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『ちゃんと愛してたのに』  作者: 設楽理沙


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2/13

2 ◇ホテルのバスローブを羽織った夫

 2 ◇ホテルのバスローブを羽織った夫



 夫がダブルベッドにホテルのバスローブを羽織った緩んだ姿で座っているのが

目に入る。


 夫の第一声は「ウイッス」だった。

 まったくふざけた男だ。


 真理恵の姿を改めて捉えた長谷川が、今更のように「有り得ない、なに? 

何ですか?」とぎゃあぎゃあ言い始める。


『うるさいよっ。このおたんこなすの泥棒猫が』


 そう怒鳴ってやってもよかったが、まぁそこはひとまず大人の判断で抑えた。



「どうして、君ここにいるの? 」

 夫の次の台詞がこれだった。



「こっちの台詞よ。

 あなた、何でこんなところにそんなあられもない姿でいるのよ」


「は? 何でカメラ向けてんの?」


『答えてやんない~。それより私の質問に答えろや』


「そんなことより、その恰好何? 引くわ~。何なのこの部屋」


「ゆっくりくつろいでるだけだけど? それより撮るのやめろよ」



「てか、その恰好といい、ヤル気まんまんじゃないの?」


「どこがだよ。そっちこそ、こんなところまで来て何やってんの?」


「てか、何やってんのよ」

 私たちは『何・何・何やってんの』の、応酬合戦に突入した。


「何してんの?」


「そっちこそ何してんのよ」


「勝手に入って来てなにしてるんですか?」

 女が合戦に入って来る。



 しかし、不倫なんぞしておいて、その言いぐさはなんなのさ。

 何、あんたが切れてるのさ。

 しかも、いつでも出て行けると思っているのか、ドアの側に張り付いてるのよ

女ったら。


「あなた、ほらっ、あなたもこっちへ来なさいよ。早くっ」

 私は、長谷川に声を掛けた。


「何してるわけ」

 じれったくて、また夫に無意味な問いかけをする。


「ゆっくりしてる。……てか、何で撮ってるの?」


「こうでもしないと、あなたが何も話してくれないからでしょ」


「話さない? って?」


「どういうこと? 」またもや女が夫に続き、口を挟む。


「あなたもそこに座れば」



 私は女に夫のとなりに座るよう言う。


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