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異種超級二等武神

 何度も何度も、首輪で吸える限界まで魔力を吸われたクラリスが、何をしてるんだろうと思って後ろを見てみると、クラーラが近接戦をしている光景が目に飛びj込んできました。

 

「クラーラって護身術程度の心得しかないし、運動不足でオマケに運動神経も良い方じゃないから、あんな達人みたいな剣さばきや体さばきは不可能なはずなんだけど……」

「ご友人も、大したものでござるな。剣技だけなら、ヨシツネ様を上回っておられる」

「何かしら、イカサマはしてるだろうけどね」


 クラーラの見た目の変化は、モーニングスターが剣に変わってることくらいですが、運動能力が爆発的に向上しています。

 スピードではクラリスにかなり分がありますが、単純な膂力では負けそうですね。

 それ以上に、クラリスが異常に感じているのが、あの剣術ございます。

 状況に応じて剣の大きさや長さ、形を変えて戦うあの剣術は、手にした武器の大きさや形が基本的に変わらないと半ば思い込んでいる大多数の者にとっては、厄介極まりないでしょう。

 いわゆる、初見殺しと言うやつですね。

 ですがヨシツネはクラーラの剣術に、防戦一方とは言え対応しています。


「表情が優れぬが、ご友人が心配でござるか?」

「心配は心配だけど……それとこれは別かな」


 心配なのは確かです。

 ですがクラリスの表情が優れていないのは、クラーラが吸い続けている魔力の量が異常だからでございます。

 クラリスはタムマロにマナの壺を埋め込まれて以来、無限とも言われる量の魔力を得ました。

 でも実際は、周りがそう言っているだけで有限。

 生み出される魔力の量が規格外に多いので、数十人、数百人分の魔力を使ってようやく使える神話級魔法を連発できるだけの魔力を得られているだけで、一日に生み出される魔力には限界はあるのです。

 なのにクラーラは、首輪で吸える限界量の魔力をずぅ~~~っと吸いっぱなしです。

 それだけの魔力が、今使ってる魔術を維持したり要所要所で攻撃魔術や拘束魔術を使うのに必要なのだとクラリスは理解していますが、吸われてる身としてはたまったものではありません。

 仮に、これがクラリスではなかったら、数百人規模の人間が干からびて死んでいるでしょう。


「心配なさらずとも、ヨシツネ様はご友人を殺めたりいたしませぬ」  

「オジサン、やっぱ優しいね。でもあたしたち、オジサンの部下をいっぱい死なせちゃったよ?」

「それはそうでござるが、それは戦ゆえ、仕方のないことでござる」

「そうだけど、部下に思い入れがないわけじゃないんでしょ?」

「無論でござる。彼らはヨシツネ様の理想に感銘を受け、異国の地までともに来てくれた同胞。彼らの死は、拙僧の心にも、ヨシツネ様の心にも深い傷となって残るでござろう」

「じゃあ、どうしてヨシツネが、クラーラを殺さないって断言できたの? それにオジサンだって、あたしに手を出さないよね?」


 現状、クラーラとヨシツネの戦いは互角に見えます。

 でも、クラーラが押され始めているのは、魔力を吸い取る間隔が不規則になってきてることからも、位置関係を気にして動きが単調になってきてることからも、クラーラの弱点を知っているクラリスからしてみれば明白。

 おそらくヨシツネは、クラーラがクラリスと一定以上の距離を開けないことで、離れすぎると魔術が使えないと気づいたのでしょう。

 そのせいでクラーラは、余計にでもクラリスとの距離を気にする必要ができたため、魔術の制御にも支障が出始めているのでございます。


「うら若き乙女に手を出すのに、抵抗があるのでござる。それに、貴女たちは悪人ではござらぬ。拙僧もヨシツネ様も、悪人は斬れぬ」

「そっか。甘いと思うけど、その考え方は嫌いじゃないわ。でもさ。オジサンって、さっきからあたしの足をチラチラ見てるよね? あたしを動けなくして、自分の女にしちゃおうとか考えないの?」

「せ、拙僧はこれでも僧でござる! そのような下劣は考えは……!」

「ない? 本当に? あたし、オッパイは小さいけどスタイルには自信があるんだよ? ほら、お尻も良い形してるでしょ?」


 と、言いながら、クラリスは腰を浮かべて裾をめくりました。

 するとベンケイは、顔を真っ赤にして顔をそらしました。

 後ろで遠巻きに見てる兵たちからは、「おおっ!」っと、短い歓声があがっていますね。


「お、おやめなされ! 嫁入り前の娘が、そのようにはしたないことをするものではござらぬ!」

「お固いなぁ。でも、そっち(・・・)は固くなったりしてるんでしょ?」

「なっておらぬ! あまり拙僧を愚弄すると、さすがに怒りますぞ!」


 おっと、さすがにイジメすぎたかな?

 と、反省しつつも、クラリスは怒りと照れが入り混じったベンケイの表情が可愛いと思い、性欲が三割増しになりました。

 私には全く、これっぽっちも理解できませんが、クラリスは自分好みの体型で性格も優しくて、しかも絶倫 (仮)なベンケイを、初めての相手に決めてしまいました。 

 クラーラの方も気にはしていますが、今のクラリスにはベンケイを手に入れることの方が優先度が高いので……。


「じゃあさ。勝負しようよ」

「勝負で……ござるか?」

「そう、勝負。あたしが勝ったら。オジサンの童貞を貰う。あたしが負けたら、あたしの処女をあげるわ」

「いやいや、意味がわからないでござる!」

「そう? 要は、戦争の決着を着けましょうってこと。あたしが勝てばヒミコさんの依頼を達成できるし、オジサンが勝てば侵略を続けられる。ね? とってもシンプルでしょ? 処女と童貞は……戦利品ってやつかな」


 勝負を挑みました。

 ですがけっして、欲望に頭が支配されたからではありません。

 クラリスはクォンに言われた通り、馬鹿になろうと努力してきました。

 だけど、どうも上手くいきません。

 どうしても、頭の方が先に動いてしまうのです。 

 故に、自分の中で最も大きい欲望に身を任せちゃえば良いと考え、性欲のおもむくまま全力で戦おうとしているのでございます。


「拙僧、ヨシツネ様ほどではありませんが、強いでござるぞ?」

「上等よ。弱い男なんて、こっちから願い下げだわ」


 クラリスが頭に思い浮かべプランは、ベンケイを倒して縛ってクラーラに加勢する。

 それだけでした。

 おっと、さらにもう一つ、すべきことを思い出したようですね。

 クラリスは、戦う前はやっぱりちゃんと名乗らないとと思い、すぐに……。 


「溢れる魔力を拳に乗せて、龍すら(ほふ)る無敵美少女!

 夢は憧れのお姉さまと、くんづほぐれつのいちゃLOVE生活!

 だから負けない!負けられない!

 邪魔する奴は、問答無用でぶん殴る!

 心意六道拳皆伝、異種超級二等武神いしゅちょうきゅうにとうぶしん クラリス!

 さあ、拳で語り合いましょう!」


 タイミングも脈絡も関係なく、それっぽい動きとポーズを決めて名乗りました。

 ですが、先に言った通りタイミングも脈絡も関係なく名乗ったので、ベンケイを含め兵の皆さんはポカーンとしています。

 その雰囲気に堪えられず、クラリスは……。


 「ちょっと、恥ずかしいかも」


 と、照れながら呟いてしまいました。

 その呟きが聞こえたからというわけではないのですが、ベンケイは気を取り直して立ち上がり、兵たちを下がらせました。

 そして、薙刀(なぎなた)と呼ばれているオオヤシマ独特の武器を構えて……。

 

「ゲン軍副司令、ヨシツネ四天王最後の一人、ムサシボウ・ベンケイ。お相手仕る」


 と、クラリスの口上に応えました。

 さて、本編はここで終わりですので、最後にクラリスが名乗った、『異種超級二等武神』という称号の説明して終わりましょう。

 この称号を授けたのは、クラリスの師匠であるクォンなのですが、異種とは異質な種類の気を持っているという意味。

 要は、クラリスが持つ黄金の魔力を指します。

 そして、次の超級。

 クォンの流派では、魔力の多さに応じて一級から五級にわけられています。

 普通の人が四級で、あの魔力を手に入れる前のクラリスは三級でございました。

 そして超級は、一級以上の魔力を持つ者に与えられる階級。

 なので、称号の前半を噛み砕いて言いますと、異質で規格外の魔力と言った感じになります。

 そして、後半の二等武神の部分。

 二等とは、武道で言うところの段位に相当します。

 一番下が五等で、一番上が一等。

 武神の部分は自称に近いのですが、クォンは多くの人たちから武神と呼ばれ、崇拝もされていますし、クラリスの過去でもお話したように、修行は過酷を極めます。

 なので、それに堪えられた人間は武神と呼んでも差し支えないのでしょう。

 ちなみにですが、クォンの場合は、(へい )種一級一等武神になるそうです。


 

読んでいただけるだけで光栄なのですが、もし「面白い!」「続き読みたい!」など思って頂けたらぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

ぜひよろしくお願いします!

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