表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/123

107



 ドニカの魔力が、頭を庇う手に集まっている。


 魔力の量は決して多くないらしく、拳一つ分より少し小さい範囲を覆う程度だが、その集まった魔力が、皮膚表面の硬度を上げているように視えた。

 持久力も乏しい様で、魔力は散って、直ぐに皮膚強度も元に戻ってしまったが、身体強化の魔法の一つと見て間違いないだろう。


(へぇ…身体強化が出来るなんて、ゲーム内にはなかった設定だと思うけど…これは…いける)


 身体強化魔法は、術者によって発現の仕方が大きく違う。

 それ以前に、身体強化を使える術者が少なく、発現形態を分析できる程のデータがないのだが、多くはドニカのように皮膚硬度を上げると言うパターンだ。


 そして術者が少ない…つまり希少魔法と言う事だ。

 これが明るみに出れば、ドニカは別の意味で注目を集めてしまうだろう。本当に王家や高位貴族に望まれるかもしれない。

 それは絶対に阻止しなければならない。


 阻止を失敗すれば、アンネッタと公爵家の安寧に、影を残してしまう可能性があるからだ。その為には、このままドニカを遠くへ追放してしまうか、反対に囲い込むのが良いだろう。


 ちなみに身体強化魔法はフィーも使えるのだが、フィーの場合、皮膚硬度を上げる事も出来るし、活動時間の延長や筋力増強までこなせるチート級である。

 当然、お口をミッ〇ィーちゃんにしておかなければならない。



 ヤッセムが倒れ込みかけたドニカを、何とか支えきると同時に、フィーが口を開いた。


「奥様」


 平坦で特に鋭さもなかった声なのに、どこか緊迫していた部屋の空気を一瞬で切り裂いた。


「……フィー…?」


 メナジアは身を引いた体勢で固まっていたが、フィーの声に我に返ったのか、のろのろとフィーへ顔を向けて名を呟いた。


「モーソー嬢には労役を科しましょう。

 そうでない場合、どこか遠くへ追放でもするのが良いかと思いますが、その場合、彼女はほぼ間違いなく命を落とすでしょう。

 首謀でなかった彼女に、流石にそれはどうかと思うのですが…如何でしょう?」


 フィーの言葉を反芻でもしているのか、メナジアは視線を床に落とし、何やらぶつぶつと呟いている。

 咄嗟に判断できないのも当然だ。

 

 そんなメナジアの様子に、意識が向かないくらい驚いていたらしく、サリタが怪訝な顔で尋ねてきた。


「労役………まさか鉱山送りにでもすると言うの?

 それくらいなら追放の方がまだ……」


 サリタの言葉に、メナジアも『そうね』と零している。

 当然その場は困惑に満ちた空気に支配された。当のドニカは今にも失神しそうな程、真っ青になっている。

 そんな皆を前に、フィーは口角だけを微かに、そしてゆっくりと引き上げた。


「いいえ。

 この邸での労役でございます」


 フィー以外の全員が目を丸くした。

 皆の内心を代弁するように、サリタが口を開く。


「この邸って……そんなの…それでは罰になるどころか、栄誉になってしまうじゃない」


 サリタの呟きに苛立ちが見える。それも当たり前の事だ。

 公爵家の使用人と言うだけで、かなりなステータスになる。

 所謂(いわゆる)『エリート』と言う奴で、羨望を集めるのに十分な肩書なのだ。


「第一、罰になる程の重労働なんてないわよ。それはフィー、貴方が一番よく知っているでしょう?」


 勿論である。

 公爵邸の使用人達の職場環境改善に努めたのは、フィーだったのだから。

 そのおかげで現在の公爵邸の仕事内容は、とてもホワイト且つクリーンである。

 まぁ、フィー自身はかなりブラックになってしまっているが……。


 皆が疑問に思い、(いぶか)しむ様な視線が集中する中、それでもフィーは微笑みを消さない。


 消さないまま、フィーは考える。


 フラグを断つ為にも、かぼちゃラーメンの捜索は続けるつもりであるが、それが見つかれば、セル達もタイミングを見計らって、いずれこの地を離れる事だろう。

 推しが居なくなるのは悲しいが、推しの幸せを願うのも信者(ファン)の務め。


 そうして推しを見送った後は……。


 これまでは、アンネッタの下で働き続けるのだと思っていた。

 それが自分の未来だと、信じて疑わなかった。


 けれど、エネオットこと耕作と話した時、フィーは自分探しの旅に出たいと思ってしまった。

 それはアンネッタの傍から離れると言う事に他ならない。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ