桜の木の下で……(1)
明転
春美少し遅れてくる
[百合]:「――はぁ、お茶が美味しいわね~」
[洋介]:「ほら百合さんや、お煎餅でもいかがですか?」
[百合]:「おや、悪いわね洋介さん。遠慮なく頂きましょうかね~」
[洋介]:「どうぞどうぞ、つまらんものですが。あやめさんと春美さんもいかがですかな?」
[春美]:「……何だ、この茶番劇は」
[あやめ]:「どうして、突然おじいちゃん、おばあちゃんみたいな演技をしだしたの?」
[百合]:「いやー、何ていうか、やってみたらおもしろいかなーって思ったから」
[洋介]:「俺も。おじいちゃん役のオファーがいつきてもいいようにって思って」
[春美]:「どんな状況だよ、それ……」
[洋介]:「春美、いつ何が起こるかが分からないのが人生だぜ?」
[春美]:「そうだとしても、急におじいちゃん役のオファーが来る確率なんて、ほぼないだろ」
[洋介]:「ふふ、そう言ってるとどこかからそういったオファーが――」
[春美]:「ねぇよ」
[洋介]:「ま、まあ、実際にそんなオファーが来てもどうしようもないのが事実なんだけど」
[春美]:「じゃあ練習する必要ねぇだろ」
[あやめ]:「つまりは、二人の会話はまるっと不必要ってことだね」
[洋介]:「あやめ、この世に不必要なものなんて、一つとしてないんだぜ?」
[春美]:「無駄ってものはあるだろ。今の洋介の言葉も無駄だろ?」
[洋介]:「あ、う……今日の春美の言葉も鋭いな」
[百合]:「そうね、角度的に30度くらいかしら」
[洋介]:「強くなったな、春美」
[春美]:「何良い感じにまとめようとしてるんだよ」
[洋介]:「じゃあどうやったらこの件を終わりにしろっていうんだよ!」
[春美]:「今度は逆切れかよ」
[洋介]:「もういいよ! ……どうもありがとうございました~」
[あやめ]:「何その漫才的な終わり方は……」
[百合]:「結局は強引だったわね」
[春美]:「はあ……もう何だっていいよ……」
[洋介]:「とにかく、煎餅食え」




