第2話「Eclipse Drive, GO! 変身ベルトで大変身!」 Bパート③
「フフフ…大したものだなルミナキャスト。だがここで終わると思うなよ?」
改造ワルターを倒したルミナタキオン。
そんな彼女に対して、どこか皮肉を込めた口調ではあるものの、
ムジカントムは賞賛の言葉を贈る。先程まで、
狂気を帯びた笑いで対応していたはずであるのは言うまでもない。
そして、忘れるなと前置きして言い放つ。
「この世界の主役はこの俺。世界よ、我が書割たれ!」
雨雲から光が差し、そのまま見上げる一面に空が見える時の如く。
ムジカントムはいつの間にか、最初からそこにいなかったかのように消えていた。
それよりも、あの仮面の男の異様なテンションの落差に。
タキオンは目を点にするばかり。そんな顔つきのまま、
彼女はゲッシーの顔を覗く。ゲッシーの答えはこう。
世界よ、我が書割たれはムジカントムのモットー。
「あの一連の流れがテンプレのセリフ…毎回言う発言なんだ」
つまり、最後のムジカントムだけが正しい姿で、ずっとおかしかったと言う。
やっぱり脚本が連携していなかったんかい!
自身の懸念が当たっていたこと。そして、そんな現場に身を委ねること。
今後に対して不安を覚える草之根ヨシノである。
「そういえば、ムジカントムとかを倒せば死ぬの?」
「そこは安心していいよ」
その日の夜。
ヨシノはゲッシーに対し、ド直球とでも言うべき質問を投げかける。
お芝居で人の命を奪うような真似をするのは、
彼女としてもたまったものではない。
僕もそうだから、とゲッシーは自分を例に挙げつつ、
ルミナキャストに関わる存在は二つのタイプに分かれると語る。
まず一つが「役者タイプ」で、血肉の通った人間。
ヨシノ達から見た宇宙人であると言う。
「さすがに宇宙の放送倫理でもマズいからさ…」
死亡しないようなセーフティを用意していると断言した。
それを聞いたヨシノは、それでも痛いんでしょ?と
自身の置かれた状況に対して苦い顔をする。ムジカントムは
正式な契約を結んだ役者だから安心して欲しいと、
ゲッシーはヨシノの戦いを肯定する。
「よ、ヨシノ!そんな怖い顔で見ないで」
私と一緒で、あの仮面男も騙してないだろうな?と威圧するものの、
ゲッシーは涙目になりながら必死に否定する。
彼が嘘を言っていない事を察して、ヨシノは心の拳を収める。
これすら演技だったらおしまいだけども…
と、内心思いつつ、ではあるが。
安心からか、取り留めのない話題に切り替わる。
「そういえばゲッシー、好きな食べ物とかはあるの?」
「人間の食べ物には興味がないね」
ふとした雑談のはずが、質問したヨシノとしては、
その異様さに思わず睨まざるを得ない。
ヨシノが先日、缶コーヒーをもてなしたのは、
その直前、確かにゲッシーの味覚は君たち人間と一緒、
と述べたからである。
「ああ、それか」
何かに気付いたようにゲッシーは訂正する。
食べ物に関しての嗜好に嘘偽りはないが、
それは「ゲッシーを演じる宇宙ハムスター」として。
「ゲッシー」としては些か事情が異なると言う。
「し、屍肉!?」
ゲッシーは何も齧歯類、という意味合いではない。
「死肉を喰らう外道たる魔物」。それが彼の名の由来である。
嘘でしょ、それ!?そんなヨシノの困惑に対し、
初めて出会った時にホログラムを出した、
リンゴ型タブレットを取り出し説明をする。
「え、何この画面」
「ルミナキャストの公式サイトだよ」
正面、側面、背面。画面に映るは、ゲッシーのブロマイド。
もとい、「ゲッシー」のキャラクター紹介のページ。
地球からはアクセスできない、ヨシノにとっての極秘情報。
今回は特別に提示するという。ご丁寧に日本語訳までされている中、
自分の相棒の記述を見たところ、
◆魔法素粒子界からヨシノの街に訪れた、
とても真面目なハムスター。
その名の由来は屍肉を喰らう外道たる魔物。
とある。真面目なのは商売根性だけじゃないの?
そんな疑問も一瞬抱いたが、それよりもまずその名前の由来。
丸みを帯びたぬいぐるみのような見た目とのギャップ。
困惑するヨシノに対し、その理由を述べる。
「裏設定を盛った方が考察班が盛り上がると思って…」
「意味もなく過激な要素を盛るな!」
要するに、思わせぶりなだけのハリボテ。視聴者を煽るために、
何の理由もなくそれっぽい内容を付け加えただけである。
ヨシノが怒り出すのも無理はない。
自分の一存で記述を消すに消せないから勘弁してよと、
その剣幕に怯えるゲッシーだが、ふと、鼻を動かす。
「ヨシノ、これなんの匂い?」
そういえばと、缶コーヒーの件もあり、
ゲッシーに何を渡せば喜ぶのか悩んでいた中、
ゲッシーにぶつかり、ムジカントムとワルターと戦う前に、
ホームセンターに立ち寄り、
購入していたものがあったのをヨシノは思い出す。
「うまい!やっぱりこれだよ、これ!」
総当たりで行ってもダメだった場合はこれしかないと、
最後の手段として事前に購入したものが、
まさかの大当たり。ゲッシーは、
ヒマワリの種を満面の笑みで頬張る。
これで動物扱いするなは無理があるだろう。
とはいえ、満足そうだからいいか。
ヨシノはそう納得することにした。
私、草之根ヨシノ!
ゲッシーが魔法素粒子界の博士から受け取った、
新アイテム!そして、特訓の末新たに編み出す、
新たな必殺技!そして、ワルターの正体が明かされる!
こんなにいっぺん、私で処理できるかな…
次回、「聞かせてください!心の音色・ルミナテレパス」
届ける想いは光を超える!




