桜の木の下で……(15)
[場所:公園、桜の木の下]
明転
[杏花]:「――じゃあ、今は市の人からの返事を待ってるんだ?」
[春美]:「ああ、おそらく、詳しい予定を聞いてこれると思う」
[杏花]:「えへへ」
[春美]:「何だ? 急に笑い出して」
[杏花]:「ううん。何だか、昔のお兄ちゃんに戻ったような感じがして、ちょっと嬉しくなっちゃった」
[春美]:「別に何も変わってないよ」
[杏花]:「何を言ってるの? 前から言ってるけど、出会った時のお兄ちゃんはこんなんだったんだから」
杏花、肩の力を抜き、顔を落とす。
[春美]:「い、いくら何でもそこまではないだろ」
[杏花]:「ちょっと話は盛ったけど、同じような感じではあったよ。それを見た後だから顕著に分かるってのもあるけどさ。……だから、嬉しいなって」
[春美]:「お前が喜んでくれると、俺も嬉しくなるな」
[杏花]:「うわ、お兄ちゃんらしからぬくさい台詞」
[春美]:「う、うるさい。仕方ないだろ」
[杏花]:「あはは、冗談じょうだん。……やっぱり、お兄ちゃんは笑った顔のほうが魅力的だよ」
[春美]:「さ、サンキュ」
[杏花]:「――たとえ結果がどうなったとしても、お兄ちゃんが頑張って、この桜の木を守ろうとしたって事実はずっと残るから、自分を責めたりしたらダメだよ。これは、約束だよ」
[春美]:「ああ、善処はするさ」
[あやめ]:「春美、二人が帰ってきたよ~」(声のみ)
[春美]:「ああ、分かった」
[杏花]:「いよいよ、だね」
[春美]:「ああ。じゃあ、聞いてきたら、それをお前に伝えに来る」
[杏花]:「うん、また後でね」
[春美]:「ああ」
暗転




