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小分けにして乗せていきます
気になった時に修正などします
章題、副題みたいなのは後からつくかもしれません
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水谷しずくは聡明な子どもでした。
落ち着いて思慮深く、周囲をよく観察しよく気が付く。
頭の回転も早く、親や友達の気持ちをすぐに理解する。
与えられた問題を解決していく力がある。
真面目で控えめ。本を読むことが好き。
学校の成績などは抜きん出ているにも関わらず、奢ることもなく、すべてにひたむきに取り組んでいる。
品行方正で賢い、よく出来た子どもでした。
だからこそお父様は彼女をプリンセスに選びました。
抜けるような青い空。きらきらと輝く海には可愛らしい色とりどりの魚。
北の森には豊かな自然が茂り、清らかな川や泉の水は、小鳥や動物たちの喉を潤します。
川は街の中へも流れ、川沿いに住む者たちは小舟に乗り出かけます。
ざぶざぶと水の流れる音、木製のボートが軋む音。櫂が水面を混ぜる音と誰かの歌声が絶えず聞こえています。
白亜の家々が立ち並ぶ街並みを見下ろす高台には、とびきり青白く輝く城壁をもつお城がありました。
白亜の街のてっぺんの、白亜のお城のまたてっぺんのお部屋に彼女は住んでいるのです。
広いお部屋に設えられた、涼しげな淡い青色のカーテンの隙間から、それとおおよそ同じ色をした空を退屈そうに眺めていました。
お城の図書館には一生かかっても読み切れないほどたくさんの本がありましたが、何故だかいまはそれらを見に行く気になれません。本を読むことが好きなはずなのに。
プリンセスハートよ。君の国を作りなさい。
お父様はそう仰いました。彼女はその事だけを覚えています。
プリンセスハート。どうやらそれが彼女に与えられた名前のようです。
プリンセスハートはおもむろに辺りを見回しました。清潔な白とパステルブルーで統一された調度品が並ぶ部屋はさながら人魚姫の寝室です。
自身が纏う、たくさんのリボンやフリルがあしらわれたドレスを眺めると面映い気持ちになりました。部屋にある大きな鏡に全身を写して見れば、なかなか様になっているものです。頭に乗っている真珠で出来たティアラなんて、とても素敵で気分が高揚します。
それなのに、すぐに彼女はその素敵な衣装にも打ち消しきれないため息を零しました。
国を作れなどと言う無理難題が、彼女のちいさな背に重くのしかかっているのです。
ふたたび遠くを眺め始めた彼女の様子は、退屈そうというよりは、心ここにあらずと言った方が正しいのでしょう。
気付いた時には既にプリンセスで、上質できらびやかな衣装に身を包み、浅瀬の浜辺の波のように優しい天蓋に覆われたベッドで目覚めました。
どうやってここへきたのかもわかりませんが、お父様が導いてくださったという確信だけはあります。
決して姿を見せず、しかし確かにそれとわかる声色でお父様はプリンセスハートの心に語りかけたのです。
君の国を作りなさい、と。




