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『ちゃんと愛してたのに』  作者: 設楽理沙


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13/13

13 ◇満ち足りた時間の中へ 【最終話】


 13 


 それからの私たちの日々は目まぐるしく過ぎていった。


 柳田くんは、市の職員として働いている。

 私は、職探しをひとまず中止して、結婚生活に向けての準備に追われた。


 年を跨ぎ、私たちは春に籍を入れた。


 私たちの再婚は、両家で喜んでもらえ順風満帆だった。


 新居は私の実家の側に決めた。


 子供ができた時のことを考えて、私の生活は今まで通り──

夫を仕事に送り出したあとは、母親と一緒に畑に出ることだった。




 振り返れば、郷里に帰ってから激動の1年だった。

 その間に再婚もした。

 気がつけば、季節は一巡している。



          ◇ ◇ ◇ ◇


 その日は、土曜で夫も畑仕事に出ていた。


 母と私とでいつものように会話を楽しみながらせっせと追肥をしたり

害虫対策をしたりしていた。


 夫はなにやらイヤホン越しに音楽を楽しみながら、畑仕事に勤しんでいる。


 そこへ、突然の闖入者が現れた。


 元夫の姿だった。


 母親にしてみれば、娘を手酷く裏切った人間だ。

 言葉を掛けるのも躊躇われるだろう。


 夫も彼の出現に気付いた。


 私は畦道(あぜみち)に立っている元夫の村瀬のところまで駆け寄った。


「ご無沙汰──」


「うん。久しぶりだね」


「少し話せないかな、どこかで」


「ここでなら、少しは」


「どうしてもだめかな? あの時、言えなかった謝罪もしたいし」


「うん、わざわざ謝罪をしに来てくれたのはうれしいけど。

 私、大切な人ができたの。だから申し訳ないけど2人きりで会えない」



「そっか。じゃあ、あの日に言えなかったことをここで話すよ。

『君を裏切って申し訳なかった。許されるならやり直したい』っていうのが、

あの日持っていた俺の気持ち──です。遅すぎたか~。

でも言えてすっきりした。帰るよ。元気で」



「うん。あなたも元気で。……。

 ねえ、あの日までは、あなたが私の大切な人だったって知ってた?」


「ごめん。俺は愚かだから……知らなかった」


「んとに、馬鹿だったんだね」


「うん。馬鹿だった」


 元夫の後ろ姿を見送りつつ、私はすぐに元居た場所へ引き返した。




☆彡そしてまた、いつものように──


静かにゆったりと満ち足りた時間の流れる空間へと、戻っていった。






      ── お ── し ── ま ── い ──


 追記メモ:


✔昔無視された件で柳田は復讐をする。

 そう、されたことをすっきりと忘れていたわけではなかったのだ。

 けれど、再会して柳田は大人になって更に魅力的になった真理奈に

改めて恋をしたのだった。

 だから、意地悪した後で好きな気持ちを伝えた。


 彼が意地悪を仕掛けた時、真理恵はあまり驚かなかった。

 彼の気持ちは手にとるように理解していたから。

 だから、怒ることもなく悲しそうに微笑んだだけ。





✔村瀬海斗はあの日のことをすごく後悔していて、やはり今も真理恵のことが

 忘れられず、郷里を訪れる。

 そして会いに来る。


 この時には、もう真理恵は柳田と結婚していた。


 話を聞いてほしいとお願いされるが──柳田を不安にさせたくないからと

手短に話をすると柳田の元へと去っていく。


 一番大切な人が誰なのか……を真理恵は知っていた。

 自分が逆の立場なら、元の奥さんと長々と話しこまれたくはない。


 村瀬さん、あの日まだ私の大切な人だったあなたから、謝罪をされて

やり直したいと言ってもらえていたら、どこかでそれを願っていた私は、

実家に帰ったりせずやり直していたと思う。


 だけど、もうあなた以外の大切な人ができた今、あなたに寄り添うことは

できない。




 ―――― 2026.7.17~7.19くらいの間にできたお話 ────





この度は最後までお付き合いいただきありがとうございました。(^^)/


明日から『胡蝶の夢』の連載をはじめたいと思います。

引き続きお読みいただければと思います。


全文の✔作業を念入りにはできてない中での(いつもそうなんですけど(^-^;)

掲載なので、誤字脱字が多々あるかもしれませんが……お楽しみいただければと

思います。


このお話の大まかな筋みたいなのは、2025.6月頃に頭の中に浮かんでいたのです

が、どうしても一字も書けなくて──


半年後辺りから書き始めた作品になります。[2025年12月頃]


永堀文世(ながぼりふみよ)奥田貴史(おくだたかし)橋本蓉子(はしもとようこ)──

この3人の三角関係のプロットがあっただけで、そのほかのstoryは書き進めながら

作っていった(絞り出した)ような形になります。


イラストもnoteなどで発表していたのですが、二転三転しています。^^:

本文の中の文世さんとは、かけ離れた別嬪さんになってしまい──。


構想から1年以上かかってしまいましたが、発表できるようになり感無量です。


それでは──

引き続き宜しくお願い致します✿





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