第28話:草原の村グラスラン
いつもお読み頂きありがとうございます。
草原の村に、ついに名前がつきました。
しばらくは戦いもなく、街造りや新キャラ登場の話の予定です。
最後までお読みいただけますと幸いです。
ダリとエルサムの戦いが終わり、数週間が過ぎた。
国王を失ったダリは、その後民衆が蜂起し更に国内に混乱が起きた。もともと悪政による民衆の不満が強かったのだろう。現在も戦いが続いているようだが、王政の復活は難しそうだ。
エルサムからは、何も音沙汰がない。ダリの混乱に乗じて、再び侵略するか?とか心配していたが、ローゼはちゃんと静かにしているみたいだ。
俺の村はというと、だいぶ賑やかになった。最近は、戦いに嫌気がさしたダリの兵士(彼らは先の戦いの時に、うちの村で治療した兵たちだ)も移住してきて、少しずつ人口が増えてきている。
「この村もだいぶ賑やかになってきたな。」
「そうですね。家や道の整備もゴーレムたちが率先してやってくれて、見た目も十分立派になってきました。」
「そうだな。人口も増えてきたし、ライリーがこの前言っていた通り、そろそろこの村にも名前を付けようと思う。」
本当は、厨二心をくすぐる格好いい名前…「アレ〇ガルド」とか「ラダ〇ーム」(前世の知識からの引用)とか…を考えていたのだが、この何もない草原地帯には似合わないだろう。
「グラスラン。この村の名前だ。」
「…グラスラン。どういう意味ですか?」
「異国の言葉で、『草原』って意味だよ。単純だろ?」
「グラスラン…いいんじゃないですか!」
こうして、この村の名前は“グラスラン”に決まった。
さて、俺の村グラスランだが…発展しています!
畑はもともとノームのお陰で美味しい野菜が採れたんだけど、メリーさん(おばちゃんの名前)達の技術協力で、本気で美味しいママトができた。他の野菜もしっかりと育っているし、村の食糧事情は特に問題がない。
スライムたちが育てていたアリフレタ草も、引き続き栽培している。俺が「創造」で作るポーションは品質が良いらしく、ダリの兵士の中でも評判がいい。これを求めてわざわざバッカナールから商人が訪ねてくるようにもなった。
野菜も売れば名産品になるだろう(自画自賛)し、本格的に村に商店でも作らないとな。
ダリから移民してきた兵士たちは、ゴーレムと一緒に村の守衛をしてもらっている。守衛といっても村の周囲に現れた敵意のある魔物を倒す程度だが。ロジーが勝手に増産しているライフル銃を装備しており、魔物相手に困ることはない。
ロジーと言えば、最近は自分の工房に籠ってまた何かしているようだ。ライフル銃から発想を得て、新しい武器を開発しようと意気込んでいる。
さて、俺はというと。
家で引きこもりである。建築はロジーとゴーレムがしちゃうし、畑や牧場仕事も蚊帳の外。ポーションを創造すること以外やることがない。
なぜか(嬉しいことに…)ルナとモニカが俺の家に住みついている。今もルナに抱っこしてもらいながら、癒されているところだ。はわわ…。
癒されながら、ぼーっと窓の外をみていると、突然に“黒い渦”が現れる。
「クキキ…ローゼ様、辺境の草原地帯に着いたでんす。」
聞き覚えのある声とともに、カボチャ頭と天使ちゃんが現れた。
天使ちゃんことローゼは、俺を見つけるなり、すっと視線を逸らす。
「クキキ…ローゼ様、ちょうどよく魔王ユラがいるでんすよ。」
「…分かってるわよ。…魔王ユラ、あなたの実力はよく分かったわ。私の下僕になりなさい。」
え、いきなり来て、下僕とは…?
いや、待てよ。こんな美しい女性に養って頂けるのであれば…それもありか…?
「はい、ぜh…」
「冗談よ。貴方には敵なかったからね。今日来たのは、あなたのことを聞きにきたの。」
即否定されてしまった。
俺のこと?俺には美しい女性の奴隷になる“覚悟”ならありますよ!
「あなた、魔王のくせに精霊魔法とか光の魔法とか、訳が分からないわ…。どういうことが説明してほしいの。」
「え?精霊魔法?みんな使えないの?うちの村じゃ、俺以外にもドワーフのロジーが使えるし、簡単に使えるもんだと思ってたけど。」
「あんたね…。普通魔王は精霊を使えないのよ。」
ローゼは呆れて言う。
呆れ果てた顔も、なお良いな。
「なにジロジロ人の顔をみてるのよ?精霊はマナをエネルギーにしているのよ。魔物はマナを使えないでしょう?だから、普通あんたも私も精霊は使えないの!」
ローゼの話をまとめると、この世界は“魔素”と“マナ”をエネルギーにしている。魔王は自身の魔力からその“魔素”を創り出す存在で、魔素をエネルギーに魔物が生まれるらしい。
精霊はその対極にある“マナ”をエネルギーとする存在とのことだ。マナは大自然が持つ魔力から発生するらしい…がこの辺はよくわからないと。世界のどこかに精霊達が好む場所があり、その場所では自然から大量のマナが発生してるんだって。
簡単に言うと、魔王はマナを創れないから、精霊は使役できないんだと。
俺は水の魔法を使う。
「じゃあこういった普通の魔法は?みんな使えるけど?」
「魔法は純粋に魔力を変換したものなの。魔力は多かれ少なかれどんな生物でも持っているから、その力を“火”や“水”とかに変化させているだけ。だけど、種族によって、得手・不得意があるの。魔族はほとんどが“闇”の魔法が得意と聞くわ。あんたの光魔法とは正反対のね。」
「俺のは光の精霊魔法だよ。な、ウィスプ?」
「なおさら、訳わかんないわ!」
ローゼがぷんぷんしている。
美人が怒る様は、そそるなぁ。
「クキキ…ローゼ様、忘れてるんでんすよ。」
「…分かってるわ。魔王ユラ…私と…リ、リンクしなさい!」
ここまでお読み頂きありがとうございます。
次回はローゼとのリンクです。
楽しみにしていて下さい。
今後も毎朝8時投稿予定です。
引き続きよろしくお願いいたします。




