七章・4
「楽しかったです! 楽しかったです!」
「そうかよ。それはよかった」
「とっても、とっても楽しかったです!」
海に沈んでいく夕陽を後に、俺たちは駐車場まで戻ってきた。
「サメに触れました!」
「触ったな」
イヌザメやネコザメというサメに触れるコーナーがあった。
「ミズダコ、大きかったです! ブニュブニュでした!」
「大きかったな」
巨大なミズダコにも触れた。
「そして、なんと言っても、イルカショー!」
「近かったからかな、迫力がすごかったな」
最前列の席だと、イルカまで一メートルほどの距離だった。
さすがにそこでは水がもろにかかるので少し後ろに座ったが、それでも水しぶきが飛んでくるほどで、迫力があった。
「水族館、すごいです!」
「また、来たいか?」
「そう、ですね。来たいです」
「そうかよ」
そうして俺たちは車に乗り込み、帰路についた。
美弥子は疲れてしまったのだろう、すぐに穏やかな寝息を立て始めた。
「う、ううん……つっきー」
「ん? 寝言か?」
寝言を本当に言うやつがいるんだな。
「だ、だめですよ~つっきー……まだ、明るいです……」
「は?」
いったいどんな夢を見ているんだ?
「もう、つっきーは、本当に……」
そこまで言って、美弥子はまた静かになった。
「……俺は本当に、何なんだろうな」
答えは、わからない。




