第38話:タイランとレオン
いつもお読み頂きありがとうございます。
獣王国ガルガンティアの話になります。
ギルは…実はというと…今後に期待してください!
最後までお読みい頂けますと幸いです。
獣人族の一団が、グラスランにやってきた。
見たところ、いろんな種族が混ざっているな…あいつはオオカミみたいな見た目だし、キツネやウサギ、ネズミみたいな外見のやつもいる。
殆どがケガを負っているようだ。中には自分の力で歩けない者までいる。
「ひどいケガだな…。ポーションを持ってこい。ありったけのだ。」
「はい、ユラ様。」
俺はライリー達に声をかけた。
そして、獣人族の先頭にいるリーダーらしき若者に声をかける。
「はじめまして、俺は魔王のユラという。このグラスランの街の領主をしている。」
「俺は狼人族のギル。仲間がケガをしてしまった。申し訳ないが、ここで治療をしてもらえないだろうか?お金は…ないが、戦いが終われば恩は返す。」
「いや、お金とかはいい。とりあえず、ケガ人をここに連れてきてくれ。」
ギルは「感謝する。」と一言いった後、ケガ人を集める。
俺は、その一人一人にポーションを飲ませていく。
「こいつは、ひどいな…。」
ケガ人の中には、深い傷を負って息も絶え絶えの者もいた。
「うぅ…。俺の…ことは…いい…。他の…若いやつを…助け…t。」
普通のポーションじゃ足りなそうだな。
そう思い、街にあったエクスポーションを遠慮なく飲ませる。
すると、体を抉っていた傷が綺麗に消えた。
俺は単純に効き目に驚く。
「おぉ~すごいな!このポーション!」
「え…嘘だろ?痛みが消えた。傷も…!?」
そんな感じで、ケガ人全員にポーションを飲ませた。
ギルは驚きながらも、頭を下げる。
「…なんてお礼を言っていいものか。」
「気にしなくていいさ。困ったときはお互い様だ。」
「いや、そんな訳には…。しかも、貴重なエクスポーションまで…。」
「あれなら、いくらでも創れるからさ。本当、気にしなくていいって。それよりも、何があったか教えてくれないか?」
ギルは事のいきさつを語ってくれた。
彼ら獣人族は、元はそれぞれの部族(狼人族や兎人族など)に分かれて暮らしていたらしい。
それらの部族をまとめ上げて出来上がった国…それが獣王国ガルガンティアだ。
獣王国には二人の王がいる。
一人はタイラン。人格者で政に秀でており、うまく部族間のバランスを取りあっていた。周辺諸国にも彼を慕うものは多く、国家間の関係も彼の手腕で安定させていた。
もう一人はレオン。彼はタイランのように政治の才能はなかったが、圧倒的な武の才を持っていた。彼の武の下では部族間の争いは起こらず、また度々認めた魔族の侵略も、彼が収めていた。
二人は兄弟分であり、この二人を中心に、獣王国ガルガンティアは繁栄してきた。
だが、最近この二人の関係が悪化した。レオンの様子が一変したのだ。
これまでガルガンティアは、隣国にあるエルフの里とは協力関係にあり、お互いが平和に暮らしていた。しかし、レオンはこのエルフの国への侵略を企図したのだ。理由は“大樹”の奪取。このことにタイランが反対し、ガルガンティアでは内戦が発生した。当初は、二人の戦力は拮抗していたが、徐々に武に秀でるレオンの力が勝ってきた。その結果、タイランの軍は敗戦が続き、自軍の本部のあるガルガンティア北端の町“ダズ”にも敵の勢力が迫っていた。レオン軍の攻撃は激しく、タイラン軍の仲間たちはダズの周辺で散り散りとなっているとのこと。
「俺たちは、ダズに向かう途中でレオン軍の攻撃に遭ったんだが…手も足も出ず、なんとかウンク山脈を越えて、ここまで逃げてきたんだ。ただ、タイラン様は…ご無事かどうか…。」
ギルは俯きながら詳細を話してくれた。
「エルフの里が危ないのですか…。」
ソフィアも浮かない顔だ。
「このままだと…だ。もともとエルフはあまり武力を持っていない。精霊の力があったとしても、おそらく本気になったレオン様には敵わないだろう。何とかレオン様を止めないと…。」
ギルが言う。
「なんで、そのレオンってやつは、急に“大樹”を奪いたくなったんだ?」
エルフの里の“大樹”は“マナの遺跡”の一つだ、と聖ルクスの教皇が言っていた。聖ルクス教と関係してるのだろうか?
「レオン様は特に聖ルクス教を信仰してはいない。だから、宗教は関係ないだろう。ただ、ここ最近は魔族の侵略の頻度が減っていたんだが、代わりに『砂』の魔王がよく顔を出していた、という話は聞いていた。もしかしたら、魔王が関係しているのかもしれない。」
「確かに、アレクも『魔王が絡んでいる』て、言ってたな。その『砂』の魔王ってやつが原因かもしれない。脅されている?とか?」
「『砂』の魔王スーハラなんて、小物中の小物よ。序列もたしか41番目。獣王レオンに敵うわけがないわ。」
ローゼが話に加わる。
「スーハラの言うことなんて、獣王が聞くわけがないもの。もしスーハラに脅されたとしても、レオンとタイランは魔族と戦うはずよ。」
「その通り。俺たち獣人族は誇りが高い。魔族如きにやられるもんか!」
ギルが腕まくりをして答える。
「じゃあ、なんでだ?」
う~ん、と皆が頭を悩ます。
だが、やることは一つだ。
「とりあえず、俺たちもレオンと戦いに行こう。」
「え!?関係のないあなた達が、俺たちの戦いに巻き込まれるわけには…。」
「いや、関係しているよ。な、ソフィア、リーネ。俺たちの大切な仲間に、エルフの者たちがいるんだ。エルフの里が巻き込まれるのを、指をくわえて見てらんないよ。」
「そうですね。私達もエルフの里の仲間が傷つくのは見たくないです。」
ソフィアとリーネも賛成のようだ。
こうして、俺たちは獣王国ガルガンティアに向かうことになった。
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