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旅路  作者: 風の中で
9/17

9.

8月6日。


ゆっくりと目を開け、目をこすり、欠伸を一つ。しばらく寝転がってから、ようやく服を着込み、ギルドへ向かう。


ギルドの扉を開けると、入ってすぐにあの七人の黒装束の姿が見えた。


一人が手を挙げて挨拶する。


「あの!陌鋒…さ、さん…こちらへ」


俺は近づく。


「あ…あんたたちも冒険者なのか?」


「一時的にあなたのパーティーに加入させていただいています、陌鋒さん。ディシアさんにもお話は済ませてあります」


昨日の背の高い女性が口を開いた。


一番小柄な子がうなずく。


「自己紹介させていただきます、陌鋒さん…ふぅ…」


彼女が一度息を吐く。


「私、ケルリンデ」


「アフライア…」


「私、リンガスです、陌鋒さん」


「モリカ」


「ヴァルシュタイン」


「バルザイド」


「シンツ」


一番背が高いのがケルリンデ。俺と同じくらいだ。アフライアは彼女より少し低い。リンガスとモリカはアフライアよりさらに低いが、二人はほぼ同じ身長。バルザイドはその二人より少し高く見える。シンツはケルリンデの胸のあたりまでしかない。


「あ…」


俺は頭をかいた。


「陌鋒でいいっすよ」


ディシアが扉を押して入ってくる。


「陌鋒、もう会ったか?ここ数日、一緒に行動してもらう」


彼女がこっちに歩いてくる。


俺はうなずく。


「ケルリンデさん、何か依頼は見つかりましたか?最近は良いのがなくて」


「もう承ってあります、ディシアさん。東南の森です。少し奥まで入る必要があります。目標はトロールです」


「トロール?」


彼女がまばたきして、俺を見る。


「陌鋒、ちょっと来い。治療薬を渡す」


ケルリンデたちはその場に立ったまま、こちらを見ている。


「あ…」


ディシアを見ると、彼女は俺を少し横に引っ張る。


「陌鋒、あいつらには気をつけろ。もし本当にトロールなら、戦闘中は離れてろよ」


彼女が俺の肩を抱くようにして言う。


「え?」


首をかしげて口を開けると、彼女は治療薬を俺の胸に押し込み、軽く肩を叩いて戻っていく。


「では、よろしくお願いします」


ケルリンデが言う。


---


東の森へ向かって歩き出す。ケルリンデとアフライアはちゃんと前を歩いているが、他の連中はほとんど俺に張り付くように近い。横を向いてチラリと見ると、慌ててディシアのところへ歩いていく。


振り返ると、ディシアも顔を向ける。


「お前ら、馴れ馴れしすぎじゃないか?」


「申し訳ありません、ディシアさん…えっと…」


ケルリンデがため息をつき、後ろに下がって数人に言う。


「そういうのはやめろって言っただろ」


「でも…」


彼女が何か言うが、後はよく聞こえない。


彼女が前へ戻ると、他の連中はずっと遅れて歩き、しょんぼりしている。


「あの…陌鋒さん、すみません…えっと…」


頭をかきながら言って、途中で黙ってしまう。


「あ…別にいいっすけど」


「はあ…」


アフライアがため息をついて口を開く。


「私からちゃんと言っておきます。これからは大丈夫だと思います…陌…」


彼女がしばらく止まってから続ける。


「ここに来るまでに、いろいろありまして。彼女たちも疲れています。どうか許してやってください。わざとではないんです」


「あ…別にいいって」


肩を掻きながら言うと、彼女は立ち止まった。振り返ると、彼女が右手で何度も顔をこすっている。


---


森の中に入り、しばらく歩く。


「もう少しで着くと思います」


ケルリンデが言う。


「姉さん、すごい速さで何かが前から来てます!たくさん!」


バルザイドが叫ぶ。


「戦闘準備!」


ケルリンデの声で、彼女たちが素早く半円に広がる。


しばらくすると、森の中で何かが動いているのが見える。


「クローウルフだ!」


ディシアが叫ぶ。


「魔化魔物です!」


「魔化魔物!?」


ディシアが声を上げる。


アフライアたちが素早く動き、俺たちは円陣を組む。


「ウォォォン!」


森の中から遠吠えが響き、木々の間を素早く影が動く。


「ディシアさん、陌鋒さん!守りを固めてください。数が多すぎます!」


ケルリンデが叫ぶ。


突然、前方から一匹のクローウルフが飛び出してくる。普通のクローウルフと変わらないように見えるが、瞬時に目の前まで迫っていた。剣を構えて受けると、爪が刃に当たる。体が後ろに倒れかけた瞬間、誰かの手が背中を支えてくれた。


ディシアが剣を振るう。クローウルフが素早く振り向いて刃を噛もうとするが、剣が頭を貫き、上半身ごと両断する。その直後、また別の一匹がディシアの前に飛び出す。支えてくれた手が俺を後ろに引いた。


ディシアが素早く体を捻り、大剣がもう一匹の胴を切り裂く。その死体は地面を滑って彼女の足元まで来る。別方向からはシンツに向かって一匹が襲いかかる。彼女が防ぎ、隣のアフライアがとどめを刺す。


振り返ると、支えてくれたのはケルリンデだった。


「ありがとう」


「いいえ」


前を見ると、また一匹が飛び出してくる。ディシアに向かって突進する。彼女が素早く剣を横に振り、刃の腹で叩き飛ばす。狼は地面に倒れ、足をバタつかせながら立ち上がろうとしている。


「私がやります」


ケルリンデが近づき、一突きで仕留める。剣を抜くと、狼はしばらく足を動かしてから動かなくなった。


「陌鋒さん、ディシアさんが剣を振るう時は、少し下がっていてください」


ケルリンデが俺に言う。


まばたきして、ゆっくりうなずく。


ケルリンデが元の位置に戻る。


その後も数匹のクローウルフが森から飛び出してくる。


---


しばらくして。


「何匹か逃げました。終わりです」


バルザイドが言う。


ディシアが大きく息を吐く。


「こんなところに魔化魔物が出るなんてな…」


彼女が振り返る。


「いや、助かった。とりあえず死体を集めてくれ。無傷なのは別にしておいて、後で皮を剥ぐ」


ケルリンデが俺のところに来る。


「陌鋒さん、少し休んでいてください。後は私たちに任せて」


「あ…別に大丈夫っすけど…ありがとう」


ディシアがこっちを見ている。ケルリンデが頭をかく。俺はそのまま死体を運び続ける。


死体を集めると、全部で十七匹だった。ほとんどが真っ二つになっているが、無傷に近いのも四匹はある。…まあ、傷口が小さいってだけだけど。


ケルリンデが薪を拾ってくる。


ディシアが慣れた手つきで皮を剥ぎ、地面に敷いた皮の上に死体を載せる。


ケルリンデが手早く焚き火を組む。ディシアが横に立つ。


「陌鋒、ライター持ってきたか?」


「持ってないっす」


俺が首を振ると、ディシアは腰に手を当てて火を見つめる。


ヴァルシュタインがケルリンデを見る。彼女がうなずく。


「少しだけ魔法をかじったことがあります」


ヴァルシュタインが火に近づき手をかざす。紫色の魔法陣が現れる。中央の紋様は四角星で、その中心に小さな五角星がある。


すぐに火が燃え上がる。


「陌鋒さんは魔力がなくても、きっとそのうち魔法を使えるようになりますよ」


ヴァルシュタインが言う。


「魔法…そういや、俺に魔力がないって話、言ったことなかったはずだけど?」


俺が彼女を見ると、ディシアも彼女を見る。


「それはギルドで聞いたんです。魔力のない人がいるって話が気になって、ちょっと尋ねてしまって…すみません、陌鋒さん」


ケルリンデが言う。


「別にいいっすけど」


---


昼食を終え、逃げたクローウルフを追跡することにする。


足跡を辿ってゆっくり進む。


「この辺りにトロールがいるなら、奴らも魔化している可能性がある。三体以上いたら、撤退だ」


ディシアが言う。


「同意します、ディシアさん」


ケルリンデがうなずく。


「戻ったらギルドに報告して、この辺りを封鎖してもらおう。冒険者か帝国軍に来てもらう」


ディシアが続ける。


振り返ると、アフライアがケルリンデの肩に手を置いている。


前を向いて歩き続ける。バルザイドが魔物に気づかれないようにする魔法をかけてくれた。体が淡い黄色の光を放つ。


足跡が突然入り組んできた。同じ場所をぐるぐる回っているようだ。ゆっくりと進む。


「この先です」


バルザイドが言う。


「ディシアさん、先に様子を見てきます。討伐するかどうかはその後で」


「ああ」


ディシアがうなずき、数人が前へ進む。


俺は木に寄りかかり、葉っぱを眺めながら時々ディシアの方を見る。


アフライアたちが戻ってきて、外套の中から干し肉を一本差し出す。


「あ…ありがとう」


受け取って食べる。


「あんたら、強いな」


「そんなことないですよ。ちゃんと教わっただけですから」


モリカが頭をかく。


「それでもすごいよ。剣教えた人、すごいのか?」


「はい!教えてくれた人は、世界で一番強いんです!」


シンツが目を輝かせる。


「今でも、師匠の十分の一にも達してないですけどね」


バルザイドが腕を組む。


「うんうん、どう考えてもすごすぎる」


他の連中もうなずく。


「へえ…姉貴って、もうすごいんだなって思ってたんだけど。」


「あ…ディシアさんももちろん強いですよ!」


シンツが言う。


---


話していると、ディシアたちが戻ってきた。ディシアが俺のところへ、ケルリンデが他の連中のところへ向かう。


「この先に洞窟があった。ケルリンデ曰く『魔能建築』だってさ。魔物はそれに引き寄せられたらしい」


彼女が俺の肩を抱くように言う。


「そんな言葉、聞いたことねえけどな」


小声で付け加える。


ケルリンデたちが戻ってくる。


「ディシアさん、話は済みました。一度戻りましょう。どうするかはその後で決めましょう」


ディシアがうなずく。


日が暮れる前に、ディシアが手際よく何匹かの皮を剥ぐ。


「私に預けてください」


ケルリンデが言う。


「いいのか?」


「私たちの外套は収納機能がありますので、大丈夫です」


彼女が言い、ディシアが皮を渡すと、外套の中に入れて消える。


暗くなる前に村へ戻る。


---


食堂で夕食を取りながら、洞窟の件について話し合う。


「率直に言います、ディシアさん。私たちはこの魔能建築を処理するために来ました。私たちの…父の、かつての友人が、この件を依頼してくれたんです。どうか、他言しないでいただけませんか?それと…お会いした理由ですが、この村に来てギルドに寄った時、魔力のない人がいると聞きまして…つい、気になってしまいまして…」


ケルリンデが指を机に軽く叩きながら言う。


ディシアは何も言わずに聞いている。しばらくして口を開く。


「それで、私たちのパーティーに加わったのは、陌鋒を見てから決めたのか」


「はい。陌鋒さんが、私たちの父にとても似ていらしたので…父はもう少し無口でしたが…はは…あまり話すのが好きじゃない人でしたから」


ディシアは彼女を見つめ、まばたきする。


「わかった。ギルドには報告しない。ただ、今日の戦いを見ても、明日は俺たちは行かない。無理な戦いはできん」


「構いません。戦いは私たちに任せてください。信じてください」


少し間を置いて、彼女が言う。


ディシアはため息をつく。


「信じる信じないの問題じゃない。それに、もう行くな。『死んだ父親の友人の依頼』だからって、そんなの断ればいい。自分の命を懸けるような真似は、最初から引き受けるな。父親の友人だからって受けたんなら、それはただのバカだ」


「お願いです…信じてください」


彼女が机を軽く叩きながら続ける。


ディシアは何も言わない。


「安全は確保します。戦利品はすべてお渡しします。ヴァルシュタイン、シンツ、あなたたち二人はディシアさんと陌鋒さんを守って」


二人がうなずく。


「ヴァルシュタインは魔法が使えます。シンツは小柄ですが、戦えますから」


ケルリンデが続ける。


ディシアはしばらく考えて、また食べ始める。俺もそれに続く。ケルリンデがうつむく。隣のアフライアが彼女の肩を軽く叩く。その後は誰も話さず、ただ食べ続ける。


---


ディシアが食べ終え、袖口で口を拭く。


「明日行くなら、八時ごろにギルドに行く」


ケルリンデが返事をする間もなく、ディシアは代金を払って店を出る。


俺も急いで食べ終える。


「あの…陌鋒さん…ディシアさんが来なくても、あなたは来ていただけますか?」


ケルリンデが言う。


「え?あ…俺、大体姉貴と一緒に動いてるから…」


急いで食べ終え、口を拭く。


「あ…じゃあ、先に行くね」


早足で店を出て、宿の方へ向かう。


「おい、陌鋒坊や、こっちだ」


顔を上げると、ディシアがいた。


彼女について路地に入る。真ん中あたりで立ち止まる。


「陌鋒、あの連中、どう見ても怪しい。南方から来たって言うけど、具体的な場所は言わなかった」


「気づいたか?あの連中の外套、顔がすっぽり隠れてた。魔法でもかかってるのかもしれん。俺にはわからん。ヘルクがいればな」


彼女が顎を揉む。


「悪人には見えなかったけど…まあ、用心はしよう」


「ああ。ヘルクも数日で戻る。その時に聞いてみる」


「姉貴、明日は行くのか?」


「本当に二人も護衛につけてくれるなら、皮も全部くれるって。ただ、用心はするに越したことはない。あの魔化魔物、ただ事じゃなかった。あの連中が何考えてるかわからん。もし何かあったら、すぐに逃げるぞ」


「逃げるのか?」


「命懸ける価値のない戦いだ。死んでも意味ねえ。ギルドに戻って人を呼ぶ方がいい」


俺はうなずく。


「よし、明日は迎えに行く」


「はい」


それから大通りに出て、家に戻る。軽く身を清めて、ベッドに横たわる。ゆっくりと眠りに落ちていく。

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