ドラマ撮影での再会 (土)
「え~っと、今日は新学園ドラマの、『探偵三人助手一人』のですか…………。とりあえず原作は読んできたんですけど………………何の役にされてるんですか?」
正直自信の無いままに牧村さんの車の中で話していた。
この探偵三人助手一人は、漫画が原作のドラマであり、三人で一つの事件を解決するスタンスだ。三人の探偵は高校一年生で助手は同級生の幼なじみで、事件そのものを解決するのは三人の探偵なのだけど、その後のトラブルを解決するのがその助手であるという感じだ。
まぁ、端役レベルなんだろうと思っている俺は、助手の友人役だろうとタカをくくっていると、牧村さんはこう答えた。
「確か、助手の高瀬役ね。監督と原作者のイメージにピッタリらしくって仕事貰ったわけ。」
…………………いやいや、この前のドラマでは完全に端役だったのになんでいきなり主役級のをやらされるんですか!!
「とりあえず三人探偵役はコロナの三人らしいからね……………。」
「コロナって有名なグループですよね。クラスメイトにもファンはいますよ。」
まぁ、望月陽奈の姿でサインとかはあげられないしな……。
「じゃあ、ここでの撮影が終わったらゲームの挿入歌の打ち合わせね。そういえば明日はイベントで仕事は出来ないらしいけど……。」
「まぁ、巻き込まれた感じですからね………。イベントに行けるだけでもありがたいですよ。………はぁ……葉風のコスプレってなぁ………。」
そう憂鬱になっているところで撮影場所についた。
ちなみに今は完全にフェアの姿で来ている。まぁ、帰りは望月陽奈になってからに帰ろうと思っているけど……一応シュバルツの撮影に使った服も持ってきているけど。
さて、撮影前に監督に挨拶した後、コロナとの交流の時間になった。
まぁ、初対面だし仕方ないか。
「え~っと、シュクレガトーでアイドルやらせてもらっています、フェアと言います。今回はよろしく。」
すると、コロナのうち一人はこちらをキッと睨みつけ、もう二人はキラキラした目でこちらを見ていた。
「グラツィオーゾ・ヘッロ所属でコロナのリーダーの、明磨 黄菜子です!!よろしくお願いします!!」
黄菜子は薄い茶色の髪を腰まで伸ばしていて、頭には緑色のカチューシャをしていた。
「やっぱり彼女さんとかっているんでしょうか?」
「ちょっと!!黄菜子、そういうのは聞かなくてもいい話だろ!僕は気にならないね、フェアに彼女がいるかどうかなんて。あの人にはいないで欲しいけどね……」
「あの人って、誰の事だ?」
「…………フェアには言わないよ。っと、自己紹介がまだだったね。僕は白井 氷室。コロナの副リーダーだよ。まぁ、よろしく。」
氷室はスプレーを使い一時的に髪の色を雪のように白くしているのだろうと感じた。髪は短いショートヘアーだ。
「こちらこそ。」
俺はそう言って手を差し出したが、氷室はその手を取ることは無かった。まぁ、問題は無い。
…………イルミさんにどやされるよりはマシだと思うし、別に俺は他のアイドルと仲良くなりたいというミーハーな気持ちでここにいるわけでもないしな………代償は大きかったけど。
「初めまして、フェアさん。私、コロナのメンバーでいさせていただいております、鷹美鈴 雛と申します。よければ、この撮影の後に我が屋敷でお茶でもいかがでしょうか?」
雛は上品な長く黒い髪で左側に鈴のアクセサリーを付けていた。まぁ、上品なのは当たり前なのかもしれない。
鷹美鈴家はそれなりに大きな家だ。イルミさんと交流しているとこう言った家の情報も覚えるものだ。
「いや、撮影の後に別の仕事入ってるしな………遠慮しとく。」
それに明日はイベントもあるからなるべく早く寝たいんだよ…………。
「そうですか………残念です。」
雛はそう言って残念そうにした。
「お嬢様、そろそろ撮影の始まる時間でございます。なので切り替えていただかないと…。」
コロナのマネージャーの人が雛にそう言うと、雛はすぐに立ち直り、仕事の顔になった。そして、それから休憩を挟みながら四時間ほど撮影は続いた。
「はいカーーーット!!イメージ通りいいよ!!コロナもフェアも!!あ、それとフェアには少し話があるからこの部屋に来てくれ~。後マネージャーさんも。」
呼ばれる理由ってあれだろうか?と思い当たる所がある。
一回だけ撮り直しにしてしまったシーンがあったのだ。あの時に俺は原作ではあった台詞を言ったがドラマ版では無くした台詞だった。
「フェア君………原作を結構読んでいるのは嬉しいよ。僕もあの台詞は必要不可欠だと感じてたけど、脚本を見ると後々駄目になってしまうからね………ほら、これは全12話ぐらいでしょ?そのためにあの台詞は終わることを前提としてるドラマ版では言わない方がいいわけ。分かるかな?」
「すいません………。」
「まぁ、生放送じゃないから良いけどね………。ま、それはそれとしてね………。実質フェア君はドラマはまだ二回目だし。」
「その二回目でいきなり主役ですけどね…………。」
「フェア君はこのまま輝き続けて貰いたいからね………いや、光が消えても残って欲しい逸材だしね。」
「そこまでじゃないと思いますけど……」
すると監督さんはため息をついた。
「少し…………聞いても良いかな?君は、GG~銃と少女~のアニメについて、どう思うのかな?知らなかったら別に構わないけど……」
いきなり聞かれたが、俺はこれについて即答できた。
「原作は最高の出来で本編と白狼編、四コマバージョンの『ミッション・スマイリー』ももの凄く好きですが、アニメがCCC48に浸食されたせいでクソアニメ認定になってしまった悲しい作品ですね。第一原作ランキングとCCC48の総選挙の順位で合わせるという企画のせいでキャラ崩壊が続出しアニメ会社もCCC48に合わせたからという理由で絵も全く原作に似遣わないのも特徴でした。原作ではミッション・スマイリーでもそこそこ精巧に描いてるレベルなのにアニメではもはやデフォルメをデフォルメした銃の絵で元々のGGファンよりもCCC48ファンの方の視聴率が高くて、できれば別のアニメ会社がきちんとした感じで作り直して欲しい程ですよ。元々は神アニメになるはずの作品なのに………。」
CCC48がアニメに関わると作品が不幸になるという三伝説の一つだ。もう一つは前にも話したとおりアニメ最大の山場での強制的な総選挙結果発表でリアルタイムでの興奮が無くさせられた『紅き未来の巻き戻し』。もう一つはop・edを絵柄だけで判断してGOサインを出されてしまい、視聴率がだだ下がった『ヘルガルガル』…………。
全てがCCC48に汚されていったのだ。
って、これ退かれるよな………ここまで言ったら。
「良かったよ………同士だったね、君も。………実は私の友人がアニメ会社の社員でね………GGのアニメを他社に汚されたことに憤慨していてさ………それで自分だけでも構わない!オーディションやらをちゃんとやって神アニメの存在に戻そうと立ち上がってね………。そうしたら同士が次々と現れたわけだ。そして、僕は監督としてスカウトされて、君にopと挿入歌を頼みたいわけだ。やってくれるかい?」
俺は、それにこう答えた。
「もちろん、やらせていただきます。俺が力になれるのなら………GGを神アニメとしてリメイクするお手伝いをさせて貰います。」
そして、俺は監督さんと連絡先を交換したのだった。




