桜の木の下で(13)
[杏花]:「どうやら、お兄ちゃんは幽霊は信じない派のようですね」
[春美]:「正直、どっちだっていいと思ってる」
[杏花]:「あはは、それが正しいよ。変に幽霊を刺激すると痛い目を見るからね。何か番組とかで見たことあるでしょう? その写真に気付いてから体調が悪くなったとか、事故にあって大怪我したとかってさ」
[春美]:「まあ、そういうのは聞いたことはあるな」
[杏花]:「あれは、それだけその幽霊さんに強い力があるって証拠なの。だから、生きてる人に災いをもたらせるし、不幸を呼ぶこともできる。向けるベクトルが正しいとは言えないけどね」
[春美]:「……じゃあ、お前も強い力を持ってるから、俺に触れることができたってことなのか?」
[杏花]:「まあ、そんなところかな? お兄ちゃんのご想像にお任せしますよ」
杏花の手が春美に触れる。
[春美]:「どうして触る?」
[杏花]:「えへへ、何となく」
[春美]:「どうしてお前はそんな力が使えるんだよ?」
[杏花]:「うふふ、知りたい?」
[春美]:「……どっちだっていい」
[杏花]:「もう、冷たいな~。正直なところ、私にもちょっと分からないんだ。ダメ元でやってみたら、何かできちゃった~、みたいな感じ」
[春美]:「……テキトーだな、随分」
[杏花]:「何だろう、幽霊には不思議がいっぱいってことで片付けましょう」
[春美]:「マジでテキトーだな」
[杏花]:「この話を聞いた感想はいかがなものでしょうか?」
[春美]:「……拍子抜け」
[杏花]:「あり? さっきと同じこと言ってるよ~?」
[春美]:「最初に見ちまった幽霊がお前みたいな奴だからだよ」
[杏花]:「ガーン……」




