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人を助けることに理由は必要です

自分の荷物を右手に持ち、左手にお菓子の袋を持つ。背負ったリュックには行くときに着ていた服とアイドル心得が入っている。

フードの子は、俺がとってあげた猫だるまのぬいぐるみを抱きしめている。



しばらく歩くと、商店街を通るルートになった。

そして、商店街の中を歩いていると、

『コロナ!!3thアルバム、、本日発売!!』とCD屋の入り口にデカデカとと宣伝されていた。まぁ、あんまり分からないんだけどね。俺はあんまりアイドル業界について知ってるわけじゃないし。

なぜかフードの子は顔を赤らめたり青ざめさせたりしている。

とりあえずそのCD屋に入り、適当にぶらぶらしてみると、フードの子が挙動不審似なっていた。

「どうかしたか?」

「僕、この人達によく似てるって言われることがあるんです………。だから、あなたが僕を助けたのはただの下心なんかじゃないかと疑ってしまっているんです……。」

そう言って悲しそうな顔をされる。

俺はため息をついて、こう言いはなった。

「あのなぁ、人を助けるのに理由は必要ない。それに、俺があのチャラ男を蹴ったのには理由がある。クレーンゲームで取れそうだった奴を無駄にされたことについて苛立ったからだ。だから、その相手がアイドルとかお嬢様だったりしても俺は助けるという理由にはしない。それが男だろうし。下心があったらそれは助けたとは言わない。ただの過程にしかならないからな。」

「じゃあ、僕が誰であったとしても助けるときは、下心も正体も関係なしに助けてくれるの?」

「そうなるな。これは死んだ祖母の言葉だ。人を救うのに理由はあるが、人を助けるという行為には、無の心で見返りを求めずに手を差し伸べろ………。祖母は警察官だったらしいからな。俺もこの教えを守っていきたきとは思っているが。」

「………かっこいいなぁ。」

「そうか?ただの言い訳だぞ?」

「でもでも、僕はそれで助けてもらったんだから!!」

そう会話してからCD屋から出る。ちなみに、ここでは二人とも何も買っていない。今波放送スタートの時期だから新しいアニメのCDはあまりでていない。現在放送されている『王と悪魔と少年と』というアニメのオープニングは良かったんだけどな……。と思いながら。


「そういえば、家はどこなんだ?その、友達の家というのは。」

「え~っと、ちょっと別の所で待ち合わせているんです。」

「喫茶店とかか?で、それどこにあるんだよ?」

「あ、もうそろそろ見えてくると思うんですけど………。」

そう言って道なりに進むフードの子だ。


「そ、そういえば何歳なんですか?あなたは?」

「今は15だが、もうそろそろ高校生だ。」

「お、同い年なんだ………。」

「まぁ、高校は違うだろうが。さすがに言わない方がお互いのためだろう?」

「………別に教えられても良いのにな………。」

「?何か言ったか?」

「な、なんでもないです!!」

フードの子は顔を真っ赤にしていた。



「あ、ここのビルです。待ち合わせ場所。ありがとうございました。」

「いや、むしろ迷惑じゃなかったか?」

「そんな!迷惑はむしろ僕がかけてるよ………。」

「じゃあ、俺は帰るから。」

「あ………その………。もしあなたがアイドルを助けたとき、そこに下心はできますか?」

「何回も言うが、俺は下心だけで行動するやつになるなと言われている。だから、たとえその子がアイドルだったとしても、俺は無条件で見返りを求めずに助けるだろう。」

気障っぽいな………このせりふ。

「………やっぱり、かっこいいなぁ………。」

と、フードの子はそのビルに入っていった。



ビルに書いてあるのは、イタリア語?で読めない。日常会話レベルならば、たまに話せるけれど、こーゆーのは無理だ。

しかし、よく見ると日本語も書いてある。

「グラツィオーゾ・ヘッロ?なんの会社なんだ………?」

まぁ特に気にせずに家の方に向かうことにした。

途中迷い掛けたのはまた別の話だが。



「ただいまー。」

「あ、お兄様。遅かったですね。まぁ、そのおかげで今日は姉様とイチャイチャできるチャンスが……。ふふ。また大きくなったと言ってましたので、顔を埋めるのが楽しみで仕方ありません。」

そう言って出迎えたのは、俺の妹である、棚望たなもち 理恵りえだ。身内の贔屓目を抜いてもかわいい部類にはいるだろうが、こいつは百合だ。レズとも言うが。

ちなみに離裏が言う姉様というのは隣に住んでいる幼なじみのことだ。

幼なじみはまた出てきたら紹介すると思う。


「お兄様から女性のにおいがしますね……。そのまま付き合ってしまえばどうですか?私としては姉様といちゃラブできる可能性ができるのでバッチコイな展開ですが。」

「なんでにおいで性別が分かるんだよ………。」

「お兄様は天然ジゴロとか天然垂らしとか鈍感とかなので、さっさと姉様以外の人と付き合ってくださいよ。私は姉様と結婚したいんですよ。」

「どーでもいーよ。とりあえず部屋行って買った本読むから。入ってくんなよ。」

「はぁ………分かりました。では、姉様に渡すためのお兄様の寝顔写真を撮りにいくので鍵は開けておいてくださいね。久しぶりに姉様に撫でてもらいたいんですよ。」

「初めて聞いたぞそんなセリフ。」

「じゃあ、お兄様、おやすみなさい。私は姉様の事を思いながら体を火照らせるので。」

「多分あいつくしゃみするだろ………。」


とりあえず部屋に入り、アイドル心得を開いた。

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