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気弱な令嬢ではありませんので、やられた分はやり返します  作者: 風見ゆうみ


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15/30

15  自己紹介する

 モデル体型で顔立ちも整っているため、世界的な映画俳優と言われても驚きはしない。

 この世界では珍しく眼鏡をかけているので、仕事のしすぎだろうかと心配になる。


 瞳と同じ紺色のセミロングの髪を紫色のリボンで後ろに一つにまとめた男性は、私を見て微笑む。


「弟がお世話になります。あの、申し訳ございませんが、少しだけ彼と会話させていただいてもいいでしょうか?」

「こちらこそお世話になります。あの、もちろんです」

「ありがとうございます」


 哲平のお兄さんは軽く私に頭を下げ、哲平の首根っこを掴んだ。


「テツ、言葉遣いを直しなさいと、何度言ったらわかってもらえるんですか?」

「すいません! ちゃんと紹介します!」


 哲平が焦った顔で謝罪すると、お兄さんは小さく息を吐いてから手を離した。乱れた襟を直し、こほんと咳払いをした哲平は、私にお兄さんを改めて紹介する。


「えーと、こちらはラス兄さんです。中身がお前ってわかったから来てもらった」

「言葉遣いが悪いままです。やり直し」

「紹介します。こちらが兄のラスです。キュレル子爵令嬢に紹介したくて足を運んでもらいました」

 

 ラス様は哲平の言葉遣いにまだ納得いっていないようで、未だに哲平を冷たい目で見ている。


 まだ哲平は社会に出たことがないし、敬語を使うことになれていない。クラブの先輩とのやり取りはあっても、体育会系だったこともあり「ありがとうございます」が「あざっす」になっていた。


「お目にかかれて光栄です。アリス・キュレルと申します」


 立ち上がってカーテシーをする。この動作はアリスが何度もやっていたからか、自然と出来てしまって驚いた。 

 そんな私の動揺に気づいているかはわからないが、ラス様は爽やかな笑みを浮かべて一礼した。


「ラス・イッシュバルドです。テツから先程、連絡を受けたのですが、あなたも別の世界から来た方なのですね」


 先程というのはいつのことなのか。さっき、メイドに何か話をしていたが、その時に伝言でも頼んだんだろうか。

 それならそうと事前に言っておいてよ。


 哲平を睨みつけたくなるところを我慢し、私はラス様の質問に答える。


「はい。そうです。この体の持ち主である、キュレル子爵令嬢は………」


 眉尻を下げて言葉を止めた。

 ラス様は哲平のことがあるからか、事情を理解してくれたらしく、悲しげな笑みを見せる。


「キュレル子爵令嬢のことをあまり詳しくは存じ上げないのですが、こんなことになり残念です」

「ありがとうございます」


 何と言葉を返したらいいのかわからなかった。

 一礼して礼を言った私に、ラス様は微笑んで話題を変える。

 

「あなたの話はテツから聞いていますよ。とてもお世話になっていたようですね」

「ちげぇよ。いえ、違います。お世話してやってたんですよ」

「あなたは敬語の使い方を一から学び直したほうが良さそうですね」


 哲平の隣に立っていたラス様は、ぐりぐりと哲平のこめかみに拳を押し付けた。


「いででで!!」 

「アリスさん、どうぞおかけください。彼から大体の話は聞いているんですが、あなたからもお話を聞かせていただきたいのですが、ご迷惑でしょうか」

「いえ。信じていただけるかはわかりませんが、私でよければお話しいたします」


 ラス様は私とテツの間の椅子に座ると、立ったままの私に改めて声をかけてくれてから、話を促してくれた。


 どうやら、哲平はラス様に色々と話をしているみたいね。

 ラス様のことはほとんど知らない。だから、哲平を信じ、今までの出来事を私はラス様に話した。


「婚約破棄といじめ、ですか。しかも毒とは物騒ですね」


 話し終えた私にラス様は重い表情で呟いてから尋ねる。


「アリスさんはどうしたいんですか?」

「どうしたい………とは?」

「このまま、学校を辞めて静かに暮らすのがお望みですか?」

「それはないです。非常識な人たちのために、アリスの人生を左右されたくないんです」


 今の段階では正確に言えば私の人生だが、彼女の苦しみを味合わせてやりたい。もちろん、殺人は駄目なので捕まってもらう。


 彼女に小瓶を渡した本当の黒幕が誰かは今のところわかっていない。アリスに小瓶を渡した相手の名前は、アリスの日記に書かれていたが、本当に悪い奴は別にいるような気がする。


 そう思った私が強い口調で答えたけれど、ラス様の反応はすぐには返ってこなかった。

 眉間に皺を寄せて少し考えたあと、ラス様は哲平を見て尋ねる。


「テツ、あなたはどうしたいんです?」

「正直、死んだ子が可哀想だし、ありすを手伝いたいのですが駄目でしょうか?」

「……いいでしょう。そのかわり、あなたたちだけでは心もとないので私も手を貸します」

「はい?」


 ラス様からの思いもよらない申し出に、私は思わず聞き返した。


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