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第21話 御経塚十階層、黒騎士と異常値の少年 ※黒田庄兵衛視点(前編)

 第21話 御経塚十階層、黒騎士と異常値の少年 ※黒田庄兵衛視点(前編)


 少年が「エラー表示が消えました」と告げた瞬間、胸の奥で直感がちり、と鳴った。


 わたしは、御経塚に入る前に石碑端末で彼のデータを一度見ている。

 名前も年齢も、ごく普通の十五歳。

 だが、その内側に並んでいた項目は、到底“普通”とは呼べない代物だった。


 属性欄にずらりと並ぶ──

 迷宮と直接の相性を持つ者など、そうそういるものではない。

 二つ目のジョブは「■■■■error Lv.error」としか表示されず、魔力総量の項目も「error」のまま値が出ない。

 スキル欄にも「■■■error Lv.error」が一つだけ黒塗りで残っていた。


 端末の不具合にしては、同じ箇所だけがあまりにも露骨に“隠されている”。


 新人迷宮の襲撃事件の事情聴取を進めていた折に、迷宮省の審議官から直接の連絡が入った。

 預言者の名を出され、「御経塚の魔物進軍を止めうる鍵候補」として、この少年の名が挙げられた時点で、黒田は腹を括っている。


 ──危険だろうが何だろうが、戦力として使わざるを得ない。


 いま、目の前で「エラーが消えた」と少年が口にした。

 端末には最後まで「error」としか出なかった項目が、本人側では“何らかの変化”を見せている。

 同時に、十階層の魔素の流れがふっと沈み、石碑の奥から別種の気配がにじむ。


 直感スキルが、小さく警告の鐘を鳴らした。

 何かが、この子の内側で“目を覚ました”。


 とはいえ、戦場の真っ只中で、ここから深掘りするわけにはいかない。

 第一防衛線はすでに崩壊し、第二防衛線の維持も長くはもたない。

 真相の解明は後回しでいい。今は、生き残るための手を一つでも増やすことが優先だ。


「よし、これで魔物進軍掃討戦モンスターパレードウォーの勝ち目が見えてきたぞ」


 自分に言い聞かせるように言葉を口にしながら、ひとつだけ線を引く。


 ──スキルの理屈には踏み込まない。

 ──ただし、その結果と使い方には、責任を持つべきだ。


「済まないが朝倉君、そのスキルを試してもらえないだろうか? もしもバフ系だったら、わたしが実験台に志願してもいい」


 問いかけた刹那、直感が二度目の警鐘を鳴らす。

 少年の内側で、何かが“位置を変えた”。


 黒田の目には、ただ、彼がわずかに目を見開き、覚悟を固めたように見えるだけだ。

 だが、肺の中の空気の重さが変わった。

 黒騎士として鍛えた感覚と、直感スキルの両方が告げてくる。


 ──ここから、この戦場の理が、一段階変わる。


 その正体を確かめるのは、全てが終わってからでいい。

 今はただ、この“得体の知れない力”ごと、勝利のために使い切るだけだ。


 ◆◇◆◇◆◇


 朝倉 翔太の返事を聞き届けたちょうどそのときだった。 

 腹の底を殴られたような衝撃が地面から伝わり、遅れて爆音が耳を打つ。


 顔を上げる。

 赤く染まった十階層の奥で、人馬兵の群れと探索者たちの隊列が、ほとんど押しつぶされるように密集していた。

 土壁はあちこちで崩れ、木製の櫓も半分以上が折れている。


 ──想像していたより、ずっと押されているな。


 わたしは無意識に歯を噛みしめた。

 石碑周辺との距離は、まだわずかに保たれている。

 だが、第二防衛線が崩れれば、この丘がそのまま最終戦場と化すのに、そう時間はかからない。


 直感スキルが静かに告げていた。

 このまま後ろに陣取っていては、じわじわと押し潰されるだけだと。


「想像してたよりずっと押されている」


 言葉を口にしてから、振り返る。

 新人たちの顔には不安と恐怖が浮かんでいるが、それでも足はまだ動いていた。

 赤槻の短い返答を聞き届けると、黒田は首から下げた探索者カードを指先で弾く。


 黒い魔素が地面に滲み、足元から渦を巻きながら立ち上る。


 空気が一段階、冷たく沈んだ。


「黒馬召喚」


 黒光りする鬣と紅い瞳を持つ戦馬が、黒い靄の中から馬具をまとった姿で現れた。

 周囲がわずかに息を呑む気配が伝わってくる。


 鞍に一息で跨がり、黒盾を左手に、黒剣を右の腰に確かめる。


 黒衛士召喚の構文が、脳裏に自然と並ぶ。

 だが、いまはまだ使わない。

 後方の守りが薄くなるのを避けるためにも、ここは“黒馬と自分だけ”で風穴を開けるのが最善と判断する。


「すまないが、戦場に風穴を開けてくる」


 振り返りざま、新人たちと赤槻を視界に収める。


「君たちは先のブリーフィングで決めた役割を全うしてくれ。赤槻、あとは任せたぞ」


 短くそう告げると、黒馬の首筋を軽く叩いた。

 漆黒の戦馬が、待ってましたとばかりに蹄を鳴らす。


 足元の赤土が、瞬間的に弾け飛んだ。


 黒馬は地を蹴り、黒い疾風となって戦場の中心へ向かう。

 前線へ向かうほどに、空気は熱を帯び、血と焼けた土の匂いが濃くなる。


 少年が施したバフ効果はまだ、五〇分。

 バフが切れたら、腰の収納ポーチにある回復ポーションとマナポーションは合わせて二十本弱。


(これでやり繰りするしかないか。さて、いこう)


(──ここから先は、A級探索者の仕事だ!)


 人馬兵の群れが、黒い影に気づいて槍を構える。

 前列の五騎が、一斉にこちらへ突進してきた。


 わたしは呼吸を一度だけ整える。

 それだけで、視界の中から余計な情報がすっと削ぎ落とされ、敵の動きと間合いだけが鮮やかに浮かび上がった。


 黒覇気が、静かに滲み出す。

 黒馬の速度が、もう一段階跳ね上がる。


 ──まずは、ここを切り裂いてみせる。


「五頭――黒馬召喚」


 黒い靄の中から、重い馬具をまとった戦馬が次々と姿を現し、わたしの左右に並び立つ。人馬兵との衝突は間近に迫る。手綱をしっかり握りしめながら、五騎の黒馬の召喚が発動し終わるのを横目で確かめると、続けざまにアーツを繰り出そうと短文詠唱を言い放つ。


「――黒の衛士よ、我が刃と共に舞え――黒導流・黒衛乱舞!!」


 詠唱を終えると同時に、左右へ走らせていた黒馬の背に、黒装束の影が五つ、ぬるりと立ち上がる。全員が同じ構えで黒槍を掲げ、一歩、わたしの前へ躍り出ると、一斉に黒い槍を投げ放った。


 瞬間、黒覇気が刃筋をなぞり、その震えが掌を駆け抜ける。


 黒い閃光が五条、人馬兵の急所だけを正確に貫き、そのまま互いにすれ違う。


 五騎は二、三歩ほど惰性で駆けたのちに、膝から崩れ落ちた。直後、糸の切れた身体は黒い流砂となって宙を舞い、魔物がいた証だけが取り残される。赤土の地面を叩く魔石の硬い音が、戦場の喧騒に掻き消されていった。


(よし、そのまま先行しろ)


 命令通りに、黒衛士隊五騎がさらに先行する。

 人馬兵が攻撃範囲に踏み込んだ瞬間、黒衛士たちが再装填した黒槍を一斉に放つ。標的となった人馬兵の身体は、次々と黒い流砂へと崩れ、空へ飛び散った。一時的に、戦場は黒い雲に覆われた。


 ちりっ直感が鳴ると、瞬きする間もなく真横から投げ槍が飛来した。


(悪くない狙いだが……)


 わたしの身体は、思考よりも早く動いていた。身体を後ろに倒すことでわずかに身を傾け、投げ槍を冷静に回避すると、通り過ぎる投げ槍の柄の部分をガッチリ掴りしめ、その場で槍を反転し、接近してくる人馬兵にすぐさま投げ返す。


(――遅すぎる)


 見事命中した槍は、人馬兵の頭部を貫通し、魂が離れ黒い流砂となって遠ざかる。


 今度は左手側から十一騎の人馬兵が黒田に襲い掛かってくる。


「鬱陶しいな」


 瞬時に身体強化を発動し、黒覇気の強度を一気に高める。


「闇をまとい、一刀で断ちきれ――黒導流・滅断黒剣!」


 アーツの起動と同時に黒剣へ高密度の黒覇気が収束し、

 巨大な黒い刃と化した斬撃が前方の集団を薙ぎ払い、横一線に切り捨てた。


「……ふう、今ので生命力を二割持っていかれたか」


(だが、敵は一撃で倒せる。ステータスは十倍に跳ね上がり、スキルも魔法も火力が底上げされている。自動回復まで付いているとは……破格のバフだ。ただ、残り四〇分か)


 ◆◇◆◇◆◇


 その後もわたしのもとに人馬兵は切れ目なく押し寄せる。


 五騎までなら、黒覇気と魔力で合成した黒剣を、身体強化した腕から連続投擲し、まとめて刺し殺すのが最も効率が良かった。


 十騎以上になると、黒魔法で視界を奪い、黒馬の機動力を活かして死角へ回り込み、最小限の動きで敵の戦力を削いでいく。


 こうして時間を忘れて戦い続けるうちに、わたしはついに半壊した櫓へと辿り着いた。

 そこは、最後まで抵抗した者たちの尊厳すら踏みにじられた、血と死臭のこもる屍山のような戦場だった。


「誰か、生きている者はいるか?」


 黒剣を半身に構えたまま声を張り上げると、すぐ近くからか細い返事が返ってきた。


「います。三人で隠れてました。一人が足に怪我を負って動けません」


 積み重なった遺体の隙間から、ごそごそと血に濡れた若い男の探索者が身を起こす。返り血と土埃にまみれた顔は、疲労よりも先に、かすかな期待が浮かんでいた。


「わかった。怪我人にはこれを使え。お前たちの分も渡しておく。危険だと判断したら、躊躇わずに使うといい」


 腰の収納ポーチから、登録した石碑に転移する『転送石』を人数分取り出し、姿を見せている探索者に向けて放り投げる。


「ありがとうございます。このご恩は一生忘れません。それで失礼ですが、お名前をお聞きしても……」


「黒田庄兵衛だ」


 名を告げた途端、若い探索者の目つきが変わった。ギルド内での評判が、どうやら現場にも届いているらしい。


「貴方があのギルドGメンきっての実力者、A級探索者の『漆黒の騎士』でしたか。お会い――」


 わたしはわずかに眉をひそめた。


「済まないが時間がない」


 きっぱりと遮ると、若い探索者は肩をすくめて口を噤んだ。


「あ、すいません」


 若い探索者は慌てて頭を下げる。わたしはそれ以上は責めず、すぐに本題へと意識を切り替えた。


「いや、いい。それより一度戻るなら、ギルド関係者に二つ伝えてほしい。

 ひとつ、今すぐこの階層に戦力を集中して派遣するよう要請すること。

 もうひとつ、後ろで死人の数を数えて笑っている女神教団の連中を、ギルドから尻を叩いてでも前線に出させることだ」


(葬儀屋が大手クランの一角とは、世も末だな。ギルドも政治の都合で、あいつらを持ち上げざるを得ないのが痛いところだが……)


「はい、分かりました。必ず伝えます」


「頼んだ。生きて返れよ」


 わたしは短く告げると、黒馬の首筋を軽く叩き、この場を後にした。

 視線を正面に向けると、人馬の機動力を生かして戦場を駆け回る五十騎ほどの手勢から、息を切らしつつもがむしゃらに逃走を図る五人パーティの姿を捉える。


 わたしにとって、誰であれ味方を見捨てて死地に追いやるほど、A級探索者の誇りは軽くない。若い頃に一度だけ、それを見過ごした。二度と会えなかった背中を、いまだに夢に見る。


(あとで悔やむくらいなら、今、歯を食いしばってでもやり遂げてみせろ)


 わたしは、自分で自分の背中を蹴り飛ばすように、黒馬の脚にさらに力を込めた。


 討伐しがいのある軍勢を見据え、黒馬の首筋を軽く押さえつけるように手綱を締め直すと、一直線に救助へと向かった。


 五人パーティは、わたしの姿が近づくにつれ、圧倒的劣勢の中で見つけた一筋の希望に縋るように、こちらへと駆けてくる。


「黒田さんが来たぞ!」

「やったー、助かったぞ」


 歓声が上がるが、わたしは振り返らない。視線はすでに、迫る人馬兵の足元だけを見据えていた。


「あとは任せろ」


 低く言い捨てると同時に、黒剣をわずかに掲げる。


「地を縫い留める黒の楔よ、蹄を砕き暴走を挫け。

 ――黒杭障壁ブラック・スタッドウォール!」


 直後、黒魔法の威力がこの地に顕現する。人馬軍勢の進行方向の赤土に、瞬く間に先端が尖った黒杭の馬止めが、無数に生え立った。


 即席だった黒杭馬止めの効果は絶大だった。人馬兵らは避けることすらできず、正面からそのまま死地へ突っ込んでいき、黒い霞があたり一面を覆いつくす。統制を失った人馬軍勢の前列から、一斉に悲鳴が沸き立った。


 わたしはすかさず、敵の視界を奪う黒魔法を行使した。


「影よ、霧と成りて視を惑わせ、この一角を闇で沈めよ。

 ――黒霧結界シャドウ・ミストフィールド!」


 視界は一瞬で墨を流したような闇に塗りつぶされ、人馬兵たちの悲鳴と蹄の音だけが、濃い闇の中に浮かび上がる。


 わたし自身は黒騎士のバッシブスキルである暗闇視覚Lv.45があるから、暗闇の影響を一切受けない。この赤土の大地は、完全に首狩り場と化した。


 最後の一団が突っ込んでくる。

 黒衛士五体が黒田の合図に合わせて槍を投げ放つと、黒い閃光が束になって人馬兵の列を貫いた。身体は悲鳴もなく黒い流砂へと崩れた。


 それを最後に召喚時間切れとなり、黒衛士たちの影が、宙に溶けて消える。


 同じときに呼び出した五頭の黒馬だが、召喚時間はまだ十分に残っていた。黒馬召喚は十頭までは定額維持だ。いま出している五頭程度なら、戦闘中に気にするほどの魔力負担にはならない。


(ここまでか。ならば、次は人間の番だな)


 沈黙した戦場跡を、さきほど救った五人パーティがわたしに駆け寄ってくる。


「すまんが、少し手を貸してほしいんだが。全員、馬は乗れるか?」


「はい、大丈夫ですが、それより助けていただいて、ありがとうございます」


「礼には及ばん。それより、いまのわたしの戦いで、黒い霧から逃れた獲物がまだ残っている。討伐を手伝ってほしいのだが、どうかね。やってみる気はあるかね」


「もちろんです!」

「今度は、俺たちが黒田さんの背中を守ります」


 黒衛士の後釜として五人パーティを馬具をまとった黒馬に乗せ、残党の討伐を終えると、彼らは終わりの見えない戦場を駆けて、次の激戦地に向かった。


 新たな人馬兵の集団が、赤土の向こうから土煙を上げて迫ってくるのが見えた、そのときだ。ふいに肺が重くなり、黒馬の速度がわずかに落ちる。


(……ここで切れるか。バフの効果時間、終了だな)


 舌打ちをひとつ飲み込み、わたしは手綱を握り直した。


(火力は元に戻った。ここから先は、前に立つより、他を生かす方がいい)


 わたしは即座に手綱を引き、五人パーティの黒馬を半円状に展開させた。


(回復ポーションは十二、マナポーションは八。少ないが、これで当面凌ぐしかない。無くなれば一度石碑に退避し、補充を受ければいい。さあ、ここが踏ん張りどころだ)


「ここから先は、無理に前へ出るな。左右から側面を削る。俺が穴を開けるから、その隙を逃すな」


「了解です!」


 五人は黒馬の上で武器を構え直し、わたしの視線の動きに合わせて陣形をずらす。黒田はもはや一人で突き崩すことはせず、最も厚い一点だけを狙って黒剣を掲げた。


「黒き駿馬よ、敵陣を貫け――黒導流・黒騎一槍!!」


 黒馬が一気に加速し、黒剣にまとわせた黒覇気が黒ランスの形を成す。黒い一条の突撃が人馬兵の列をまとめて貫き、その中央にぽっかりと穴が穿たれた。


「今だ、左右から挟み込め!」


 わたしの声に、五人パーティは黒馬の手綱をぎこちなく操りながらも、その穴へと食らいつくように突っ込んでいった。


 その後は一進一退の攻防が続いた。口元に八本目の回復ポーションを流し込むも、回復は鈍い。黒田は味方に的確な指示を飛ばしつつ、幾度も『挑発』スキルを行使する。味方が傷つけば、残り少ない回復薬を投げつけ、隙をついて槍を突いてくる手勢には『黒覇気』を撒き散らしてデバフを掛け、ギリギリで回避してやり過ごした。


(彼らを庇いながらでは、さすがにキツイ)


 もはや、アーツに割く余力は残されていない。


 そろそろ「撤退」の二文字が脳裏をかすめたとき、直感が小さく警鐘を鳴らした。


 そして、それは唐突に現れた。


 あれは――ダンジョンジープ。


 頭上には二十体を優に超えるウッドガーゴイルが羽ばたき、上空を固めている。ジープの後方からは、木製人馬兵の十数体が赤い砂ぼこりを上げながら続いていた。


(……援軍というには、ずいぶん物騒な顔ぶれだな)


 よく見ると、木製人馬兵の背には、数人の探索者が跨がっている。


(わたしと同じことを考えるとは……いや、少なくとも、召喚能力だけならわたしより上だな)


 運転席の人物が大きく手を振っている。


(あれは……赤槻か。では、助手席に乗っているのは‟あの少年”か)


 新たな第三勢力の出現に、人馬の群れが次々に襲い掛かるも、だが、その頭上からは車両上空に展開した魔法陣を起点に、無数の雷球が降り注いでいた。雷光を浴びて瀕死の人馬に上空からウッドガーゴイルが急降下の特攻を決め、黒い霞があちこちで弾ける。


 人馬兵の急所を一撃で切り裂く手を止めぬまま、わたしは心の中で、‟あの少年”の危険レベル指数をさらに一段階引き上げた。


 そんな時だった。突然、身体中から白い陽炎の煙が沸き起こる。


 これは――やってくれるじゃないか、‟少年”。


 そう、またしても‟あの少年”だ。既に三度目ともなれば、誰がやったかは自明の理。だが、今回はそれで終わらなかった。


 目の前にふわふわ浮かぶ三個の卵。


(これは‟再補給用バフポーション”の類いということか)


 戦場の地形も、味方の消耗具合も、こちらの動きまでも計算に入れている。新人に持たせていい盤面把握力ではない。

 そうこうしているうちに、ダンジョンジープはこの戦場から離脱していく。


 黒馬に乗り懸命に戦う五人パーティの面々も、唐突なバフに混乱し、ステータスを見てポカンと口を開けている。その視界の端で、彼らの前にも卵がぷかぷかと浮かんでいた。


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 黒田庄兵衛(Aランク探索者/黒騎士Lv.60)

 黒剣術Lv.55/黒盾術Lv.55/黒ランス術Lv.30/黒剣技Lv.8/黒ランス技Lv.5/黒覇気Lv.36/黒衛士召喚Lv.32/黒馬召喚Lv.35/黒魔法Lv.33/身体強化Lv.36/回避Lv.33/不屈Lv.38/投擲Lv.32/頑強Lv.31/捕縛Lv.31/挑発Lv.33/直感Lv.30/暗闇視覚Lv.45


 黒剣術

 剣がなくても、魔力を注ぐことで黒剣を何本でも生成し、その特性を活かした剣術を行使できる。

 黒騎士のジョブレベルに応じて黒騎士専用スキルが解放される。


 黒盾術

 盾がなくても、魔力を注ぐことで黒盾を何枚でも生成し、その特性を活かした防御・盾術を行使できる。

 黒騎士のジョブレベルに応じて黒騎士専用スキルが解放される。


 黒ランス術

 ランスがなくても、魔力を注ぐことで黒ランスを何本でも生成し、その特性を活かした槍騎兵戦術を行使できる。

 黒騎士のジョブレベルに応じて黒騎士専用スキルが解放される。


 黒剣技

 黒剣を用いたアーツを記憶・習得できる枠数。

 アーツ行使時、追加攻撃力として「Lv × 0.5」が加算される。


 黒ランス技

 黒ランスを用いたアーツを記憶・習得できる枠数。

 アーツ行使時、追加攻撃力として「Lv × 0.5」が加算される。


 黒覇気

 黒い煙を全身から放出するスキル。

 使用者には一時的な攻撃力・防御力・加速のバフ効果が付与され、

 黒覇気を浴びた対象には、一時的な攻撃力・防御力・行動速度低下などのデバフ効果を付与できる。


 黒衛士召喚

 黒覇気と黒魔力を合成し、戦闘用NPC「黒衛士」を召喚する。

 一定時間が経過すると、黒衛士は宙に溶けて消滅する。


 黒馬召喚

 黒騎士の相棒となる黒馬を召喚する。

 同時に十頭までは魔力消費コストが一定で維持できるが、十頭を超えると維持コストが急激に増加する。


 黒魔法

 黒属性の魔法を行使できる。

 レベル上昇に伴い、威力と扱える魔法の幅が増していく。


 暗闇視覚

 黒騎士のパッシブスキル。暗視より多少上の感覚能力向上スキル。

 黒騎士のジョブレベルに応じて黒騎士専用スキルが解放される。


 黒導流・黒衛乱舞(黒剣技アーツ使用時の生命力減少値「3割」)

 詠唱

「――黒の衛士よ、我が刃と共に舞え――黒導流・黒衛乱舞!!」

 効果

 黒衛士召喚+黒剣術。自分の周囲に黒衛士を複数召喚し、自分の動きにシンクロさせて同じ斬撃を同時に放つ。範囲殲滅と制圧に向いた“疑似多重分身連撃”。

 → Aランクらしい“格の違い”を見せる、見栄えの良い技。


 黒導流・滅断黒剣(黒剣技アーツ使用時の生命力減少値「2割」)

 詠唱

「――闇をまとい、一刀で断ちきれ――黒導流・滅断黒剣!!」

 効果

 黒剣術+黒覇気+身体強化。剣に高密度の黒覇気をまとわせ、前方への斬撃を巨大な黒い刃として飛ばす。直線上の敵をまとめて深く斬り裂く、高威力の“飛ぶ斬撃”。

 → 黒田の“基本必殺”として扱いやすい、主力の一撃。


 黒導流・黒騎一槍(黒ランスアーツ使用時の生命力減少値「3割」)

 詠唱

「黒導流・黒騎一槍――黒き駿馬よ、敵陣を貫け」

 効果

 黒馬召喚+黒ランス術+身体強化。黒馬で全力突進しつつ、槍を一点集中で構えて敵列をまとめて貫く“騎兵突撃アーツ”。直線高火力+強ノックバック。

 → 黒騎士らしさ全開の看板ランス技。


 黒杭障壁ブラック・スタッドウォール

 種別:黒魔法/広範囲制圧

 詠唱

「地を縫い留める黒の楔よ、蹄を砕き、暴走を挫け。――黒杭障壁ブラック・スタッドウォール!」

 効果

 広範囲に、先端が鋭く尖った黒杭を地表から無数に突き出させる。

 通過しようとする敵の脚部を破壊し、突進や走行による突撃行動を大きく阻害する。


 黒霧結界シャドウ・ミストフィールド

 種別:黒魔法/広範囲暗闇デバフ

 詠唱

「影よ、霧と成りて視を惑わせ、この一角を闇で沈めよ。

 ――黒霧結界シャドウ・ミストフィールド!」

 効果

 広範囲に黒い霧を発生させ、敵味方を問わず視界を大きく遮断する。

 視認による索敵や狙撃、魔法の照準精度を低下させるが、暗視スキル持ち、黒霧に慣れた使用者や黒属性の感覚強化スキルを持つ者は、ある程度行動しやすい。


 応援よろしくお願いします!


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 と思ったら


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