表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/15

第5話「訪れる使者と動き出す陰謀」

数日が経ち、リュカは牧場にもすっかり慣れた様子だった。


朝は鶏たちの後ろをちょこちょことついてまわり、昼間はミントと一緒に日向ぼっこ。夜はハルトの布団のそばで、きゅいきゅいと寝息を立てる。


「……完全に馴染んでるな」


ハルトがそうつぶやくと、シエルが肩の上でくすくすと笑った。


「この子、なんか“人懐っこすぎる”って思わない? 幻獣って本来、もっと警戒心強いはずだよ?」


「確かに……でも、悪いことじゃない」


そんな穏やかな時間が続くと思われた日の午後。


牧場の門前に、一台の小型飛行馬車が降り立った。乗っていたのは、品の良いローブを纏った中年の女性だった。


「こんにちは。この牧場の管理者様にお目通りをお願いしたいのですが」


ハルトは少し緊張しながら門を開けた。


「はい。僕が管理しています。ハルト・アマギです」


「私はマレーナ。王都中央魔術院よりまいりました。少し、お話したいことがありまして……」


その名を聞いたシエルが、ハルトの耳元でささやく。


「ハルト、気をつけて。中央魔術院っていうのは、魔力に関するあらゆる研究と管理を任された……いわば国家直属の監視機関だよ」


「監視……?」


応接用の屋外テーブルに案内すると、マレーナは温かい紅茶を一口飲んでから静かに話を切り出した。


「実は……数日前、この地域において高濃度の“古代魔力”の発生が観測されましてね。その起点が、この牧場の近く——正確には、あなたの家屋から発せられたものでした」


「古代魔力……って、リュカの……?」


マレーナは頷いた。


「あなたの牧場で、何か珍しい現象や生物が観測されていませんか?」


ハルトは迷った末、正直にリュカのことを話した。


するとマレーナは、少しだけ表情を和らげた。


「なるほど。幻獣“リュリュ”種の幼体ですか……あの種が自然界に現れること自体、数十年ぶりのことです。そして、その額の魔紋。おそらくこれは“封印解放の鍵”です」


「鍵?」


「はい。古代文明が封じた“魔道具庫”や“危険な知識”の扉を開けるために創られた存在。人為的に作られた幻獣かもしれません」


ハルトはリュカをそっと抱き寄せた。


「でも、今はただの小さくて優しい生き物です」


マレーナはしばし沈黙した後、ハルトの目を見て言った。


「中央魔術院は、近日中に“遺跡調査隊”を派遣する予定です。どうか、そのときは協力を……あなたにも、そしてこの幻獣にも危害を加えるつもりはありません」


彼女が帰った後、ハルトは深くため息をついた。


「なんだか、大きな波に巻き込まれてきたな……」


シエルがぽん、とハルトの肩を叩いた。


「でも、逃げられないでしょ? あんたはもう、この世界で命を預かる側になっちゃったんだから」


リュカが膝の上で「きゅい」と鳴いた。

作者からのおすすめお知らせ


最後まで読んでくださりありがとうございます!


私は小説のほかにも、音声動画の配信や小説のKindle出版など、あちこちで創作活動をしています。


「この作者、他にもおもしろいことやってるな〜」と気になってくれた方は、ぜひ【マイページ】から私の各活動リンクをのぞいてみてくださいね。


皆さんの「おもしろかった!」の声がこれからの活動のエネルギーになります。今後ともよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ