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愛してる!
「ただいまー」
それから家に帰った僕は、家にいるはずの妹に向けて声を上げる――が、反応がない。おかしいな? いつもなら真っ先に駆け寄ってくるのに。
「愛華ー? ……あれ、まだ中学は始まってないはずなんだけどな」
妹の愛華は二つ下の中学二年生。始業式はまだのはずだし、何より今朝も愛華に見送られて家を出たのだ。特に出かけるとかも聞いてないし……。
「……さては」
一つの可能性を思い浮かべた僕は、小さく笑いながら回れ右。入ってきたばかりの玄関の扉に手をかける。
「いないなら仕方ないなー、友達に誘われたしお昼は外で食べてこようかなー」
「待ってぇぇぇえええ!」
聞こえる食い気味の声(実際は「お昼は外で」あたりで聞こえた)と、ドタドタと慌てたように廊下を走る音。もう一度振り返ると、どこか涙目で走り寄ってくる愛華の姿が。
「いたずらしちゃってごめんなさいぃぃいい! 愛華いるからぁ、ちゃんといるから行かないで、お兄ぃぃいいい!」
「そんなことだろうと思った……。はいはい、ちゃんと断ってきてるから行かないよ」
「お兄最高! 愛してる!」
……え? お前の妹、ブラコンじゃないかって? ……あ、ははは。…………言わないでよ。




