーり気分が軽くなり、あたしの口に笑みが零れる。
うんうん。ヤル気満々な神獣2人――『人』で数える事にした――がいるし、切り札ももしかしたらあるかもしれないし、執拗に絡んでくる時は「脛に傷を持ってそうだね」と捕まえちゃえばいいし?
『なにかあれば、神々が必ず助けますし』
要らんわっ! あんたらは大人しくしてなさいっ!!
マルにツッコミを入れつつ、あたしはモンド隊長達と共に王都の兵達の前で定番の測定器検査を受け、検査した王都の兵達をそのまま護送警備に加え、王都の中に入るのであった。




