1: 主人公は奴隷
何かおかしい所があれば教えてください。
メラメラと燃えて崩れ落ちる建物。一見普通の店となんら変わりないその建物は薄暗い地下まで続いている。普通の店とは思えなくなったその建物の地下には、数々の牢があった。
そんな燃え落ちる建物を空中の魔法陣から出てくる水で消火している者達とそれを横目に、店にいた商人達、牢の中に居た者達を一人一人確認している者達がいる。
「……17、18、……20! 居ます。120人確認出来ました!」
「ご苦労。さて、そっちはどうだ?」
周りにいるのは綺麗な装いをした武具を付ける集団。それを人々は騎士と呼ぶ。その目の前には地面に尻を付けて大人しく座っている者達がいた。薄い服を身にまとい、体や髪の毛全身が酷く汚れていた。
その目には生きている事への感情が一切写っていなかった。最早生きていても死んでいてもどちらでも良いという様な。
そんな者達とは別に、何が何でも生きて居なくてはという強い執念を持った者達も居た。
「120人中15人は「暗奴」でした。残りは普通の奴隷の様です。ですが、「暗奴」ではありませんでしたがそういう経験のある奴隷が3名程おります」
「15人……随分多いな」
「どうせ奴らは「暗奴」だと知らなかったんでしょうね。ご覧の通り、暗奴紋は全員魔力で隠していましたから」
そう言いながら一人の男は「暗奴」と呼ばれるうちの一人の男の服を捲った。
騎士達が奴隷を確保した際に普通の奴隷達の拘束具と違い、彼等には魔法拘束具が付けられた為、体を動かす事も出来なかった。
捲った服の下から出た肌に向け、解除魔法を唱えた。そこには、先程まで何も無かった肌に奴隷紋とは別の小さい紋が刻まれていた。
「暗奴紋だな」
「はい。確認しました所、15人全員付いていました」
この部隊を従えている者は長年、現宰相の手足となって動いている者だ。
今回もこの国の国王陛下からの命で宰相が自分の家の部隊を動かさせた。国王は最近即位したばかりで歳も若い。宰相も国王より8つ程歳上だが、それでも3年程前に宰相の位になったばかりだ。
そんな宰相と同い年の息子が居るこの男は公爵、宰相の父と幼い頃から自らの息子達と同じ様に友として育った者だ。
宰相の実家の公爵家に長年仕える家系の一人。
今回の命は大商人が奴隷売買に関与していること、それと同時に他国へこの国の情報を流していたこと。
奴隷売買は良く思われないが法律で定められてもいない為、普通に売買されている。
だが、この商会は貴族の客も多い為そこから情報を得て他国に流していた。
「た、隊長!」
「どうした」
「この名簿を見て下さい! 「暗奴」達の名前です」
部下から名前の書いてある紙を受け取った。そこには「暗奴」の名前だけ記載されていた。
「……! な、……おい! 何処にいる!?」
「こ、此方です」
15名の名前の中からとある一人の名前を見て、男は直ぐにその「暗奴」を探した。部下も問われる事が分かっていたからか、直ぐに案内した。
「何故こんな大物がここに!?」
案内されたのは先程の「暗奴」とは少し離れた所で、数個の拘束具が付けられた一人の「暗奴」を数人の自分の部下が囲んでいた所だ。
「隊長!」
「本当に本人なんだろうな?」
「間違いございません」
男達に囲まれて数個の拘束具を付けられ、地面に座っていたのは一人の女性だった。
「黒い髪に反して、色の無い瞳に肌。間違いございません」
「……まさかこの目で拝める日が来ようとは。」
その者の名は、
「「闇夜」のアウラ」




