ポセリーグ 楽屋内の出来事
「そういえばフェアの姿のまま戻る訳にも行かないんだった。」
楽屋内に残している服は男物だが、一発でフェアとばれてしまう。幸いメイク道具と女物の服はあった。まぁ、望月陽奈の姿になってからでないといけないのだ。
そのためにはスプレーを落とさないといけないのだ。
今回楽屋はフェンリルのメンバーと共用で、三人ずつに別れていた。俺と同室なのはフェンさんとリルさんだ。
「やっべ、髪のスプレー落としとかないと。」
ということでシャワーの所が使用中だが、男同士なので問題は無いだろうしと思いそのまま入って髪のスプレーを流した。
「な、なんでいきなり入ってきてるのかな?フェアって、うわっ!!な、み、見るな!!すぐ出てけぇぇぇぇぇ!!」
見るなって………と思っていると、リルさんには男特有のアレが無かった。つまり………………。
リルさんは女って事だ。
「………ちっ。せっかくBLとかで萌えそうだったのに………。」
「何か弁解の言葉を言ってくれないと困るなぁ………まぁ、隠してたから仕方ないけどさ。」
ちなみにフェンさんはトイレに行っていていませんでした。
フェンさんは帰ってきてから状況を察してからリルさんに向けてすまんとジェスチャーした。
「……………いや~、言ってなくてすまんってか他のメンバーにも内緒にしてるからなぁ~。莉緒は。」
「まぁ、今日はもう一人いたからね……仕方ないよ。それに襲われなくてもよかったし。」
あの後は特に何もせずにさっさとスプレーを落としてから出ました。
「何言ってるんですか……。俺はリルさんと冴狼さんが男同士でアレコレやるのを想像して萌えていこうと考えてたのに片一方が女ってのでガックリ来たんですよ。」
せっかく脳内保養のネタが増えたかと思えばこれだ。
「………なぁ、もしかして、フェアってその………そっち系の人だったり?」
フェンさんはどうやら俺がホモだと疑っているらしい。
「いや、至ってノーマルですよ?どちらかというと腐男子です。アイドルになる前はサークルのトーン貼り手伝ったりコスプレしたりしてました。」
「それは秘密にしたいことなのかな?」
リルさんが興味深そうに聞いてくる。
「まぁフェアの時は隠しといた方がいいかもしれませんね。素の時はどうでもいいですけど。後女装してるときもですけど。」
「「女装!!??」」
あーそういえば冴狼さんとロイさんにしか言ってなかったっけ。
「いや、カクカクシカジカで。」
とりあえず正体を隠すためにそうしていることを二人に伝えた。
「メイク一人でやるのも慣れましたしね。それに服装についてもコスプレと思えば何とか…………。」
「苦労してるんだな、フェアも。」
「……僕は誤魔化しきれないほどになったら引退してガロに思いを伝えたいのに胸は一向に成長しないし中性的なままだしさぁ…………。」
フェンさんがそう言うとリルさんはなにやらぶつぶつと呟いた。
「はは、まぁこんな風にへんな妹を持って俺も大変なんだよな………。」
「元々いえば兄さんが原因じゃないか!!ガロと出会えたのはいいけど僕はガロと結婚したいんだ!!なのにこんなんじゃあ誤解されたまま九条弧鉄に盗られちゃうじゃないか!!」
リルさんが顔を赤くして憤慨した。
「何があったんですか?」
するとフェンさんはフェンリル結成までを語り始めた。
「最初っからジュピターに所属してたのはガロとカズだけで、ロイは元々別の会社のバックダンサーから引き抜かれてたんだ。ロイはバックダンサーとかでもいいから仕事やらないといけないぐらい治療費を稼ぐのに熱心だったし。うまい歌唱力を抑えてバックダンサーに徹していて、バックダンサー歌唱力対決という遊びをやっていたところをジュピターのスカウトの目に止まりジュピターに移籍したってわけ。」
以外と苦労人なんだなぁ……ロイさん。意外だ。
「で、俺と莉緒はオーディションで二人で『three』というグループ名で受けたんだよ。そしたら社長に採用されたんだけど………」
するとそこでリルさんがフェンさんの言葉を遮った。
「僕が男だと誤解されたまま入れられたんだ。まぁ、僕が女だと社長は理解してくれて僕だけ一人部屋だしね。」
…………。
「リルさん、苦労してるんですね………。」
「ホントだよ。下手したら子供に聞かせる黒歴史になるよ。それに男としてガロと接してたから関係が崩れるのも怖くて言えないんだよ………もっと早く言っておけば良かったよ………」
「ま、とりあえずこの事については内緒な?俺達もフェアが腐男子なのは黙っておくという感じで一応相殺な………?」
「まぁ黙っておきますよ。」
「ごめん、助かる。」
まぁ、そんなことがあった後で変装状態になることになった。
「フェンさんもリルさんもシンプルに帽子とサングラスだけっていいですよね………」
「まぁ、完璧に女装しているように見えるフェアに比べたら楽なんだけどな。」
「…………なんかずるいよ。フェア。」
「あ、この姿だと望月陽奈なので。本名は棚持 ヘルトです。」
「まぁ、俺達もオフの時は吹と莉緒と名前呼びにしてくれ。かなり困るから。」
「分かりました。吹さん、莉緒さん。」
そうしていると、莉緒さんが俺の服について聞いてきた。後、俺も名前呼びにしてもらっている。オフの時はそれの方がいいからだ。男の時はヘルト、女の時は陽奈だが。
「そーいえば陽奈ってゾマーゾゾヴァネンデので統一してるけど、シュクレガトーから支給されたもの?でも結構疲れるような………」
そういえば、何気なく着てたけどこれかなり手に入れづらいんだった。
「あ~、母さんに協力してもらってモデルやってるんですよ。いや、やらされているというか…………カクカクシカジカで。」
実質プレゼント的に送ってくるモデルとは関係ない新作も送ってくるのだけど、量が多く、譲っている牧村さんも流石にこの量は………と言っていた。まぁ、かなりの量もあり、非売品も含まれるので古着にするのもなんか嫌だなぁとおもっていたので、リルさんにこんな提案をしてみた。
「そういえば服が大体余るので良かったら貰ってくれませんか?」
するとリルさんはかなり食いついた。
「え?いいのかな?僕が貰っても………。」
「まぁ、未使用で、フェアとリルの身長は変わらないしな。ってか俺も二人と変わんないんだよなぁ………。」
「じゃあ、とりあえずフェンさんとリルさんのメアド教えてください。俺も教えますから。」
「まぁ、長い付き合いになりそうだし、ガロも交換してるらしいから問題ないだろ。」
そしては二人とメアドを交換したのだった。




