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その六

6869

 愛しているならば、大切に思っているならば、その為に犠牲を払って下さい。その犠牲に拠って自分自身に、その身体に、徹底的に教え込んで下さい。私はそれを愛し大切に思っているのだと。

 犠牲の祝福、それは大切なものを人に忘れさせない事です。これ以上の祝福が他にありますか、考えられますか。


6870

 逃げ場所。もっていると卑怯な気もします。しかしこの私には今までの人生に於いて逃げ場所が無くなって仕舞う事が一度もありませんでした。私には必ず逃げ場所を用意されていました。不思議な程にそれは私から動き去って行く事が無かったのです。

 私は他の人に比べて異様な程に幸運であると、今まで私が何度か言った事を憶えておられるでしょう。それは私自身の人生と生活とに、そのそれぞれの具体的シーンに完全に裏付けられています。私はこの自覚を絶対に手放す事が許されずまたそれを軽く見る事を認められません。この先もこの自覚が私から去らぬ様私は自らの為に祈らなければなりません。私がそれを忘れると私は信じ難い程速やかに、極めて滑らかに、馬鹿になるのです。即座に人相まで変わると思います。何を()うすれば短時日にそんなに激変出来るのか、何か軍事機密の特殊な薬品でも飲用したのかと他人が思うくらいに変わります。そして一度(ひとたび)変わると最早元には戻れません。私は私のままで居なければならないのです。分かって頂けますね。


6871

 賢い筈の人が何故あんな馬鹿な事をと、新聞やテレビのニュースではいつもそんな事件を報道していますが簡単な事なのです。賢いのに油断して、自分の身を守る事ばかりを考えて、いつしか馬鹿になったからです。そして一旦馬鹿になると、次には更に馬鹿になるのです。賢い人間を馬鹿に変じる力は、既に馬鹿になっている人間にはもっと強く作用して前の方がまだしも良かったと周囲の人を嘆息せしめる程の大馬鹿に仕上げるのです。嫌な話です。でも『事実』として、実相として、これは認めざるを得ません。

 この、馬鹿が大馬鹿になる事を防ぐ事の方が賢い人間が馬鹿になるのを防ぐのよりももっと難しいという一点に気を付けて下さい。留意して下さい。ここが重要なところなのです。それは幾何級数的に酷くなる一方なのですが、最初が一番防止し易いのです。詰まり、最初に油断を置かない事が最も有効な手立てです。私が油断するな油断するなと繰り返し言っている理由と背景がこれです。


6872

 阿呆たれはいつの時代でもまた(いず)れの土地であっても割と平穏に暮らしています。何の準備もせず何の奉仕もせず今日明日まあ半年先くらいまでを考えて、

「当分は心配要らん」

とお酒か珈琲かを飲んで昼寝します。夜は結構夜更かしして好きな事をしています。心に悩み事が無いものだから表情も気楽そうです。生活に苦しむ人間からすると外見はまるで天国の暮らしの様に見えます。しかし少し立ち入ればその気楽さの正体がよく見えます。それは自身の現状と希望を理解し問題を正しく把握して必要な事に対処出来た上での安心ではありません。それらを全て不問に付した結果の気楽さです。それは(あたか)も感覚神経がその仕事をせず、いや故意に人為的にその仕事をする事を何らかの手段に拠って封じ、判断に必要な材料を全く供給させない事に拠って実現する『問題の無さ』なのです。視神経を封じているから眼前の深い懸崖に気が付かずあと三歩で転落するというのにまだ熱心に株価を確認している、そういう事態です。そうと知って誰がこれを天国の暮らしと見做しますか。これは疑いもなく馬鹿の所業です。現実逃避以外の何でもありません。

 自分が解決しなければならない面倒な多くの事、それらに(いと)わずに取り組んで下さい。そしてそれらの作業がありながらも崩れない平安の城郭を心に築いて下さい。そういうものこそが尊いのです。繰り返します。何も無い事が平和なのではありません。この世に於いては多くの場合、何も無い事というのは本当に何も無いのではなく自分に見えていないに過ぎないのです。多く面倒な事がある、にも拘わらず実現している、この世の平和とはそういうものだと私は思っています。まただからこそ、本当の揺るがぬ平和である天国浄土を渇仰するのです。

 ブログは毎日更新しています。

https://gaho.hatenadiary.com/

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