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つい渋面になってしまったフィーに、心配したのかセルが声を掛けてくれた。
「どうしたの?
驚かせちゃったみたいかな…ごめん」
詰めていた息をそっと吐きだし、正気を取り戻したフィーは少し慌てたものの、3人を順番に見てから地図に視線を落とす。
「い、いえ!
私こそ申しわ……すみません。
それで、あの、此処……倉庫や建物には印がないのですが、探索してない…と言う事でしょうか?」
3人の視線がフィーから離れ地図の方へと移動する。
そして合点がいったのか、誰ともなく『あぁ』と納得の呟きが漏れた。
「そう言えばフィーには、あまり詳しく話してなかったかもしれないね」
「一応、継承魔法…口伝に似た魔法の事は話したぞ」
セルの言葉にルルが口を開いた。
「ってか、セルに聞けって、俺、言ったじゃん。
まだ聞いてなかったんだ?」
ルルがフィーの方へ顔を向ける。
「申し訳ございません。
つい聞きそびれたままに……」
フィーの返事に、ルルはやれやれと肩を竦め、セルは複雑な表情でフィーとルルをチラ見していた。
「折角、俺が切っ掛けを……げふんがふん!
あ”~~~~~、うん。
講義のある日って、二人ともこの部屋に空き時間も居たんだろ?
話す時間なんて山ほどあっただろうが…」
呆れたように言うルルに、セルが表情を苦笑に変える。
「意外にも話をする余裕なんてなかったんだよ。
成績の偽装とか…色々あったからね。新たに成績も付け直さないといけなかったし、在校生だけでなく、こうなると卒業生の成績も怪しいって話に発展してしまって…」
「はぁ?
卒業生って……そんなもん、古参共の仕事だろうが…」
「まぁそうなんだけど……疑わしい者を、ざっくりとで良いから探してみてくれと…。
多分フィーが居るから…って事なのだろうけど。
卒業生と言われても、この国へ来て間もない僕では、さっぱりお手上げだからね」
セルが困ったように、同意を求めてフィーへ顔を向ける。
事実だったので、フィーも深く頷いた。
その様子にルルが、忌々しそうに吐き捨てる。
「ったく…この学院…だけじゃねぇな…。
この国に真面な人材はいないのかよ…」
零したくなる気持ちは、わかりすぎる程にわかるので、フィーも苦い笑いで誤魔化すしかない。
「まぁまぁ。
とりあえず探索の方に集中しよう。折角の機会を愚痴で潰すのも馬鹿らしいし、ね?」
「それは…セルの言う通りだな」
ルルも納得したところで、セルによって話は無事に軌道修正された。
結果としてわかった事は、口伝にも似た継承魔法の他に、やはり言い伝え…こっちは魔法ではなく、本当に口伝だったり文献だったりしたらしいが、セル、シャフ、ルルの家それぞれに伝えられていた事があるのだそうだ。
セルが教えられた言葉は『閉ざされし緑の深み』
シャフに伝えられたのか『緑の腕に抱かれし場所』
ルルには『緑の奥へ進め』
だそうだ。
全てに『緑』という言葉が入っているので、まず屋内はあり得ないだろうと、屋外にばかり目が向いていたと言う。
キリ良く話が止まった所で、目を伏せがちに考え込んでいたセルが口を開いた。
「でも、確かに『緑』と言うだけで、『外』と明言されている訳じゃない。
建物の内部も調べておいた方が良いかもしれないね」
「いや、でも無駄足になりそうじゃん…」
セルの言葉に、ルルがむぅと唸って肩を竦める。
「ですが、調べて何もなければ、『何もなかった』と言う事がわかります。
今でしたら北側の建物を追加するだけですし、あまり手間はないでしょう」
「うん、僕もそれに賛同するよ。
外に限定して全域調べても、それで何もなければ、また北側から調べ直しになる訳だしね。
行ったり来たりを繰り返す結果になるのは避けたいかな」
「えぇ、時間の無駄…ですから」
セルとシャフが建物内も調べる事に決めた為、ルルも渋々ながら同意する。
次に探索場所の分担だが、北側の建物内部の調査はシャフとルルが担当。
フィーは、セルに同行して北西側のエリア担当となった。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
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