桜の木の下で……(3)
[あやめ]:「は、春美、大丈夫?」
背中を撫でるあやめ。
[春美]:「げほ、げほ……それ、本当の話か?」
[洋介]:「ああ。春美なら言わなくても知ってるだろうけど、あの桜の木がここ最近全く咲いてないことは知ってるよな?」
[春美]:「あ、ああ。知ってるが」
[洋介]:「市のほうでも、いつか咲くんじゃないかと思って待ってたらしいんだけど、数年待っても全く咲かないから、あの公園はあっても仕方がないんじゃないかって考え始めてるらしいんだよ」
[春美]:「何で、急にそんな……」
[洋介]:「俺も詳しくは知らないけど、前々からそういう話は立ってたらしいんだ。あの公園の見どころは、あの大きな桜が咲くことだったから、それがなかったら、あってもなくても同じなんじゃないかって。桜の木を廃止したら、そこに住宅施設を立てるかもしれないらしいぜ」
[春美]:「…………」
[洋介]:「やっぱり、ショックだよな。お前、あの公園、結構好きそうだったからな」
[春美]:「何とか、ならないのか? それは」
[洋介]:「うーん、何とかなるって言ってあげたいんだが、今の感じだと、今年も咲きそうには見えないからな。可能性は極めて低いかもしれないぞ」
[春美]:「そうか。それは、今日のニュースでやってたのか」
[洋介]:「ああ、この新聞に書いてあったんだよ」
洋介、バックから新聞を取り出し、春美に手渡す。春美、それを広げて記事を読む。
[百合]:「洋介が新聞だなんて、何か不似合ね」
[洋介]:「はっきり言うなお前。俺だって情報紙くらい見るわ」
[あやめ]:「春美……」




