最後のお仕事 知らない明日
それは夜の出来事だった。遠い遠い空には星が輝いている。
「……この街自身には何も起きないだろうな」
「そりゃ、そぉーだろう。ぜぇーんぶ、裏のお話なんだからなぁ」
俺の目の前には完全に崩壊した倉庫が広がっている。かつての建物が残っている以前の姿に反した姿。代わりに巨大な瓦礫の山が築かれている。あれだけ大暴れしたのだから、倒壊でも崩壊でも起きるだろうとは予想していた。隣で、情報屋がにたにた笑っている。よく分からないな。
「……お前、俺は金なんて持ってないぞ」
「金のためには動かず、契約のために動くってかぁ。何とも言えない苦労人の道を進むんだねぇ?」
「何が起きるか分かんないだろうが。だったら決められた守りごとには背かずに生きていくだけだ」
俺は後ろを向いて、歩き始めた。
「……次の街ではしっかりと報酬もらうんだよぉ? じゃないと、お得意様からの巻き上げる金が減っちまうからなぁー!」
「どうなるか分かんないぞぉ。というか、おい。もう十分巻き上げてんじゃねぇか」
情報屋が俺の後を付いてくる。そして、俺たちはこの街を去ることにした。
この話は、俺にとって人生で最初で最後かもしれないただ働きした物語だ。
どうも、夢幻です。
という訳で、「傭兵さんのただ働き物語」はこれで終了となります。
序盤のウハウハな執筆とは裏腹に、終盤はなんとか合わせようとする必死な作業。
……御題があるのもいいものですよ。一つの方向性が決められているのでお話を作る分には、楽と言えば楽です。
そして、終盤になるにつれて雑になる描写部分。すいませんでした。
何はともあれ、一つの作品を終わらせることが出来たのはみなさん読者様のおかげです。
本当にありがとうございました。
■リンク
6倍数の御題:http://www3.to/6title




