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エピローグ
その後、目を覚ました陽は全てを聞き終えるとエリスの墓前で手を合わせた。
そしてミドナとリルクの力を貸りて元の世界に戻ることが出来た。
現実世界に戻ると、陽は友人たちと肝試しをしていた建物の前に倒れているところを発見され、大騒ぎになった。数日間行方不明になっていた陽はしばらく世間を賑わせた後、平凡な生活を取り戻しつつある。
母親に鏡の国の話をしたのはそれから少し経ってからだ。
「ねえ母さん。僕、鏡の国で色んな人たちに会ったんだよ」
陽の話を熱心に聞いた母親は、エリスの行く末に涙を流し、兄の現在に安堵して笑った。
そしてかつてのカミヤさんと同じように活躍したのだと告げると母親は少しだけ心配そうな顔をして、けれど息子の成長を喜ぶように笑った。
「……よく頑張ったわね。改めて言うわ。お帰り、陽」
母親は泣きながら笑っていた。
その言葉に陽は現実世界に戻ってきた実感を噛み締め、
「ただいま」
と呟いた。
終わり。




