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女神をさがして―家に帰るため、わたし冒険者になります!―  作者: 仁 尚
第一章 異世界に来ちゃいました!
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(1-10)

 古代魔術と言えども初級魔術の威力はそう高いものではなく、クリストバルさんの知識ではデフォルト状態のファイアアローの威力だとせいぜい岩に焦げ目をつける程度なはず。


 にも拘らず、私の使ったファイアアローは岩の表面を砕いて見せた。


 何故に?


 こうなった原因が何なのか解らず、わたしはクリストバルさんの知識を検索してみると、その答えがあった。


 それは「魔力純度による魔術効果の増減」というもので、魔力純度が高ければ魔術の効果は上がり、逆に魔力純度が低いと魔術の効果が低下する、というものだ。


 つまり、わたしの魔力純度が高いためにファイアアローの威力が上がったということになる。


「……わたしの魔力純度っていくつなんだろ?」


 メルトさんから魔力純度が高いとは言われたけど、正確な数字を聞いたわけじゃないから、ずっと疑問に思ってた。


 万全の状態のクリスさんなら魔力純度を測ること出来るらしいけど、今のわたしなら自分で調べられる。


「よし!やってみよう」


 わたしは右手に魔力を集中せると補助のページからアナライズを選択し、発動させる。


 アナライズはその名の通り、対象物の状態を調べるための魔術だ。


 アナライズが発動し、わたしの魔力純度が計測され即座に表示された。


 その数値は……98%!?


「はぁ?!」


 表示された数値があまりに現実離れしていたことで、わたしは何度も調べなおしたけど数値は変わることなかった。

 

 ……確か、メルトさんたち原初の種族でも70%前後って話だったよね?それが、98%って……



 どうやら、わたしが異世界転移で手に入れた最大のチート能力は、魔力だったようです。




***************



 わたしが初めて魔術を使って一週間が過ぎました。


 この一週間、わたしが何をしていたかというと、ひたすら魔術を撃ちまくって熟練度を上げていました!


 え?それは何でかって?


 もちろん、魔術を使いこなすためって意味合いもあったんだけど、最大の目的は魔術のカスタマイズを行うため。


 魔力純度が98%もあるために魔術の効果が増大し、初級魔術でもうっかりしたら人を殺しかねない威力になってしまうわたしの魔術。それを防ぐために使用する魔術の改良が急務だったのです!


 で、熟練度を上げまくって初級魔術のカスタマイズが可能になったんだけど……敢えて言おう、楽しい!と


 いや〜、クリストバルさんの知識で初級魔術のカスタマイズ幅は少ないって知ってたけど、それでも出来る範囲で弄ったら全くの別物になりましたよ!


 例えば、最初に使ったファイアアロー。

 設定できるカスタマイズ数が魔術一つに対して三つまで登録出来たので、わたしは消費魔力を5から1に変更して威力を最小にまで落としたファイアアロー(弱)と、逆に消費魔力を10にして射程距離を伸ばしたファイアアロー(長)と威力を上げたファイアアロー(強)を作ってみた。


 ……ネーミングは仮みたいなものなんで目を瞑ってください。


 (弱)は、私が使っても一般的なファイアアローより少し強いぐらいの威力まで落ちてたので対人用に使い勝手がよくなったと思う。


 (長)は、消費魔力が二倍になってるけど威力はそのままに射程が二倍近く伸びて、(強)の方は射程教理は変わらないけど、威力は1.5倍になった。


 何で、威力と射程距離を同時に強化しないのか、疑問に思う人もいるかもしれないけど、カスタマイズには一定のルールが存在するのだ。


 簡単に言うと、威力を上げると射程距離を延ばすことが出来ず、逆に射程距離を延ばすと威力を上げることが出来ないようになっているみたい。


 ちなみに、どうやってカスタマイズするかというと、魔術のメニュー画面上部に【カスタマイズ】って項目が新しく出来て、それを選択すると現在わたしが習得する魔術の中でカスタマイズ出来る魔術は白で表示され、出来ないのはグレー表示になっている。

 そして、カスタマイズしたい魔術を選択して、変更する項目の目盛を増減させるだけ。

 

 結構簡単な操作だから、RPGとかやり慣れてる人なら誰でも出来るんじゃないかな?


 そんな感じで、他の初級魔術も熟練度を上げてカスタマイズを施して試し撃ちをやってたら、裏庭が一週間で何にもない荒れ地へと変わっていました。


 さすがに「メルトさんに怒られるかなぁ」と心配したけど、元々息子さんが魔術の練習に使っていたらしく、気にしなくていいというお言葉を頂きました!よかったぁ〜……


 ただ、攻撃系の魔術の熟練度はすぐに上げることが出来たけど、補助系は結構苦戦してたりする。


 魔術の練習をしているとはいえ、安全に気を付けてしてるから怪我なんてしないので、けがを治すヒールを使うことがまず殆ど無い。

 状態異常回復であるキュアは、片頭痛がしたときに使ってみたら効果があったので、ほんの少し熟練度が上がってるかな。

 アナライズは、お世話になる機会が多かったら熟練度が上がり、もう少しでカスタマイズ可能になるところに来ている。


 最後に、特殊分類であるメンテナンスだけ、カスタマイズ欄に表記が無くカスタマイズ出来ないみたい。


 実は未だにクリスさんにメンテナンスの魔術を使っていない。何故なら、魔力純度による効果増大がクリスさんにどんな影響を及ぼすか分からないから。

 クリストバルさんとの約束でもあるから、早く使ってあげたいんだけど、わたしは踏ん切りがつかないでいた。



 そんな一週間が過ぎたある日、わたしは部屋でカスタマイズ画面と睨めっこしていた。


 画面には、中級魔術である【フレイムジャベリン】の変更項目が並んでいる。


 実は、初級魔術を粗方カスタマイズした頃に、突然このフレイムジャベリンが解放されたのだ。


 他の中級魔術も解放されるのかと期待したけどこれ以外は解放されなかったので、とりあえずフレイムジャベリンの熟練度を上げ、カスタマイズ出来るようにしておいた。


 このフレイムジャベリン。ファイアアローの上位版で炎の槍を敵に放つ魔術なんだけど、威力は段違い。消費魔力15というだけあって、デフォルト状態でもわたしがカスタマイズしたファイアアロー(強)よりも強力で、射程も(長)よりも長いのだ。


「フレイムジャベリンは弱くするメリットはないし、強化一択かな?」


 下位のファイアアローがある以上、フレイムジャベリンを弱くする必要はないので、わたしは強化する方向で作業に入った。


「まずは、順当に消費魔力を増やして威力を強化…っと?」


 消費魔力を15から倍の30へ増やし、威力を強化しようとしたら見慣れない項目が増え、わたしの手が止まった。


「爆発力に貫通力?」


 ファイアアローでは威力だった項目の代わりに、爆発力と貫通力という項目が追加されていたのだ。

 よく見ると、射程距離の下にも効果範囲という項目が増えていた。


「……あーなるほど、カスタマイズ出来ることが増えるってこういうことか」


 知識で知っていたとはいえ、実際に自分の目で確認したことで出来ることが増えると言う意味を理解した。


 とは言え、カスタマイズのルールから考えると、全部を最大まで強化できないはずだから、どうするかなぁ……


「とりあえず、いろいろ試してみるかぁ」


 悩んでも仕方ないので、わたしは思いつく限り設定を弄ってみようと作業に入った。



 作業を始めて三十分……


「こんなものかな?」


 フレイムジャベリンの特性を考えて、三つの設定を作ってみた。


 一つ目は、貫通力を最大値にまで上げた物。デフォルト状態でも岩を貫通できるほどの威力があったから、とんでもないことになってると思う。


 二つ目は、射程距離を最大まで上げたバージョン。魔術の特性上、狙撃って訳にはいかないけど、先制の遠距離攻撃が出来れば危険が減らせるはず。


 そして三つめが、爆発力と範囲効果を半々で上げた設定だ。これはある意味で実験的な側面が強い設定で、設定したわたしもどんな風になるのか予想できない。


 この三つ、消費魔力は45。強化ファイアアローの4.5倍ですよ!どれ程の威力になるか、楽しみ〜!


「さぁて!試し撃ちに行ってみよう!」


 カスタマイズしたフレイムジャベリンの性能を確かめるため、部屋を出ようとした時だ。


「……ん?何の音?」


 それは、耳鳴りにも似た甲高い音だったけど、よく聞いてみるとわたしにはある意味で馴染みにある音だった。


「これって、戦闘機の音……?」


 私の住んでいる街の近くには航空自衛隊の基地があり、いつも訓練機が空を飛んでいた。


 だからわたしにとって、戦闘機の飛行音は聞き慣れた音なんだけど、ここは異世界。


 まさか、異世界に戦闘機があるはず…無いよね?


 徐々に正体不明の音が近づいているように感じ、わたしは部屋の窓から外をのぞいた瞬間、外を何かが通過し屋敷正面に落ちた(・・・)


「きゃっ!?」


 落下の衝撃で屋敷全体が揺れ、わたしはその場に尻餅をついてしまう。


「いたたた……何なの、一体……」


 何が起きたのか訳が分からず、わたしはお尻をさすりながら立ち上がりゆっくりと窓へと近づく。


 窓の外は舞い上がった土煙で何も見えず、衝撃の凄さを物語っている。


「……これは、見に行くしかないよね?」


 外の状況が判らない、というのは思った以上に気持ちが悪く、わたしは確認のため部屋を飛び出した。


 …決して、野次馬根性ではありませんから!!



 そして、外に待ち受けていたのは、わたしにとって運命的な出会いだった。


次回更新は、五月三十一日午前0時です。

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