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色んな恋人つめ!  作者: 琥桃
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日常の中のイレギュラー

よく恋愛相談とかされるんですが、いつも思うのは本当に恋する女子は可愛いということです。

 私には、好きな人がいる。高1から同じクラスだし、仲はいい方だと思う。でも、彼が私のことを意識している、とか両想い!なんていうのはありえない。


 私は女子らしくない。剣道を習い、弓道部に所蔵しているため、か弱さなんてものはない。同じクラスなのは嬉しいけど私が強いところをよくみられてしまう。


 趣味も渋い。口調も古めかしい。髪もミディアムのくせに、ロングの親友と比べて艶が明らかに劣っている。ケアしているんだがなぁ。顔も可愛らしい顔ではない。色も白いし、肌も気を使っているが、我ながら男装が似合いそうな目鼻立ちをしている。


 うーん。辛い。古文の授業中だっていうのに考えてしまう程度には辛い。良くない。ネガティブ良くない。集中しよう。


「逢ふことの絶えてしなくはなかなかに

人をも身をも恨みざらまし。百人一首にもある有名な歌です。訳はあなたに逢うことが全くなかったら、あなたのつれなさをうらんだり我が身の辛さを嘆いたりすることはなかっただろう。これは反実仮想の歌ですね。合わなければというもしもの話を出し、辛い恋を歌っています。」


先生が和歌の説明をする。随分とタイムリーな歌。先生は知ったこっちゃないだろうが、追い打ちをかけられた気分になる。八つ当たりのような気分で、黒板から目を離した。こんなセンチメタルな気分になるのは、彼がマネージャーの可愛い子と話していたから。見たくなかった。侍?って感じのポニーテールに鋭い目付き。加えて汗臭いジャージ姿。そんな自分と真逆なふわふわボブに柔和な微笑み。華奢で庇護欲をそそる姿。比べれば比べるほど惨めになり、そんな自分らしくない思考にまた嫌気がさす。


気分をあげたくて、彼の方を見た。ネガティブの原因も彼だが、直せるのも彼だ。ロマンス小説の話を始めた先生はこちらを見もしない。その分安心して眺めることが出来たが。

寝てた。突っ伏して寝ていた。


 えぇ……。豪快だな……。体が大きいから机はほぼほぼ覆われている。体が痛くなりそうだ。にしても珍しいな。真面目な人だからこんなガッツリ居眠りなんて見たことがなかった。昨夜眠れなかったと言ってたのが理由だろう。


にしても可愛い。普段頼り甲斐がある彼が無防備に寝ているなんて。胸がきゅうと鳴り、頬が緩む。できることなら隣の席で見たかった。そんな願望が出るほど元気になった頃。


 鐘が鳴った。


 みんなが目をこすりつつ起き、礼をし、片付けを始める。そしてホームルームが始まっても彼はまだ寝ていた。そんな眠いか。ギャップ萌えが止まらない。何度か目を開けたが、すぐ眠気に負けてしまう。


 一度眠ったら起きれない人なのかもしれない。みんなが帰り始めても眠り続ける彼の前の席を拝借し、そう思った。


 桜の花弁が頭に乗った、可愛い寝顔を見つつ、もう起こさないと流石にダメな気がした。


 残念な気持ちを感じながら、声をかける。


「朝霧くーん……」


起きない。そっと体を揺らしながら声をかけてみた。


「朝霧くん、そろそろ起きなければまずいと思う」


 何度か揺らすうちに、短い髪から可愛い桜の髪飾りが落ちた。やがて奇怪な声をあげつつ彼が目を開ける。


「あずみ……?」


 トロンとした目でこちらを見る。そのわずかな動作で胸が高鳴る。今日は本当に珍しい姿が見れた。笑みを抑えることができず、そのまま弛んだ顔のまま返事をする。もう少し、見ていたい。


「はい。安曇です」


返事に彼がふわりと微笑んだ。


「好きだよ」


「え?」


今なんて言った?もしかして寝ぼけているのは自分?きっとそうだ。現実の私は古典の授業で眠っているんかもしれない。だってありえない。ずっと聴きたかった、でも言われることなんて一生ないと思っていた言葉が聞こえた。


「安曇が好きなんだ。夢にこうやって呼んじゃうくらい」


 手が伸び、私の頬をなでた。ゴツゴツして、暖かい。優しく触れるその手に、ようやく理解した。これは現実だ。顔が熱い。今私の顔は林檎に負けず劣らず赤いだろう。


「真っ赤になってかわい……い……あ」


 トロンとした目からだんだんと焦点があってきた彼は、完全に覚醒したらしい。


「なっこっほっ?あっそうか今日約束してたもんな!あーあーその、待たせてごめん!帰ろう!顔赤いぞ!熱か?とかそうじゃないよな、えっと…………あー聞いてた……よな?」


 慌てすぎだ。逆にこっちが冷静になりそうだ。目をうろうろさせていた彼は、決意したかのように、深呼吸をする。やがて完熟トマトみたいに耳や首も赤くした彼は私に聞いた。コクリと頷いて見せると、両手で顔を覆い、天井を仰いだ。数分か数秒か分からないが、時間が過ぎた後、また大きく息を吸うと真っ直ぐとコチラを見据える。明るい茶の瞳が夕日にあたってきらめいた。


「改めて言わせてもらってもいい?」


 声を出すことができなくて赤べこのように首を振る。夢のようだった。


「安曇、椿さん。ずっと、ずっと前から。格好良くて可愛いあなたが好きです。俺と付き合ってください

!」


「私もずっと好きでした。」


 嬉しくて、でも不安で、色々とぐちゃぐちゃになって涙があふれそうになる。私で本当にいいんだろうか。百七十もある高身長、ふわふわした雰囲気なんて皆無。本当に私でいいの?彼に見合わない自分のところを上げ連ねた。これらの羅列に面倒臭い女。というのも追加しなくてはいけなくなった。


 情緒がジェットコースターの私にあわてて涙を拭ってくれた彼は何をしようとしたかというと。


「俺はあなたがいいんだ。あなた以外は考えられないぐらいに好きだ。だから不安そうな顔をしないでほしい。整理したいというなら俺はいくらでも待つし、いくらでも好きと言う。なんなら放送で宣言するし、あっ

これか?みんなの前で土下座すればわかってくれるか?その後放送ジャックすれば信じてくれるか?あっ今度剣道の試合にテレビ来るらしいから、そこで全国に発信?いや、目立つのいやだよな……貢物?」


とんでもないことをしでかそうとしていた。








そのあと


「付き合ってあと2ヶ月ほどであの日になるんだよ。」


「なんかなつかしいなあ。俺、あの日帰り道で告白するつもりだったんだよ、もともと。だから前日眠れなかった。」


「そうだったのか。」



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