表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/50

第44話:マナの解放

「やっと、ダズに着いたーー。けど、なんだこの状況。」


 俺達はウンク山脈を超えて、ダズの町に到着した。

 到着したはいいが、ダズは戦いの真っ只中。町の中も外も相当混乱しているようだ。


「タイラン様は?!」


 ギルが町の兵士に駆け寄り、問いかける。


「おお、ギルか…。タイラン様はここには居らんぞ。数日前に、勇者と名乗る者がこの町に来て、レオンの軍から町を守ってくれたのだ。その(あと)、一緒にマリに向かった。」

「マリに?」

「そうだ。レオン軍の本隊を叩きに、だ。だが、タイラン様が町を離れてから、何故だかまたレオン軍が攻めてきている…。タイラン様の身に何かあったのか…。」

「ユラ…急いでマリに向かおう!タイラン様が危険かもしれない!」

「うん。アレクの状態も心配だし、俺達もマリに向かおう。その前に…。」


 俺は町の外をみる。レオンの軍勢は多く、このダズの町を包囲している。

 レオン軍の兵士たちは皆が皆、“魔素”を放っていた。やはり魔王の関与があるのか?

 俺は両手を空に掲げ、創造魔法を唱えた。


「“光の雨(ホーリーレイン)”!」


 ダズの町を中心に、光輝くあたたかい雨が降る。

 兵士たちから沸き立つ“魔素”が浄化されていく。


「これで大丈夫だろう。」

「ユラ、今何を?」

「レオンの兵士たちから魔王の力を感じたからさ。魔法で消せないか試してみたんだ。うまく“魔素”は消えたみたいだから、これでたぶん大丈夫。」


 そう言いながら、今度はゴーレムを大量に作る。

 土の精霊魔法を使い、ゴーレムたちに精霊の力を込めた。


「ユラ、今度は何?」

「念には念を。これだけゴーレムを作っておけば、レオンの軍がまた攻めてきても守れるでしょ。さ、マリに向かおう。急ぐんだろ?」


 ポカーンとするギルを馬人族(ケンタウロス)の背中に乗せ、俺達はマリに向けて急行する。



・・・



 アレクの体から、血が滴り落ちる。


「く…。」

「あれ、まだ生きているのか。ただ、その創じゃもう戦えないでしょ。」


 ヴェルネは冷たい笑みを浮かべながら跪く勇者を見下ろした。


「ぐおおおおおお!!お前たち!許さんぞおおお!」


 右手を焼かれ失ったガルバートが咆哮した。

 ガルバートは禍々しい“魔素”を放つと、周りに獣人の“兵隊”が現れる。

 その中に、ライオン様の獣人が居た。


「レオン!!」


 タイランが叫ぶが、声は届かない。

 獣人の“兵隊”達は、皆どこか虚ろな目をしている。


「ぐおおお!殺す!!行け、俺の“兵隊”どもよ!!」


 ガルバートが叫ぶと、レオン達獣人の“兵隊”がアレクとタイラン達に襲い掛かった。

 レオンは鋭い爪を立てながらタイランに殴りかかるが、タイランもそれに対抗する。

 互いに手を合わせる形だ。


「レオン!!やはり操られているのか!!」

「ぐおおおおお!!!!」

「レオン!!目を覚ませ!!」

「ぐわおおぉおおぉお!!」

「レオン!!」


 タイランの必死の声は、やはりレオンには届かない。

 武に勝るレオンの力が、少しずつタイランを押す。


「ぐわああ!」


 力勝負に負け、鋭い爪がタイランの額を切り裂いた。

 タイランの右眼から、真っ赤な血がポタポタと流れ落ちる。


「グハハ!無駄だ!!俺様の『獣』の力は破れまい。」


 アレクの美女三人衆は持ちうる限りの魔力を使ってアレクの回復と、「獣」の力のレジストを試みる。

 しかし、ヴェルネがそれを許さない。


「“魔水の流(エビル・フロー)”」


 黒き水の波が三人衆に押し寄せる。

 そのまま為す術なく、彼女たちは飲み込まれてしまう。


「さぁ、残りは君だけだよ。()()()勇者は大したことなかったね。勇者を殺せば、僕も序列10位に入れるかな?」


 アレクは意識を保つのもやっとだ。

 虚ろな目で周りを見渡すと、タイランが目を抑えながら地面に蹲っている。

 仲間たちははるか後方に倒れていた。


「君たち…。」

「ふはは…仲間は誰も助けてくれないさ。これで終わりにしよう。“大樹”は僕のものだ。」

「“大樹”…マナの力…。」


 アレクは、ふと思い出したように呟いた。


「そうだ…。これだけは使いたくなかったんだが…。」


 そう言うと、アレクの体から眩い光が放たれる。

 その光はあたたかく、心を包み込むような光だ。

 マナの力が、アレクの傷を癒す。


「これは…光の精霊!?」

「光の精霊じゃない…。これは“マナ”の光。勇者だけが持つ、マナを自在に操る力…“マナの解放”だ。厨二っぽくて格好悪いから、あまり使いたくなかったんだが…仕方ない。」

「マナの…光だと!?」

「マナは精霊の源。“マナの解放”は、精霊の力を…一気に引き上げるっ!!!」


 神々しい光を放ちながら、アレクはイフリートを召喚。

 イフリートの溢れる“マナ”の力を得た圧倒的なオーラに、ヴェルネは気圧される。


「こ、こんなのはこども騙しだ!」


 ヴェルネは両手をイフリートに向けて唱える。


「“悪魔の流(エビル・フロー)”!!」


 黒き激流がイフリートを飲み込む。

 が、一瞬で黒い水は蒸発し消え失せた。


「そんな!!?」

「この力は疲れるからさ、さっさといくよ。」


 イフリートが輝く炎を放つ…そして、


豪火の(ヴェロインフェルノ)咆哮(・ロア)!!!!」


ここまでお読み頂きありがとうございます。

次話も楽しみにして頂けますと嬉しいです。


引き続きよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ