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Let's take things one step at a time.

内容がとってもR15です…!

いちゃいちゃしてます。

 宵宮(よいみや)での逢瀬を終えて、グノムシャークで二人暮らしを始めたカリナたち。

 シャーロが用意してくれた家は、子爵である彼の従兄弟の心付けもあって贅沢なものだった。シャーロは「小さいけど」と申し訳なさそうにしていたが、一般にあるような部屋は当然として、音楽室や複数の客室、ついでに子育て部屋(ナーサリー・ルーム)まであるのは周到すぎる。まるで裕福な貴族の屋敷のよう。


 結婚まではもう三ヶ月を切っており、カリナも恋人と同室して寝ることを否定しなかった。ただ横になって添い寝するだけの夜が続いているものの、穏やかな日常を楽しんでいた。


 けれどひとつの寝台にシャーロといて、ただ甘いだけではない情欲を孕んだ空気に気づかない子供ではない。


「シャーロがしたいなら、いいよ……?」


 したたるような黒曜石に溶け崩れそうなところを、類稀なる精神力で耐える。


「だめだ」


 きっぱりと強い口調だった。拳を握りしめすぎて白くなっていたけれども。シャーロの苦悩が始まった。


「けじめはちゃんとつけなければ。……って、カリナさまあれだけ身体接触に抵抗を見せていたのに恋人になったとたん、全部受け入れるのか?! 極端すぎないか……」


「ええとそこは私、平民寄りの思考なの」


 シャーロは曲がりなりにも貴族の嫡男として育てられた。妹に爵位は譲ると決まってからは自由が許されているが、もともとの性格が真面目なのだろう。


「恋人とじゃなきゃ嫌だけど、ちゃんとお互い好きで真剣にお付き合いするなら、体のことも含めて恋人でしょう? まぁ、 段階的に進みたいけど」


 とは言いつつ、シャーロとは心を通じてハグもキスも済ませている仲で。


「私、こちらに親がいるわけじゃないし、貞操がどうとかで怒る人もいないよ。私も絶対結婚後に、とかこだわるわけじゃないし。もしもがあっても、しっかりシャーロのこと信頼してるから」


 ぐらり、とシャーロの心が揺らいだのを瞳越しに見た気がする。すぐに持ち直したが。


「いや俺の両親が……それよりリリに激怒されそうだ」


 微笑みながら牙を剥く妹が容易に想像できる。


「あっ、でも、避妊はしてほしい」


 避妊ときいてシャーロは難しそうに顔を歪ませる。


「気をつけても保障はない。望まぬ子どもを堕ろすための薬はあるけども。劇薬だからカリナさまに飲ませたくはないな」


「毒ってこと?」


「平たくいえば。母体の命までは取らない薬毒か。重い頭痛と吐き気が主な副作用らしい。血も流れると聞いた」


 なんだっけ、と頭のどこかで引っかかる。前の世界にも似たような薬があった。どうにも、前の世界のことがうまく思い出せなくなっている。


「男性側には避妊のための薬はないの?」


「ある。避妊というか、それを飲んだら……使えなくなる。性欲の有無は関係なしに」


「……それはちょっと違うというか」


「そう思ってくれるのは嬉しいよ」


 シャーロはまなじりを下げる。カリナの額に口付けた。


「絶対に安全といえる避妊方法はない。体に負担の大きい薬を利用してまで、という選択肢はとれないごめん。子が欲しいというのなら……考えるが。いやだめだ結婚後だ」


「うん。少なくともいまではない、かな」


「だろう? だから、大丈夫だ」


「意外。男の人って、したがるものだと思ってたの。それって生理的現象でしょ?」


 それは……、とシャーロは否定しなかった。

 代わりに昔話をしてくれる。


「俺の母は体が丈夫な人なんだが、リリの後にもう一人を妊娠中に悪阻が酷くて大変だった」


 食べれないし、終いには血を吐くし、ベッドから起き上がることもできず急速に痩せ細って亡霊のように青白くなっていく母にシャーロは恐怖を覚えた。死の間際まで行っていたと思う。父親などは妻と赤子二人の命を失うことをもっと恐れていたが。


「結局赤子も流れてしまって。全ての母親たちがそうとは限らないのは知っている。けど母の妊娠している様子を見て、もしもがあるのをわかっていて他の連中のように軽くは考えられなくなった」


「お母さま、大変だったのね」


 ぎゅうと抱きしめて、肩口に頭を預ける。カリナはハイライトの入った赤褐色の金髪(アウバーン・ブロンド)を撫でる。優しい人だ。

 だからこそ、この人ならカリナを大事にしてくれると感じて好きになったのだけれど。


「カリナさまに辛い思いはさせたくない」


「シャーロがいるなら大丈夫」


 ちゅ、とかわいらしくキスをされる。シャーロの目を見るだけで愛を感じられた。何度も合わされる唇に葛藤が含まれている。耳の根元を吸われてシャーロに抱きつく手に力が入った。ごく微かな声で「かわいい」と聞こえた。無意識に本音が漏れたのだろう。首にも唇が落ちてきて、カリナは体が熱くなって頭が働かなくなっていくのを自覚しつつも、されるがままになっていた。そのうち鎖骨までキスが小刻みに続く。


 故意に空気を壊すように、シャーロが大きなため息を吐く。


「ほんとに、だめだから、抵抗してくれ……。カリナさまの肌が気持ちよすぎて止まらなくなる」


 なけなしの理性で訴えた。


「ええと、ごめんね……?」


 果たしてカリナのせいだろうか、とは思いつつも謝る。


「いや、俺が悪い……」


 男として我慢するのはどれほど辛いのかわからないが、ぽんぽんと背中を叩くぐらいしかできなかった。縋るように抱きしめられるのも、なんだか嬉しい。体ぜんぶでシャーロを感じられる。


 シャーロの唇はカリナの唇に戻ってきた。



思った以上にシリアスですみません。

でも甘くできたと思います。


シャーロが(顔はいいのに)モテないのは

地位(身分)がない、

女性を上手に褒められない、

付き合う前にもう重い、

からかなという、ね……。

これからはカリナと会話を重ねて吹っ切れてベッドの中でたくさん甘々してくれるでしょう。


上げるのすーごく迷ったんですが、せっかく書いたので。

次話で完結設定します。

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