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ふたりで紡ぐ物語  作者: にしのかなで
第二章
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即位の儀式

呆気なく神の審判は終わり、続いて早速魔法師らが現国王、アルベリヒ、アレクサンデルの現在の結界を解き新しく張り直す作業に入った。今、主神ハーヴェイは国王の席より上座に用意された席を拒みカリンと共にファンテーヌの隣に二人の王子と王女兄妹を膝に乗せ座っている。


「あの、恐れ入りますハーヴェイ様。ここよりもあちらのお席にお座り下さい。」


「なんだ、私がいては邪魔か。」


「いえ滅相もない、ただお立場上あちらの方が・・・」


ファンテーヌが困り果てて言う。一介の人間が神と同席している、その事でファンテーヌの頭は混乱していた。しかも、我が子は居心地良さげに彼の膝に収まっているのだ。


「気にすることはありませんよ、妃殿下」


後ろから聞こえた声に振り返ると今日も初めて会った日と変わらない姿の主巫女がいた。


「お初にお目にかかります、ファンテーヌ王太子妃殿下。私は主神の神殿で主巫女を務めているものです。本日はおめでとうございます。」


ファンテーヌは主巫女の容姿と誰も入り込めないはずのこの場にどうやって入ってきたのかと、ますます混乱し言葉が出なかった。そこへカリンが挨拶をする。


「お久しぶりです、主巫女様。」


主巫女が微笑み、カリンを見る。


「お久しぶりです、カリン。成長されましたね、お腹の子はいつ頃出産ですか?」


「春頃になります。お元気でしたか?またお会い出来て嬉しいです。」


「ええ、元気でしたよ。しばらく会わない間にあなたはガウス魔法師の妻になり、次は母親ですね。月日の経つのは早いものです。さてハーヴェイ様、お帰りが遅いので皆が心配していますよ。」


「なんだ、たまには下界でゆっくりさせてくれ。見ろこの子達を、これの父親があのアルベリヒだとは全く信じられんほど利発な子に育っている。ファンテーヌのお陰だな。」


「・・・その妃殿下があなたの様な立場の方の隣にいては申し訳ないと思われているのですよ。少しは周囲の事にも目を配って下さい。」


ピシリと言い放たれて、ハーヴェイは頭を掻いた。どうやら主巫女にはあまり強く出られないらしい。


「いや、でもな?これ!この膝の上を見てみろ、こんな愛らしい生き物が私の膝の上でジャレついてくるのだぞ?これと私を引き離すつもりか⁈」


ハーヴェイはそう言いながら膝の上の二人を抱き締めた。二人は「くすぐったーい」だの、「気持ちいーい」だの言いながら主神の首にかきついたりしてますますジャレつく。しかし主巫女は冷たい視線をハーヴェイに向けたまま言い放つ。


「ハーヴェイ様、このままではもう一人の王子殿下に不公平なのでは?」


「え、あ!そうか、そうだったな。ファンテーヌ、もう一人の王子を抱かせてくれないか。」


ファンテーヌは慌てて側の揺りかごの中で眠っているカール・ヨハンをそっと抱き上げてハーヴェイに渡す。一瞬目を開けぐずりかけたが、ハーヴェイがあやすとすぐに止まり驚いた顔で主神を見上げ次に笑い始めた。


「な、な!主巫女、カール・ヨハンもこんなに喜んでいる。これはなんだか帰り辛いなぁ。」


主巫女は深いため息をつくと、やれやれといった様子でカリンの隣に椅子を運んでもらいそこに腰掛けた。


「いいですか、儀式が終わるまでですよ。」


「わかってる、わかってる。さ、カール・ヨハン起こしてすまなかったまた休むがよい。」


主巫女の許可を得たハーヴェイはアレクサンデルにそろそろ出番だから行こうか。と、囁き手を繋いで魔法師らの元に向かう。


「お兄ちゃま!がんばってっ。」


後ろ姿にシャーロットが声援を送る。


「あの、ハーヴェイ様が連れて行って下さったのだけれど・・・よろしいのかしら?」


先程からの我が子の主神に対する行動にハラハラし通しのファンテーヌが主巫女に尋ねると、彼女はにっこり微笑んで答えた。


「よろしいんですよ。あの方は本当に人間、特に邪気のない子どもが大好きなのです。私がここまで追いかけて来たのは、あまりに人界が好きすぎて時々しばらく帰らないことがあるのです。それを諌めにまいりました、私がここにいる間は自由にさせてあげてくださいませ。あの方もあれでなかなか規制が多くて不自由なさっているのです。」


いつも主神の傍らで何かと補佐をしているのだろう、ハーヴェイに対する厳しい口調とは違い思いやりを垣間見せるその話し方にカリンとファンテーヌはかつての王太子と秘書官であったファンテーヌを思い出した。


「いけない、カリン体調はどうかしら大丈夫?」


「はい、ご心配をおかけしますが今の所大丈夫です。」


「そう。良かった、あなたに何かあったら大変だもの。」


それはカリン自身を思いやってはいるが、大半がルディへの対応だろうと想像出来た。そのルディはこれから一世一代とも言える魔法を使うところである。主神がいなくなった空席に小さなシャーロットがちょこんと座り、カリンを見上げにっこりと笑う。


「カリンちゃん、ルディの魔法だからお父ちゃまもお兄ちゃまも大丈夫だね。」


「ん?お姫様もそう思われますか?」


「うん!ルディの魔法は世界一だって、お父ちゃまもそう言ってるの。おじいちゃまもよ、今日も任せておけば安心だって・・・ね?カリンちゃん、任せておけばってどういうこと?」


可愛らしい疑問に三人の女性が微笑み合った。

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