第37話:最高の血の味
いつもお読み頂きありがとうございます。
主に情報の整理回です。
話にあまり発展が無く申し訳御座いません。
最後までお読みいただけますと幸いです。
俺たちは聖ルクス国からグラスランに戻ってきた。
数日間、街を空けたが、特に変わりはないようだ。
変わったことがあるとすれば、留守を任せたローゼがママトにメロメロになったくらいだ。
最高の血の味が…とか言っている。
ちなみに、商人のナキとはルクスで分かれた。
彼女は一旦帝国にあるル・ワンダ商会の本部まで行ってエクスポーションの報告をすると言っていた。その後は、定期的にグラスランと帝国を行き来してくれるみたいだ。
ナキの代わりに、ソフィアの助手のリーネが街に一緒に住むことになった。
家を建てることを提案したが、ソフィアの薬屋に住み込むそうだ。
かわりに、壁を厚くしてくれと言われた。何する気だろう…ゴクリ。
さて、聖ルクスではいろんなことを聞いた。
少し整理しないとな。
まず、勇者アレクが向かった先の、ガルガンティアだったか?どこにあるのか聞いてみよう。
ちょうどローゼが俺の家でママトを頬張っているし。
「おい、ローゼ。ガルガンティアって、どこにあるか知っているか?」
「はふはんひぃあ?ひはひほ、はんはくほほへへ…」
「え?何?ママト食べるのやめろよ。」
「クキキ…ローゼ様はいまお忙しいでんす。」
「お前に聞いてないんだよ、かぼちゃ。」
「クキキ…ひどいでんす。」
ローゼは、ゆっくりとママトを食べ終わってから言う。
「私の至福の時を奪わないでよ。」
「で、ガルガンティアって知っているのか?」
「知ってるも何も、近いわよ?ここから南にいくと、“ウンクの山脈”があるの。そこを超えると、“キネス砂漠”があるわ。ガルガンティアは、その砂漠の中にあるオアシス国家よ。」
「あ、近いのか。なんか、ガルガンティアに勇者が向かっているって言ってたぞ。誰か知らないけど魔王も絡んでいるって。」
「え?魔王が…?あの辺って、あまり強い魔王はいないのよね。ほら、砂漠とか山脈とか…住みにくそうじゃない?人気ないのよ。」
「そんなもんか?」
「今の勇者の中心は、アレクって言ったっけ?強い精霊魔法を使うみたいだし、その魔王もやられちゃうんじゃない?」
「あれ?魔王どうしって協力とかしないの?てっきり、人間は敵!って皆で協力するのかと…。」
「表向きわね?ただ、魔王ってみんな野心が強いものなの。正直自分が大魔王に近づけるのであれば、他の魔王の事はどうでもいいって思っているわ。むしろ他の魔王が消えるなら、自分の序列も上がるしね。」
「なるほどなぁ。」
魔王の世界にも、いろいろ事情があるみたいだ。
で、ガルガンティアよりも気になるのは、“マナの遺跡”だ。
「魔の森って、マナの遺跡はあるのか?」
「無いわよ。」
「え?広いから隅々まで調べていないのかと…。」
「それくらいは調べたわ。私は吸血鬼だから、あまり『マナ』とか感じられないけど、明らかにマナの濃い場所は無いわ。マナの濃い場所には精霊もいることが多いんだけど、うちの森で精霊なんて見たことないわ。」
「聖ルクスの教皇が、“マナの遺跡”を探しているらしいぞ。」
「あそこの国は、何か黒い事情がありそうだからね。あーママト美味しい。」
そう言いながら、新しいママトを食べ始める。
ローゼはあまり“マナの遺跡“には興味がないみたいだ。
うーん、教皇は最後に「すべて集めれば…ククク」みたいな事言っていたけどなぁ。
そう思いながら、俺もママトを食べる。うまい。
「クキキ…ローゼ様。ガルガンティアには、“マナの遺跡”かは分からないでんすが、マナの濃い地域があるらしいでんすよ。」
「かぼちゃ!お前、なんで知ってるんだ?」
「クキキ…我々アルラウネは、樹の精霊ドリアード様のご加護を少しばかり受けているものがいるでんす。知り合いの一人が、そう言ってたでんす。」
「お前…アルラウネだったんだな…。」
「クキキ…え?」
興味深い事実とともに、アルラウネが美人じゃなかったというショックな事実が判明した。
いや、これはこのカボチャだけだろう。そうだろう。
しかし、ガルガンティアにマナを感じる場所があるのか…ちょっと興味があるな。
俺は、ローゼと(かぼちゃ)の会話を終わらせ、家から外にでる。
見ると、ロジーがゴーレムと一緒に、ソフィアの薬屋を改築していた。
おそらく、壁を厚くしているのだろう。
「お、ロジー。いい所にいた。」
「あれ、ユラ。どうしたの?わたしに用?」
「何か鉄鉱石とか余っていないか?ちょっと、俺も武器とかあった方がいいかと思ってさ。」
ついさっき、アレクに剣を向けられて思わずビビってしまった。
剣技は使えないにしろ、何かしら武器は持っていた方がいいかと感じていたのだ。
「うーん、鉄鉱石はライフルの改造にほとんど使っちゃったなぁ。ライフルじゃだめなの?」
「ライフル重いしなぁ。もっと軽めの剣とかでいいんだ。別に実際に戦いに使うわけじゃないし。護身用だ。」
「それなら、地下の鉱脈で少しだけミスリルが採れたから、それで剣を造ってあげるよ。」
「ありがとう。助かるよ。」
そう言うと、ロジーは工房に急いで行こうとするが…
「あ、ロジーちょっと待って。」
「何?」
「ちょっとゴーレムのライフルを貸してくれ。」
俺は、「創造」スキルを使って、ライフルからハンドガンを2丁作り上げた。
以前と同様、空に向かって撃ってみる。
パン!パン!
うん、うまく機能するな。
「これは、ハンドガン。小さいライフルみたいなもんだ。護身用に、いくつか作ってくれないか?」
「ほぉ~~、ハンドガン!!御意に!」
ロジーはすごい勢いでハンドガンを俺から取り上げると、工房に向かって駆けて行った。
さすがの武器好きだ。
その後は、街の発展具合をふらふらしながら見ていく。
概ね順調だな。
あとはレストランとか、飲み屋とか…娯楽施設がなぁ、と考えていると、見張り番のスライムが声を上げる。
「ユラ様!!獣人族の一団が、こちらに向かっています!!どうやらケガをしている様子です!!」
噂のガルガンティアの人たちが来たようだ。
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