第12話:夜の影
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「おい、見つかったか?」
「いや、それが見つからないっす。こっちの方に逃げたと思うんすけどね。」
「早く見つけないと、お頭にどやされちまう。あいつら、魔物のくせに一丁前に集団戦術みたいなことしやがって。大人しく俺たちに捕まってくれればいいものを。」
下っ端たちが話をしている。
彼らは、この辺りを縄張りとする、盗賊団「夜の影」の一員だ。
この“辺境の草原”は、かれらのアジトのある街“バッカナール”から東に存在する何もない草原地である。最近ここの馬人族の蹄で作るアクセサリーが王国の貴族の間で流行っており、高く売れるのだ。魔物の乱獲は街のギルド団体から禁じられているが、彼らに守る義理はない。
「おい!あれ!」
「ああ…やっと見つけたな。こんなところに集落があるとは…。あいつらはさっきの戦いで弱っているはずだ。お頭に知らせよう。」
下っ端が、遠くの方に柵で囲まれた集落を見つけた。馬人族の姿も見える。
彼らはリーダーに報告し次第、この集落にいるであろう馬人族を襲うつもりだ。
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「盗賊を倒すのに協力させてほしい。」
俺が、けろっとした顔でロダンに伝える。
「いや、しかし、これは我々の問題だ。ユラ様に迷惑をかけるわけにはいかない。」
「迷惑じゃないから大丈夫。俺も魔王としてこの領地を治めないといけないし、魔物と人間との関りにも興味がある。だから、むしろ協力させてほしいんだよね。」
「でも、あの盗賊たち、強いですよ。私達も何とか逃げてきたくらいで…。」
ロダンは心配そうにこちらを見渡す。たしかに、魔王といえど19歳そこらの青年と、最弱のスライムたちでは心細いか…?
「やばそうなら、皆で逃げよう。とりあえず、俺は魔法も使えるし、スライムたちもある程度は戦えると思うけど。な、ライリー?」
ライリーも、首を縦に振る。
「ありがたい…そこまで言うのなら…お願いできるか?一緒に戦って頂きたい!」
俺たちの説得に、ロダンが折れる。
「大丈夫。少し作戦もあるんだ…。」
こうして、俺たちの村は盗賊たちと戦うことになった。
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「お頭、あの集落です。あそこに馬人がいるのを見つけました。」
「…わかった。」
「今すぐ捕まえに行きますか?」
「…夜まで待て。…夜襲をかける。」
盗賊団「夜の影」は、名前の通り夜襲に長ける。彼らは、夜まで気づかれないように集落付近に潜むことにした。
・・・
夜が深まる。
夜の影が、こそこそと動き始める。
あと少しで、集落があったポイントに近づく。
ここから先は、より慎重な行動が必要だ…。
・・・
おかしい。
そろそろ集落があったポイントのはずだ?どういうことか、集落がない。
場所を間違えたか?
「ちっ」と団長が下っ端を睨む。下っ端も「訳が分からない」と首を横に振る。
その時。
ボンッ!
どこからか火の玉が飛んできて、団長が爆発に巻き込まれる。
混乱する団員たち。
また、違う方向からは滝のような水が押し寄せる。
何がどうなっている!?
訳が分からないまま、仲間の団員たちがやられていく。
バリッ!
今度は、目の前が光った…と思ったところで、意識を失っていた。
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うまくいったようだ。
「秘匿」のスキルは、集落自体も隠せるみたい。
これは今後役にたつぞ。忍者の隠れ里みたいにしちゃおうか…厨二心をくすぐられる。
それにしても、うまく餌に食いついてくれた。馬人たちを、ちらちら集落の外に出してアピールした甲斐があった。
驚いたのはスライムたちだ。
予定では、リーダーっぽいやつを火力のある「火の魔法」で倒したら、俺が「水の魔法」で水気を含んだところに、「雷の魔法」でビリっとやる予定だったのだが…。彼らも水魔法が使えた。
「ユラ様のおかげで、初級の水魔法が使えるようになったんだよ。」とルナが言っていた。リンクのお陰か?そういうことは早く言ってほしいな。
馬人族たちは出番がなかったが、ロダンは「こんな強いの?」みたいな顔をしている。
他の馬人達も同じような反応だ。
モニカは…こっちをじーっと見てる。照れるなぁ。
夜の影たちは、ひとまず生け捕りにした。
こいつらどうしようか。
正直、人殺しはしたくないのだが…。
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